『おとうと』が最後に行くところ
【ネタバレ注意】
予告編やチラシを見て、てっきり姉弟や家族の物語だと思ってしまった。
なにしろ公式サイトの「山田洋次監督からのメッセージ」には、こんなことが書いてあるのだ。
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寅さんシリーズが、愚かな兄と賢い妹の滑稽譚だったとすれば、今度の『おとうと』は、賢い姉と愚かな弟の、可笑しくて哀しい物語である。
---
もちろん姉弟の物語ではあるのだが、ではなぜ、冒頭で昭和の歴史を振り返るのか。
なぜ主人公・吟子は薬剤師なのか。
なぜ娘・小春の結婚相手は医師なのか。
なぜご近所代表も医師なのか。
なぜ弟・鉄郎は親戚中の鼻つまみ者なのか。
なぜ鉄郎はホームレスと仲良くなるのか。
これらの要素を織り交ぜながら、『おとうと』の前半では笑福亭鶴瓶演じる鉄郎の非常識さ、無軌道ぶりを描いて、鉄郎が孤立し身寄りがなくなっていく過程を明らかにする。
寅さんファンには、寅さんにリリィがいることが1つの救いであったろうが、本作の鉄郎は一緒に暮らした女にも去られ、姉にも絶縁され、寅さんとは比べ物にならないほどの孤独に直面することになる。
鉄郎の人生とは何なのだろう。
脚本・助監督を務めた平松恵美子氏によれば、本作の出発点は次のようなことだったという。
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山田監督から『おとうと』のアイデアについて話を聞いたのは2008年3月のことだった。市川崑監督の訃報に接したとき、こんなことを考えたのだそうだ。「『おとうと』は市川作品の中で最も好きな作品なのだけれど、もしも“弟”が亡くならず、“姉弟”にその後の人生があったらどうだろう。」
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鉄郎役に笑福亭鶴瓶さんを配したのは実に巧みである。
映画では鉄郎を孤独に追い込む必要があるので、親戚縁者すべてから見放される人物として描かなければならない。寅さんのような愛すべき人物、みんなから気にかけてもらえる人物になることは避けている。
しかし、単なる悪いヤツ、嫌なヤツでは、観客からも嫌われてしまう。鉄郎は映画の主要人物なのだから、観客が行く末を案じるような人物でなければならない。
山田洋次監督が要求するこの微妙な人物像に、笑福亭鶴瓶さんは見事に応えている。
『おとうと』の後半は一転、民間のホスピス「みどりのいえ」を舞台に終末期ケアの現場が描かれる。ホスピスしか行き場がない、いや、身寄りのない人にもホスピスという行き場があることが本作の主題となってくる。
ここに至って、登場人物が医療関係者ばかりであることや、鉄郎に家庭がないという設定が、何を示唆するためなのかが判る。
そして「みどりのいえ」が終末期ケアの場である以上、スタッフは入居者を看取らなければならない。
石田ゆり子さん演じるスタッフは、みずからケアした入居者が息を引き取ったとき、そっと声をかける。
「ご苦労様でした。」
真面目に真摯に作られたこの映画のなかでも、もっとも重い言葉であった。
「みどりのいえ」のモデルは、台東区の山谷にある「きぼうのいえ」だそうである。
施設長の山本雅基氏は、「きぼうのいえ」のサイトにこう書いている。
「誰でもどこからでもやりなおせる」
『おとうと』 [あ行]
監督・脚本/山田洋次 脚本/平松恵美子
出演/吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮 小林稔侍 森本レオ 笹野高史 小日向文世 石田ゆり子 加藤治子
日本公開/2010年1月30日
ジャンル/[ドラマ]
http://bookmarks.yahoo.co.jp/bookmarklet/showpopup?t='+encodeURIComponent(document.title)+'&u='+encodeURIComponent(location.href)+'&ei=UTF-8','_blank','width=550,height=480,left=100,top=50,scrollbars=1,resizable=1',0);">
