『宇宙戦艦ヤマト2199』の総括と『2202 愛の戦士たち』

 以前の記事「『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』対談 第二章までを巡って」に、オブチ1号さんからコメントをいただいた。
 返事を書いたらあまりにも長くなったので、別の記事にすることにした。
 以下は、オブチ1号さんのコメントへの返信として、2202第二章上映後の時点で書いたものである。

2017年8月15日にいただいたオブチ1号さんのコメント】(抜粋)
タイトル: 2202は失われた未来を取り戻せるのか?
(前略)
これは私の印象でしかありませんが、作り手は「さらば」の衝撃に引きずられている面が強いかと思います。私は「さらば」が公開された当時は生まれてすらいなかったので皆さんが映画館で号泣したという話を聞いてもピンときませんが、その衝撃がすごかったということだけはわかります。その体験が名場面(英雄の丘や発進シーンなど)を完全に再現するという部分に現れている気がします。こうした場面はひどく感情を揺さぶるシーンであって作品の核となる部分でもあると思います。
ただ2199ではたとえこうした名場面であってもただ再現すればいいという作りではなかったと思います。熟考した上で再構築し、シーンとしてまとめる形です。2202では、作品を制作する時間的猶予の問題なのかあえて再現することにこだわっているのかわかりませんが(後者な気もしますが)、再構築する段階まで至っていない気がします。そのため皆様が議論されているような説明できない部分が多く残っていて違和感があるのではないでしょうか。
(後略)

宇宙戦艦ヤマト TV BD-BOX 豪華版 (初回限定生産) [Blu-ray] オブチ1号さん、こんにちは。
 コメントありがとうございます。

 オブチ1号さんは『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の公開当時まだ生まれていなかったとのことですので、少々昔ばなしなど交えながら思うところを書かせていただきます。
 これまで『宇宙戦艦ヤマト2199』の記事をいくつも書いてきましたが、近頃、まだまだ大事なことが書き切れていなかったと感じています。


■『宇宙戦艦ヤマト』を生み出した時代

 一つは、『宇宙戦艦ヤマト2199』のサブタイトルの付け方です。
 たとえば第2話のサブタイトル「我が赴くは星の海原」は、明らかに私の好きなSF小説『我が赴くは星の群』(The Stars My Destination)(別題『虎よ、虎よ!』(Tiger! Tiger!))のもじりです。第3話の「木星圏脱出」は『宇宙戦艦ヤマト』の元ネタになったSF小説『地球脱出』(別題『メトセラの子ら』)のもじりでしょうか。第8話「星に願いを」はもちろんディズニーの長編アニメーション映画『ピノキオ』の主題歌ですが、第9話『時計仕掛けの虜囚』はSF小説――というよりスタンリー・キューブリック監督の映画で有名な『時計じかけのオレンジ』です。
 このように、2199のサブタイトルにはSF小説、それも70年代に本屋に並んでいたSF小説のタイトルからの借用もしくはもじりが見受けられます。
 この傾向は終盤まで続き、第20話「七色の陽のもとに」(=スタニスワフ・レムのSF小説『ソラリスの陽のもとに』)、第21話「第十七収容所惑星」(=ストルガツキー兄弟のSF小説『収容所惑星』)を経て、第25話のサブタイトルは「終わりなき戦い」(=ジョー・ホールドマンのSF小説『終りなき戦い』)となります。

 ハヤカワSF文庫(現・ハヤカワ文庫SF)の創刊が1970年で、ハヤカワ・SF・シリーズ(いわゆる「銀背」)が刊行されていたのが70年代中盤までです。1974年にテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』が放映され、その後、数年にわたる再放送の繰り返しを経てヤマトが大ブームになったあの時代、SFやアニメが好きな人は本屋に行くたび、あるいは自分の本棚で、これらのタイトルを目にしていたのです。


宇宙戦艦ヤマト 2199 (1) [Blu-ray]■松本零士色

 もう一つ重要なのは、松本零士氏へのリスペクトです。
 第三章の記事で触れたように、第10話のサブタイトル「大宇宙の墓場」は<太陽の女王号>シリーズの同名タイトルからの借用です。また、第四章の記事に書いたように、第14話「魔女はささやく」は、主人公が"魔女"にたぶらかされて生命の危機に瀕するところから『大宇宙の魔女』へのオマージュと考えられます。いずれも松本零士氏の流麗なイラストに飾られた本でした。セレステラ宣伝情報相のキャラクターデザインが『処女戦士ジレル』に酷似し、ミレーネル・リンケが『大宇宙の魔女』の絵に似ているように、本作は随所で松本零士氏の画業を意識して作られています。


