映画とは何か

 大層な記事タイトルだが、映画芸術について大上段に構えて語ろうというわけではない。
 このブログにおいて何を「映画」と呼ぶか、ちょっと整理しておきたい。

 映画に対しては、人それぞれの想いがあるだろうが、私が重視する要素に次の2つがある。
 ・映画館に足を運ぶこと
 ・場内が暗くなる中でワクワクしながら上映を待つこと

 すなわち、映画を観ることは一つのイベントなのだ。

 上映が始まると、映画の中の時間を登場人物や他の観客と共有することになる。

 眼が疲れても一時停止はできず、トイレに行ってもコマを戻すことはできない。
 一方的に続けられる上映に、観客はついていかなければならない。
 送り手の意図した環境と時間経過で音と映像を体験するために、観客はみずからの集中力を総動員する必要がある。

 DVDの再生等で視聴するときは、立場がまったく異なる。
 時間を支配するのは視聴者だ。
 見逃した場面や聞き逃したセリフは、何度でも再生してたしかめられる。
 宅配便がくれば、役者の演技を止めさせて、自分は玄関で応対すれば良い。
 作品の進行を支配しているのは視聴者で、気を張り詰めて画面に集中する必要はない。

 このように作品と受け手の関係が異なれば、映画館での鑑賞と、自宅でのDVDの再生等を、同じ体験とは呼べないのではないか。

 だから、私の定義は単純だ。
 映画とは「映画館で観たもの」。DVDを再生したなら「DVDを観た」、BS、CS放送を観たなら「BS、CSを観た」という。

 地上波テレビのように、約15分おきに映画の作り手とは異なる人がつくった無関係な映像を挿入して、映画の時間進行を中断する形態もある(テレビコマーシャルという)。
 交響曲の楽章の途中で祭り囃子をピーヒャラ奏でることを想像すれば、これが異様な形態であることが判るだろう。


 とはいえ、困ったことに名画座や二番館、三番館が激減した今日、ロードショーを見逃すと映画館で観ることはほとんど不可能になる。
 また、立派なホームシアターを構えて、自宅で観る方が集中できるという人もおられよう。

 だから私は、何が何でも映画館で観るべきだと主張するわけではない。
 かくいう私も、黒澤明や小津安二郎や木下恵介のDVDやLDのBOXを買いこんでいる(これは観るためというより所有するためだが)。


 ただ私は、映画の時間進行を支配するのは、作り手・送り手であるべきだと思うのだ。


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【theme : 戯 言
【genre : 映画

⇒comment

はじめまして。

激しく同意してしまいました。
映画館で見るのが一番好きですが
時間等の調整がきかず DVDも多いもので残念です。。。
映画館でのマナーの悪さが最近たまらなくなってるもので
静かなストーリーだと DVDのときもあったりします。
送り手の側の意向をくんで 映画をみたいものです。

いらっしゃいませ

>emiusagiさん

こんにちは、いらっしゃいませ。
映画館で観るのが最高と思いつつ、唯一後悔したのは『クローバーフィールド/HAKAISHA』です。
映画の出来云々ではありません。
手持ちカメラの揺れる画面を観ていたら、気分が悪くなってしまいました。

たまには部屋を明るくしてテレビから離れて見た方がいい作品もあるのですね。

飛んできました

こんにちわ。
激しく同意です。
と言ってももちろん地上波もDVDも観るのですが。

だから明らかに、
作り手が劇場で観てる客を意識した最後を演出している作品
を自宅で観てしまうととても後悔します。

でも、
大スクリーンで観たいと思った映画は劇場へ行け!!
気に入った映画は買え!!
ちょっと気になる映画はレンタルしろ!!

最終的にこんなんなっちゃってるんですけどねっっ 

クローバーフィールドは自宅で明るくして観ても酔いました  

Re: 飛んできました

ご同意いただきありがとうございます!
私も、映画館で観ることがほぼ不可能と思われる場合にはDVDで観てしまうことがあります。その後、映画館にかかっているのを発見すると、とても悔しいですけど。

そうですか、『クローバーフィールド』は家で明るくしてても酔いますか。気分が悪くなる度合いをあらかじめ公表してくれるといいんですけどね。
Secret

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