予告編やチラシを見て、てっきり姉弟や家族の物語だと思ってしまった。
なにしろ公式サイトの「山田洋次監督からのメッセージ」には、こんなことが書いてあるのだ。
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寅さんシリーズが、愚かな兄と賢い妹の滑稽譚だったとすれば、今度の『おとうと』は、賢い姉と愚かな弟の、可笑しくて哀しい物語である。
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もちろん姉弟の物語ではあるのだが、ではなぜ、冒頭で昭和の歴史を振り返るのか。
なぜ主人公・吟子は薬剤師なのか。
なぜ娘・小春の結婚相手は医師なのか。
なぜご近所代表も医師なのか。
なぜ弟・鉄郎は親戚中の鼻つまみ者なのか。
なぜ鉄郎はホームレスと仲良くなるのか。
これらの要素を織り交ぜながら、『おとうと』の前半では笑福亭鶴瓶演じる鉄郎の非常識さ、無軌道ぶりを描いて、鉄郎が孤立し身寄りがなくなっていく過程を明らかにする。
寅さんファンには、寅さんにリリィがいることが1つの救いであったろうが、本作の鉄郎は一緒に暮らした女にも去られ、姉にも絶縁され、寅さんとは比べ物にならないほどの孤独に直面することになる。
鉄郎の人生とは何なのだろう。
脚本・助監督を務めた平松恵美子氏によれば、本作の出発点は次のようなことだったという。
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山田監督から『おとうと』のアイデアについて話を聞いたのは2008年3月のことだった。市川崑監督の訃報に接したとき、こんなことを考えたのだそうだ。「『おとうと』は市川作品の中で最も好きな作品なのだけれど、もしも“弟”が亡くならず、“姉弟”にその後の人生があったらどうだろう。」
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鉄郎役に笑福亭鶴瓶さんを配したのは実に巧みである。
映画では鉄郎を孤独に追い込む必要があるので、親戚縁者すべてから見放される人物として描かなければならない。寅さんのような愛すべき人物、みんなから気にかけてもらえる人物になることは避けている。
しかし、単なる悪いヤツ、嫌なヤツでは、観客からも嫌われてしまう。鉄郎は映画の主要人物なのだから、観客が行く末を案じるような人物でなければならない。
山田洋次監督が要求するこの微妙な人物像に、笑福亭鶴瓶さんは見事に応えている。
『おとうと』の後半は一転、民間のホスピス「みどりのいえ」を舞台に終末期ケアの現場が描かれる。ホスピスしか行き場がない、いや、身寄りのない人にもホスピスという行き場があることが本作の主題となってくる。
ここに至って、登場人物が医療関係者ばかりであることや、鉄郎に家庭がないという設定が、何を示唆するためなのかが判る。
そして「みどりのいえ」が終末期ケアの場である以上、スタッフは入居者を看取らなければならない。
石田ゆり子さん演じるスタッフは、みずからケアした入居者が息を引き取ったとき、そっと声をかける。
「ご苦労様でした。」
真面目に真摯に作られたこの映画のなかでも、もっとも重い言葉であった。
「みどりのいえ」のモデルは、台東区の山谷にある「きぼうのいえ」だそうである。
施設長の山本雅基氏は、「きぼうのいえ」のサイトにこう書いている。
「誰でもどこからでもやりなおせる」

監督・脚本/山田洋次 脚本/平松恵美子
出演/吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮 小林稔侍 森本レオ 笹野高史 小日向文世 石田ゆり子 加藤治子
日本公開/2010年1月30日
ジャンル/[ドラマ]


⇒comment
No title