 はるか未来の、宇宙の物語でありながら、漢字が多用されているのも松本零士氏らしいですね。林立する摩天楼の中に、デカデカと「中央大病院」という文字が掲げられているのを見たときは、ニヤリとしてしまいました。2199では、佐渡酒造先生が勤務する病院の名前はもとより、計器類の表示にも漢字が溢れていました。

 かつて日本には、英語やカタカナ語を多用するほうが先進的という雰囲気がありました(今もそうかも知れません)。
 しかし、1982年の映画『ブレードランナー』が人気を博してからは、未来を舞台にしたSF映画の背景等に漢字を散りばめるのは珍しくなくなり、日本でも(オリエンタリズムを込めてか)中華風の未来世界が描かれたりしました。ですが、それ以前から漢字表記が存在する未来世界を頑固に描き続けていたのが松本零士氏です。
 劇中に漢字が多々現れる2199は、SF映画としても松本零士氏へのリスペクトとしても、よく考えられていると思います。
 もちろん、計器類に漢字が表示されるのは合理的でもあって、現代のパソコン等の電子機器ですら多言語対応しているのに、22世紀末のヤマトのコンソールで、極東管区の乗組員が日本語を選択できないわけはないでしょう。


さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち [Blu-ray]暗黒界の妖精―ノースウェスト・スミス (ハヤカワ文庫 SF 82 ノースウェスト・スミス) ストーリー上は不要と思われる第24話「遥かなる約束の地」の美女たちの水泳大会も、この延長線上にあるのでしょう。
 松本零士氏の魅力といえば、美しい女性画も忘れてはなりません。今でこそ松本美女の代表はロングコートのメーテルですが、松本零士氏がイラストレーターとして腕を振るった70年代、氏が描くのはもっぱら女性のヌード画でした。『暗黒界の妖精』のカバーアート――祈るように手を組み、顔を上げた裸の女性――は、ほとんどそのままの構図で『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のテレサのポスターに転用されました。

 松本零士氏のマンガに登場する女性はよく脱ぎます。脱ぐシチュエーションは様々ですが、ヒロインの女神のような裸体を前にして、男性が圧倒されることが多いように思います。
 『宇宙戦艦ヤマト』の女性キャラは森雪ぐらいでしたが、彼女も服が透けたり、アナライザーにスカートめくりされたりとエロチックな場面がありました。2199の作り手たちは、スカートめくりを再現するのは避けつつ、松本零士作品を貫くエロチシズムを現代なりに表現しています(現代の作品らしく、男性陣の水着姿も披露してバランスを取っています)。

 『宇宙戦艦ヤマト』以前の松本零士氏の代表作の一つに、『セクサロイド』があります。ヒロインのユキをはじめとするセクシーな美女が入り乱れるとともに、宇宙に移住する「カミヨ計画」や、その計画が頓挫すると新エネルギー物質コスモナイトを巡る「ヤヨイ計画」が描かれるあたり、宇宙に移住する「イズモ計画」や波動エネルギーを利用する「ヤマト計画」が描かれる『宇宙戦艦ヤマト2199』への影響は大きいでしょう。


 その他『宇宙戦艦ヤマト2199』では、松本零士氏のもう一つの特徴である戦記物を思わせるドラマも展開されました。

 『宇宙戦艦ヤマト2199』の制作に松本零士氏は参加していません。しかし、2199のスタッフは、松本零士氏を『宇宙戦艦ヤマト』の監督として捉えるだけではなく、70年代から80年代にかけてのアニメブーム、SFブームの立役者としての氏へリスペクトを込めて、氏の多方面にわたる仕事を作中で表現しているのだと思います。

 そして、これらの趣向は、名作SFを示唆するサブタイトルとともに、ハヤカワSF文庫や『セクサロイド』や松本零士氏の画集やムックが本屋に並んでいた"あの時代"を思い出させてくれるのです。


宇宙戦艦ヤマト (ソノラマ文庫 4-A)■『宇宙戦艦ヤマト』が生み出した時代

 それはまた、『宇宙戦艦ヤマト』が起爆剤となって生み出した時代でもありました。
 現在盛んに出版されているライトノベルの源流ともいえるソノラマ文庫が創刊されたのは1975年のこと。その一冊目は石津嵐氏のノベライズ『宇宙戦艦ヤマト』でした。この小説がどれだけ売れたのかは存じませんが、さぞかし好評だったのでしょう。このあと石津嵐氏はソノラマ文庫から『宇宙潜航艇ゼロ』や『宇宙海賊船シャーク』等を刊行し、同じくソノラマ文庫では吉津實氏の『宇宙巨艦フリーダム』も刊行され、ひと頃は『宇宙○艦○○○』と題された作品が花盛りでした。もちろん、『宇宙戦艦ヤマト』のノベライズ、コミカライズも複数の著者の手によりあちらこちらの出版社から刊行されていました。

