「僕の 『生きる』 『道』」

僕の生きる道 平々凡々と日々を過ごす公務員が死期の近いことを知り、絶望に苦しんだ末に、残された時間で今までとは違う生き方をしようとする。
 といえば、黒澤明監督の名作『生きる』。

 そして、生涯の伴侶たる人と一緒に老いていくことのできない悲しみを描いたフェデリコ・フェリーニ監督の『』。

 『僕の生きる道』は、これら世界的な名声を博した傑作に通じる物語を描いたテレビドラマだ。
 私は正直なところ、テレビドラマは安っぽくて浅くて観るに耐えないと考えていた。
 だからこのドラマの第1話を目にしたのはまったくの偶然だ。

 見事に調和のとれた構図、ザッピングをおそれずゆったりと流れる時間、演出家の狙いを正確に体現する役者たち。テレビ画面に映っていたのはまるで晩年の小津安二郎作品のような、完璧さを追求した映像だった。
 星護氏が演出した第1話がなければ、私はこのドラマを観なかっただろう。そして、他のテレビドラマも観ることはなかっただろう。

 それだけに、ともに演出を担当した佐藤祐市氏が『キサラギ』『守護天使』と劇場公開作への進出も続けているのに、星護氏が『笑の大学』(2004年)以降映画をつくらないのはあまりに淋しい。


 テーマがテーマだけに、『僕の生きる道』には印象深い場面やセリフがたくさんある。
 一つ挙げるなら、 主人公中村秀雄(草なぎ剛)との結婚についてヒロインみどり(矢田亜希子)が父・隆行(大杉漣)に説明するシーン。
 結婚を喜んでいた隆行は、秀雄の余命がいくばくもないことを知るや考え直せと云い始める。
---
みどり「お父さん、ずっと結婚に賛成してたじゃない?」
隆行 「そりゃ中村君、普通の男だと思ってたから・・・」
みどり「普通って何よ!病気じゃ普通じゃないって言うの!」
隆行 「そうじゃなくて・・・」
みどり「今、そう言ったじゃない!」
隆行 「なあ、みどり。」
みどり「どうして病気だと駄目なの?」
隆行 「そういうことじゃなくて・・・」
みどり「じゃ何?」
隆行 「死んでしまうからだよ!どうして死ぬと分かっている男と結婚なんかするんだ?」
みどり「死ぬと分かっているのは彼だけじゃない。世の中の男全員よ!」

 -第8話 二人だけの結婚式
---

 そうなのだ、世の中の男は全員死ぬのだ。しかも世の中の女も全員死ぬ。
 1人が死ねば、あとは1人で残される

 本作は、たまたまどちらが先に死ぬか判っていた2人の物語である。


 役者たちのすばらしい演技も本作の見どころだが、綾瀬はるかさんのトボけた高校生や、市原隼人さんの嫌なヤロウなど、こののち大活躍する若い共演陣も輝いている。
 そして音楽も!


僕の生きる道』  [テレビ]
演出/星護、佐藤祐市、三宅喜重  脚本/橋部敦子  音楽/本間勇輔
出演/草剛 矢田亜希子 谷原章介 綾瀬はるか 市原隼人
放映日/2003年1月7日~2003年3月18日
ジャンル/[ドラマ]

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