超遅コメで失礼します。
あ、こんな見方もあったんだ。
目から鱗です。
あ、こんな見方もあったんだ。
目から鱗です。
Re: No title
ふじき78さん、こんにちは。
寅さんにあやかりたい気持ちは判るけど、現代の孤独死や終末期ケアを取り上げた作品なんだということも宣伝すればいいのに、と思いました。
それを宣伝するとネタばらしになってしまうからNGだったんですかねぇ。
寅さんにあやかりたい気持ちは判るけど、現代の孤独死や終末期ケアを取り上げた作品なんだということも宣伝すればいいのに、と思いました。
それを宣伝するとネタばらしになってしまうからNGだったんですかねぇ。
邦画には厳しい私でも
この作品は秀作であったと
賞賛以外の言葉は出ない
そのなかで点滴に焼酎を入れて
酔っ払うシーンは面白かったw
悲しいシーン+笑いがミックスすると
その悲しみや辛さが効果的になるが
その辺が他の作品では
下手すぎる
賞賛以外の言葉は出ない
そのなかで点滴に焼酎を入れて
酔っ払うシーンは面白かったw
悲しいシーン+笑いがミックスすると
その悲しみや辛さが効果的になるが
その辺が他の作品では
下手すぎる
Re: 邦画には厳しい私でも
すわっと 優優さん、こんにちは。
点滴に焼酎を入れるシーンは笑ってしまいましたね。本来は悲しむシチュエーションなのでなおさらです。
山田洋次監督は、ハナ肇さんや渥美清さんら笑いと涙を同時に誘える芸達者な人を主役に迎えてきましたが、今それをできるのが笑福亭鶴瓶さんなのでしょう。
点滴に焼酎を入れるシーンは笑ってしまいましたね。本来は悲しむシチュエーションなのでなおさらです。
山田洋次監督は、ハナ肇さんや渥美清さんら笑いと涙を同時に誘える芸達者な人を主役に迎えてきましたが、今それをできるのが笑福亭鶴瓶さんなのでしょう。
⇒trackback
トラックバックの反映にはしばらく時間がかかります。ご容赦ください。「おとうと」完成披露試写会
昨夜は「おとうと」完成披露試写会@丸の内ピカデリー1に参加した。
2010年1月30日ロードショー
http://www.ototo-movie.jp/
おとうと■寅さんではなかった
賢い女性と愚かな兄または弟という登場人物の設定からは「男はつらいよ」が連想される。予告編を見たときに、これは姉から見た「寅さん」、またはもうひとつの「寅さん」かと思ったら違った。これは市川崑の「おとうと」に捧げられた作品であるという字幕がラストに出てく...
おとうと
『家族』、『幸福の黄色いハンカチ』、『息子』、『学校』シリーズ、そして『男はつらいよ』シリーズで、日本の家族を描き続けてきた山田洋次監督。本作は、東京で堅実に生きてきた...
映画「おとうと」@よみうりホール
客入りは8~9割くらい、作品柄か年配のお客さんが多い。 映画の話 夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治子)と3人で暮らしていた。やがて、小春の結婚が...
映画感想『おとうと』 悪くはないけど
内容その日は、高野吟子(吉永小百合)にとって特別な幸せの日のハズであった。夫が亡くなり、“高野薬局”を経営し、必死になり育ててきた娘・小春(蒼井優)の結婚式。が。。その式場で、事件が発生する。夫の13回忌以来音信不通だった旅役者の“弟”丹野鉄郎(笑福亭...
おとうと
最後の場面に付いての言及があります。監督・脚本:山田洋次脚本:平松恵美子出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍その前に私の経験から。私の父は、まだ意識がはっきりしていたころ、夜の10時-11時過ぎごろに帰ろうとすると「ここにいてくれないかな...
「おとうと」 泣かせるけど・・・
監督 山田洋次少しあらすじ夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治子)と3人で暮らしていた。やがて、小春の結婚が決まり、結婚式当日を迎えるが、吟子の弟・鉄郎(笑...