 1977年には『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版第一作が公開され、興行収入21億円のヒットを記録。映画会社にアニメの興行価値を知らしめ、出版社にアニメ雑誌の創刊に踏み出させるなど、数々の伝説を生み出します。
 翌1978年は、『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』が日本に上陸して「SF元年」と喧伝されました。これらハリウッド発のSF映画に対して、日本映画界からは(『惑星大戦争』、『宇宙からのメッセージ』という露払いとともに)『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が迎え撃つ形でした。

 同時に『宇宙戦艦ヤマト』は爆発的な松本零士ブームを巻き起こし、テレビには松本零士氏が監督や原作やキャラクターデザイン等でかかわるアニメ作品が溢れ、劇場でも1977年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』に続いて、1978年の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』、1979年の『銀河鉄道999』、1980年の『ヤマトよ永遠に』、1981年の『さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅-』、1982年の『1000年女王』と松本零士氏がかかわる映画が毎年公開され、そのいずれもがヒットするという未曾有の状況になりました(さすがに1982年後半の『わが青春のアルカディア』で息切れしますが)。

 『宇宙戦艦ヤマト』をリメイクすること、しかも松本零士氏の仕事やSFの出版状況に言及しながらリメイクすることは、"この時代"も思い出させてくれます。


宇宙戦艦ヤマト2199 1 [Blu-ray]■『宇宙戦艦ヤマト』と『宇宙戦艦ヤマト2199』

 これらのことから窺えるのは、2199が単に宇宙戦艦ヤマトシリーズを再構築した作品ではなく、『宇宙戦艦ヤマト』を生み出した時代、そして『宇宙戦艦ヤマト』が生み出した時代の空気をも再現した作品であるということです。
 2199を観ることで、当時を懐かしく思い出してまたSFを読む人がいるかもしれません。2199を手掛かりにして、往年の名作SFや松本零士氏の作品に触れようとする人がいるかもしれません。2199は、時代が生み出し、時代を生み出した『宇宙戦艦ヤマト』の足跡をたどり、同じ役割を果たすことを企図されていたのでしょう。

 2199を観ているあいだ、私はたしかに"あの時代"の息吹を感じました。それがゆえに、とても気分が高揚しました。2199に時間も金も惜しまず付き合い続けたのは、2199が優れた作品であるばかりでなく、この興奮があったからです。


■2199に目を向けなかった人を呼び戻すための2202

 他方、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』を作るスタンスは全く違います。
 第一に、2199を成功例とは考えていない、という点があるでしょう。2202のシリーズ構成・脚本を手掛ける福井晴敏氏は、2199がBlu-rayとDVDで50万枚を越えるヒットになったことについて意見を求められ、次のように答えています。
---
この点についていうと、今回の「2202」のもとになった「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(以降、「さらば」)は観客動員数が400万人を突破しているんですよね。
(略)
そう考えると「実はまだ潜在顧客の10分の1も取れていない」という考え方もあるわけで、そこを掘っていかないといけないな、というのが今回の作品です。
(略)
「2199」はBD・DVDが50万本売れているとおっしゃいましたよね。
(略)
「ガンダムUC」は190万本でした。一方で「機動戦士ガンダム」、いわゆる「ファーストガンダム」の映画3部作は、「ヤマト」には最後まで勝てませんでした。ということは、「ヤマト」の方がパイが大きいということです。「ガンダムUC」が200万本近く売れているということは、「『2199』の50万本では足りないのではないか、もっと伸びしろがあるのではないか?」と、我々は考えているわけです。
(略)
つまり「さらば」で止まっているような休眠層が相当数いるわけです。
---

宇宙戦艦ヤマト2 DVD MEMORIAL BOX 2199で掘り起こせなかった休眠層。彼らをいかに呼び戻すかを考えた結果が、より一層旧作(『さらば―』『ヤマト2』)に忠実に作ることなのでしょう。観客動員数400万人、興行収入43億円を記録した『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の動員力を信じて再現すること、それが2202制作の基本にあるのだと思います。
 『千と千尋の神隠し』(2001年)の観客動員数2350万人や興行収入308億円、あるいは『君の名は。』(2016年)の観客動員数1898万人以上、興行収入250.3億円といった記録に比べれば、400万人の動員や興収43億円は大きな数字ではなさそうに見えますが、アニメーション映画を観るためにわざわざ映画館に足を運ぶのが珍しかった時代(せいぜい、子供にせがまれた親が小さな子を連れていく程度だった時代)にこれだけの観客を動員したのは画期的なことでしたし、このブレイクスルーがなければ今の日本のアニメーションの興盛はなかったかもしれないのですから。

