『コララインとボタンの魔女』への挑戦的なアプローチ
![コララインとボタンの魔女 [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/81Z3L0K70PL._SL160_.jpg)
人は誰しも承認欲求があるが、承認どころかコララインとして認識されない淋しさを抱えている。
ある日コララインは、封印された小さなドアを見つける。ドアの向こうは、ボタンの目の人々が待ちうける別世界だった…。
『コララインとボタンの魔女 3D』では、この奇妙な物語をCGでもなく手書きアニメでもなく人形アニメで描くことにより、不思議な映像が展開される。
その質感、存在感は、現実に存在する物を撮影しているからこそ生み出されるものだ。布地の手触りが伝わってくる映像は、まだCGにはできないだろう。
さらにデジタル3Dにすることにより、奥行きと立体感までが加わっている。
岡田斗司夫氏は、映画の原点は見たことないものを見せることだと述べているが、まさしくこんな映像は見たことがない。
『コララインとボタンの魔女 3D』の公式サイトによれば、この映画が誕生したのは、原作者のニール・ゲイマンが『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の監督ヘンリー・セリックに原稿を送ったことがきっかけだとか。
原作者にしてみれば、人形アニメは最適だと考えたのだろう。
なにしろ、本作で鍵となるのは人形なのだ。
主人公コララインのもとへ、コララインそっくりな人形が届くところから不思議な出来事が起こり始める。劇中、コララインはいつも人形を連れている。
さらに、別世界で出会う目がボタンの人々は、魔女の人形である。魔女が作り、思い通りに操る人形にすぎないのだ。
このように人形が重要な役割を担う作品だから、原作者が人形アニメにして欲しいと願っても不思議ではない。
だって、目がボタンになっているなんて、人間が演じたら出来の悪いジョークにしかならないから。
原稿を受け取ったヘンリー・セリック監督は、原稿を読んでさっそく映画化を申し入れる。
だがセリックにとって、本作を人形アニメで描くのはとても挑戦的なことだったはずだ。
なにしろ、人形を描かねばならないからだ。
人形でできているコララインが、コララインそっくりな人形を抱いてる場面を想像してみれば良い。抱いているのも人形、抱かれているのも人形、なのに観客には人間が人形を抱いているように見せなければならない。
目がボタンの人間や動物たちは、正体を暴くと人形である。とうぜん正体が暴かれるまでは人形に見えてはならない。
人間が演じてくれれば簡単なことだが、人形に演じさせるのは、はなはだしく難しい。
それを可能にしたのが、これまでのストップモーションアニメとは段違いに豊かな表情と自由自在な動きである。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主人公ジャックの表情が15通りだったのに対し、コララインの表情はなんと20万7336通りも作られたという。この膨大な数の表情を適切に取り替えることで、ストップモーションアニメ特有のギクシャクした感じがなくなり、フルCGに匹敵する滑らかさを実現している。
通常、質感ではCGよりもストップモーションアニメが勝るが、動きの滑らかさではCGに分がある。ところが『コララインとボタンの魔女 3D』は、しばしばストップモーションアニメであることを忘れてしまう。それほどまでにコララインの動きは自然だ。
ヘンリー・セリック監督の挑戦は成功した。
コララインが人形を抱いている場面では、人形が人形を抱いてるなんて思わない。
こうしてこの映画は、見たことないものを見せてくれたのである。
![コララインとボタンの魔女 [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/81Z3L0K70PL._SL160_.jpg)
監督・制作・脚本・プロダクションデザイン/ヘンリー・セリック
撮影/ピート・コザチク コンセプトアート/上杉忠弘 原作/ニール・ゲイマン
出演/ダコタ・ファニング テリー・ハッチャー
日本語吹替版の出演/榮倉奈々 劇団ひとり 戸田恵子
日本公開/2010年2月19日
ジャンル/[ファンタジー] [ファミリー] [ホラー]


【theme : 特撮・SF・ファンタジー映画】
【genre : 映画】
⇒comment
こんばんは♪
TBありがとうございました。いつもお世話になってます。
人形に人形を抱かせて、人間が人形を抱いているように見せる・・・。
ほんとにこれに関しては全く違和感なかったですね。
恥ずかしながらこちらの記事を拝読するまで、そういう観点自体に気付いていませんでした。
人形然としたコララインの造形にもかかわらず、劇中では人間と人形が明確に区別されてます。
なるほど、これはヘンリー・セリック監督さすがです。
人形に人形を抱かせて、人間が人形を抱いているように見せる・・・。
ほんとにこれに関しては全く違和感なかったですね。
恥ずかしながらこちらの記事を拝読するまで、そういう観点自体に気付いていませんでした。
人形然としたコララインの造形にもかかわらず、劇中では人間と人形が明確に区別されてます。
なるほど、これはヘンリー・セリック監督さすがです。
Re: こんばんは♪
SOARさん、コメントありがとうございます!