「おとうと」ダメな弟でも最期まで心配し続けた確り者の姉と家族の絆
「おとうと」はぐ~たらだめ弟を持つ確り者の姉の娘が結婚する事になり、その席にぐ~たら弟も出席するが、結婚式を台無しにし、兄弟からも縁を切られ、娘も環境の違いなどで離婚してしまい家族崩壊寸前となるが、それでもぐ~たら弟をほっとけない確り者の姉の献身的な姉...
『おとうと』
□作品オフィシャルサイト 「おとうと」□監督・脚本 山田洋次 □脚本 平松恵美子 □キャスト 吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井 優、加瀬 亮、小林稔侍、 加藤治子、笹野高史、森本レオ
■鑑賞日 1月31日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■...
「おとうと(2010)」レビュー
映画「おとうと」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *2010年 *出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍、森本レオ、茅島成美、田中壮太郎、キムラ緑子、笹野高史、ラサール石井、佐藤蛾次郎、池乃めだか、小日向文世、横山あきお、近...
おとうと
☆おとうと☆(2009)山田洋次監督・・・ 「男はつらいよ」シリーズ「たそがれ清兵衛」吉永小百合笑福亭鶴瓶蒼井優加瀬亮小林稔侍森本レオ笹野高史加藤治子ストーリー 東京で薬局を営む高野吟子は、夫を早くに亡くし、女手ひとつで一人娘の小春を育ててきた。その小春も...
映画『おとうと』
ようやくの今年1本目は、山田洋次監督の『おとうと』を近所の劇場で。観客の年齢層はかなり高めです。 Story 早くに夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京の私鉄沿線の一角で、小さな薬局を女手ひとつで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て、義母の絹代(加藤治...
おとうと
山田洋次節、炸裂。
おとうと
<<ストーリー>>夫を亡くした吟子(吉永小百合)は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春(蒼井優)を育て...
「おとうと」どこか懐かしい普通の人々の何気ない日常が良い
「おとうと」★★★☆
吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮主演
山田洋次 監督、126分 、 2010年1月30日 公開、2009年、松竹
(原題:おとうと)
→ ★映画のブログ★
「おとうと」
「おとうと」
ユナイテッドシネマ豊島園にて。
監督・山田洋二
観終わったこの感じを、何といって表現したらよいのだろうか・・。
テーマ的には、“家族の絆”なのだろうけれど、そういう派手で
『おとうと』 ('10初鑑賞15・劇場)
☆☆☆☆- (10段階評価で 8)
2月6日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター9にて 13:30の回を鑑賞。
おとうと
姉と弟の絆を通して家族の姿を描く、山田洋次監督の10年ぶりの現代劇。 夫の死後、小さい薬局を営みながら、姑と暮らし、娘・小春を育てた吟子。彼女には、母代わりになって面倒を見た弟・鉄郎がいるが、旅役者の彼は数年来音信不通。ところが、小春の結婚式に突然現れた..
おとうと
[吉永小百合] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ おみくじ評価:中吉 2010年9本目です。 【あらすじ】 都内で小さな薬局を営む吟子(吉永小百合)は、一人娘の小春(蒼井優)と姑の絹代(加藤治子)と3人暮らし。 医師との結婚が決まってい
おとうと
監督:山田洋次 2010年公開(日本)
本日、J:COM オン デマンド先行試写会にて観賞しました。
この作品、笑いと涙がほど良く融合して「さすが山田洋次だな」という作品です。
ストーリーも良く、演じる役者さん達も演技がうまい方ばかりなので、オープニングから最後ま
おとうと
人情が沁みる!
おとうと
寅さんとさくらをふたたび...。
おとうと 2回目だけどまた号泣
<<ストーリー>>早くに夫を亡くした吟子は、東京の私鉄沿線の一角で、小さな薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春を育て、義母の絹...
おとうと
『おとうと』を渋谷シネパレスで見ました。
このところDVDは別として、映画館では吉永小百合の映画を敬遠していたのですが、山田洋次監督久々の現代劇であり、そろそろ見頃ではないか、それに私が丁度弟のポジションにいることでもあるし、ということで見に行った...
『おとうと』 試写会鑑賞
夫を亡くした吟子は、東京のある商店街にある薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春を育て、義母の絹代と3人で暮らしていた。やがて、小春の結婚が決まり、結婚式当日を迎えるが、吟子の弟・鉄郎が紋付はかまで大阪から現われ、披露宴を酔っ払って台なしにしてしまう。[
おとうと
市川監督の作品を知らないけど、本作はしっかり者の姉と厄介者の弟という設定になっている。最初のうちは笑わせておいて、最後の方にじっくりと泣かせる演出は名人技というほかない。現代の貧困と、家族の結びつきの希薄さと、ホスピスという命の終わり方まで盛り込んだお話
おとうと
監督は山田洋次。
吉永小百合、笑福亭鶴瓶、
蒼井優、加瀬亮、
小林稔持、石田ゆり子、
加藤治子、小日向文世等が出演。
夫を亡くし薬局を一人で営んでいる吟子を
吉永小百合が演じています。
吉永小百合、いつまでも変わらず
とてもきれいでした。
彼女の弟には...
「おとうと」鑑賞
人生を長く生きている人ほど感動が増して来る映画・・・吉永小百合は、どうしてどこまでもピュアでいられるのだろう。映画自体は上質の映画。丁寧に作られている。今の邦画ではこれ以上きちんと作られた映画は望めない。海外でいくら賞を取ろうと、ウケ狙いの薄っぺらい映...
『おとうと』をギンレイホールで観て、洋次を上から目線で叱る男ふじき☆
五つ星評価で【☆そこそこ面白いけど、誉めちゃいかんと思う】
古い。
新しければそれで全て御赦免でもないし、
山田洋次に『RED LINE』を撮ってほしい訳でもないけど、
このあまりの古さを「これが今」で、
「これが今でなければ、単に若者が間違えて...
『おとうと』
おとうと
女手ひとつで一人娘を育てた薬局を営む姉と
娘の名付け親で不肖の弟の物語。
【個人評価:★★★ (3.0P)】 (自宅鑑賞)
2008年に逝去した市川崑監督作
『おとうと』('60)へのオマージュ
『おとうと』'10・日
あらすじ姉・吟子の一人娘の小春の結婚式に、音信不通だった厄介者の弟・鉄郎が突然現れ・・・。感想山田洋次監督が『十五才学校IV』以来10年ぶりに現代劇を撮ったど~弟はつらい...
映画『おとうと』感想
前々から見たかった映画『おとうと』
友達と映画を見に行った時、『アバター』を見るか、『おとうと』を見るかでちょっと迷ったことを今もはっきりと覚えている。
結局アバターに
おとうと
知りませんでした。2010年ベルリン国際映画祭で、特別功労賞“ベルリナーレ・カメラ”を受賞した山田洋次監督の最新作であり、かつて同賞を受賞した市川昆監督の作品「おとうと」に捧げるオマージュ作品、だったのですね。親戚に必ずいる、厄介者だけど、憎めなくて、笑いをくれる人、を、笑福亭鶴瓶が、面倒見のいい、優等生な姉を、吉永小百合が好演。早くに夫を亡くしたけれど、再婚もせず、健気に一人娘を育て… そ...
おとうと (2010/2/12)
踏切の警報機、遠ざかる電車の音。
どこかなつかしい商店街の雑踏がそれに重なる。
「男はつらいよ」でおなじみの場面の数々。
山田洋次監督の新作「おとうと」にはそれらが充ち満ちて
久しぶりの世界があっという間に拡がる。
映画の前半は姉吟子の娘、小春の結婚式を軸に展開。
ハチャメチャな行動で周囲を混乱させる弟鉄郎は、まさに寅さんそのもの。
そして後半は一転して、身よりのない人...