映画鑑賞中、私はこれが人形アニメであることを失念して、「CGにしては質感があるな」なんて思ってしまいました
かつてレイ・ハリーハウゼンの作品を観ながら、これがストップモーションアニメの限界だと感じていましたが、とんでもない、まだまだ進歩するのですね。
ヘンリー・セリック監督の次回作が楽しみです(かなり先のことでしょうけど)。
映画鑑賞中、私はこれが人形アニメであることを失念して、「CGにしては質感があるな」なんて思ってしまいました

かつてレイ・ハリーハウゼンの作品を観ながら、これがストップモーションアニメの限界だと感じていましたが、とんでもない、まだまだ進歩するのですね。
ヘンリー・セリック監督の次回作が楽しみです(かなり先のことでしょうけど)。
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トラックバックの反映にはしばらく時間がかかります。ご容赦ください。コララインとボタンの魔女 日本吹き替え版3D
人形をひとコマひとコマ撮影するストップ・モーションと、最新の3D技術の合体で独特な世界観を実現している。ミシンや裁縫用語を登場人物の名前にした世界は、子供の言うことを何でもきいてくれるが自由がない。子供の自我への目覚めと親子関係の再考には最適の作品だ。
『コララインとボタンの魔女 3D』
(原題:Coraline)
----これって、前から観たがっていたアニメだよね。
でも、どうして苦手な3Dを選んだの…?
「それはいろいろと理由が…(汗)。
でも、いずれにしろ日本ではこの映画は全国すべて
3Dで公開されるらしい。
まあ、二番館になったときには分からないけ
コララインとボタンの魔女3D / Coraline
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「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック監督最新作。
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「ナイトメア~」はコアなファン
コララインとボタンの魔女
面白い!そして怖い!
甘い誘惑の裏側。『コララインとボタンの魔女』
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コララインとボタンの魔女 3D/榮倉奈々、劇団ひとり、戸田恵子
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コララインとボタンの魔女 3D版
こうやって、どんどん3D版になって行くんでしょうか。
「コララインとボタンの魔女」3D 字幕版
JUGEMテーマ:映画 
例によって近所のシネコンでは吹き替え版のみの上映だったので六本木まで観に行きました。主演はダコタ・ファニング。とても良かったです!好奇心が強くて勇気がある多感な女の子コラライン。とても魅力的なキャラクターを演じていました
コララインとボタンの魔女3D
昨年待ちきれずに
DVDで先に観てしまってましたが、
公開されたので劇場版も観てきました。
吹替版。
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の
ヘンリー・セリック監督最新作。
日本では本国よ1年も遅れて公開です。
「ナイトメア」めちゃ好きなんですよ。
グッズのコ...
映画「コララインとボタンの魔女」
2010/2/26、TOHOシネマズ錦糸町。
ストップ・モーション・アニメ。3D。
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック、監督、脚本。
**
コラライン・ジョーンズ(声:ダコタ・ファニング、吹き替え版:永倉奈々)の一家は、
田舎の大きい家に越
『コララインとボタンの魔女 3D』
【CORALINE】
2009年/ギャガ/100分
【オフィシャルサイト】
監督:ヘンリー・セリック
出演(声): ダコタ・ファニング、テリー・ハッチャー、ジョン・ホッジマン、イアン・マクシェーン、ドーン・フレンチ、ジェニファー・ソーンダース、キース・デヴィッド、ロバ...
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[映画『コララインとボタンの魔女/3D』を観た]
☆仕事の前に無理して観に行った。
良かった。
今年のここまでで、一番に満足のいく作品だった。
人形アニメーション、その3D作品だ。
ただ、初めて見たTOHOシネマズ南大沢(だからかは分からないが)での3D映像は最低だった。
遠近感が逆だったり...
コララインとボタンの魔女 3D
コララインとボタンの魔女 3D’09:米
◆原題:CORALINE ◆監督・脚本: ヘンリー・セリック「モンキーボーン」「ジャイアント・ピーチ」◆声の出演: 榮倉奈々、劇団ひとり、戸田恵子
◆STORY◆ピンク色の古いアパートに引っ越して来た11歳の少女コララインは退屈し
映画を観た~コララインとボタンの魔女3D<日本語吹替版>~
本文はこちら→
「コララインとボタンの魔女3D」
選べない不幸とは闘いようがない。
「ナイトメアビフォアクリスマス」の監督によるダークファンタジーの最新作。
「ナイトメア~」の3D版を大分のT-JOYで観たのは1年半くらい前だろうか。あのときはかなり短い上映時間にも拘らず寝てしまった。
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コララインとボタンの魔女
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コララインとボタンの魔女☆独り言
『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の監督の作品キャラクターも、そういうテイスト。けして愛らしいとか可愛らしいという感覚じゃなくキモかわいい系です。CGアニメもいいのですが、どちらかといえばストップモーションアニメのほうが目が疲れません。でもこれ今回は3D。
コララインとボタンの魔女
上映終了ギリギリになんとか観てきました。が、なんで3D吹き替えしかやってないの?
コララインとボタンの魔女
この作品、気になってました。
アカデミー賞にもノミネートされてましたね。(^^)v
「目をボタンにする」というのが怖い感じ。
怖い映画は苦手ですが、
もし怖い映画でも、アニメなら大丈夫かも。f(^^;)
両親とともにピンク色の築150年と言う、
古いアパートに引
コララインとボタンの魔女
『扉のむこうは理想の世界。 でも気をつけて。かなえてはいけない願い事がある。』
コチラの「コララインとボタンの魔女」は、「ベオウルフ 呪われし勇者」の脚本、「スターダスト」の原作を手掛けたニール・ゲイマンの原作を3D映画化したストップ・モーション・アニ...
【映画】コララインとボタンの魔女…とほぼ関係無いバトンの話
本日から夜勤の私ですが、今週って間に休みを挟んでいるから、すぐに終わっちゃうんだね
割と楽に過ごせそうでホッとしているところです…まぁあくまでも多分楽だろうという段階ですが…。
...
『コララインとボタンの魔女』'09・米
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