 2202の企画の初期段階で、羽原信義監督と福井氏は「今の時代にあった新しいことをやるべき。ただし、観客が『あ、この場面知ってる!』という映像的な記憶は随所に入れよう」と語り合ったそうです。
 福井氏は、「基本的には観た人が「懐かしい!」、「 久しぶりにこれ観た! やっぱこれだよ!」と喜んでもらえる部分と、でも大きな筋の部分で「これどうなっちゃうの?」と先が知りたくなる部分がほどよくブレンドされているのが理想だと思う」とも語っています。
 自身、『さらば―』で大泣きしたという羽原監督は、「英雄の丘」のシーンを例に挙げ、「このシーンは、『さらば』と同じカット割で忠実に再現しました。しかも、新しいシナリオで、乗組員の心情はより深く描けていると思います」と述べています。

 2199も現代風にアレンジしつつ、『あ、この場面知ってる!』という映像的な記憶が随所に入っていました。その上でシリーズ全体を再構築し、宇宙戦艦ヤマトシリーズとは直接の関係はない名作SFや松本零士作品にまで言及するという壮大なことに取り組んでいました。
 2202は、そういう「余計な味付け」はせず、素材本来の味わいで楽しませる。大きな筋の部分で先が知りたくなるものをブレンドしても、作風は旧作からはみ出さない。2202の作り手は、そんなスタンスで臨んでいるのでしょう。


宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 1 [Blu-ray]■『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』らしさ

 だから、たとえばサブタイトルの付け方ひとつ取っても、より旧作に忠実です。
 旧『宇宙戦艦ヤマト』のサブタイトルは、第1話の「SOS地球!!甦れ宇宙戦艦ヤマト」に見られるように、感嘆符の多用と命令形が特徴でした。「2201年ヤマト帰還せよ!」ではじまる『宇宙戦艦ヤマト2』も同様です。2202はこれらにならって感嘆符と命令形を採用し、「西暦2202年・甦れ宇宙戦艦ヤマト」(第1話)、「激突!ヤマト対アンドロメダ」(第5話)といった付け方をしています。

 私は感嘆符と命令形を多用したサブタイトルが好きではありませんでした。旧作が放映されていた頃は、『マジンガーZ』のサブタイトルが「幻の巨砲ガレンを爆破せよ!!」だったり、『グレートマジンガー』のサブタイトルが「鉄也よ!! 地獄の闇から這い上がれ!!」だったりしました。タイトルにまで感嘆符と命令形を採用した『エースをねらえ!』や『ゼロテスター 地球を守れ!』が作られ、そのサブタイトルにも「鬼コーチにぶつかれ!」や「ゼロバギー変身せよ!」などと付けられていました。私は、やたら感嘆符が多いネーミングに飽き飽きして、無味乾燥に感じていました(だからこそ、ロボットアニメなのに「イセリナ、恋のあと」なんてサブタイトルが出てくる『機動戦士ガンダム』が衝撃的でした)。

 ですから、2199の詩情豊かなサブタイトルが、(名作SFへのオマージュを抜きにしても)気に入っていました。
 2202でサブタイトルを旧作のような付け方に変えたのは、2202が2199のセンスを受け継ぐよりも旧作のリメイクを目指したものであるという意思表示なのでしょう。


 2202からは、松本零士氏を思わせるものも影を潜めました。もともと『さらば―』は『宇宙戦艦ヤマト』に比べて松本零士色の薄い作品でしたが、2202では計器類の漢字表記もめっきり減って、エロチシズムも見られなくなりました。
 計器や標識を英語表記にしたのは、そのほうが先進的に見えるという判断なのかもしれませんし、海外セールスに有利であろうとの考えなのかもしれません(『ブレードランナー』や『月に囚われた男』を例に出すまでもなく、英語を使わないほうがカッコイイ・未来的という感覚は、海外発のものなのですが)。エロチシズムの許容範囲や許容量は意見が分かれやすいところですから、幅広い層へアピールするには手を出さないほうが無難なのかもしれません(第三章以降、テレサが服を着てるかどうかが注目ポイントかもしれません)。
 その他、アーチストとしての松本零士を想い起させるものが、2202には見当たりません。旧作にないものはリメイク作にもないのが当たり前、なのかもしれませんが、こんなところも2199との断絶を感じさせます。

---
最初は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978年)のリメイクをただ担当してほしいというオファーだったんですけど、せっかくアニメで『宇宙戦艦ヤマト2199』(2012年)を劇場上映したばかりですし、そちらのお客さんを繋ぎとめずに1から単品で作るのはリスキーだろう……というわけで、続編という形で描かせてもらうこととなりました。
---

 福井晴敏氏はこう述べていますが、続編といっても2199の設定をいくつか残しているだけで、すっかり別の作品になった印象です。


宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 2 [Blu-ray]■『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のゆくえ

 『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の大ヒットは、時代とシンクロした結果といえるでしょう。ヤマトブームに松本零士ブーム、さらにSFブームが重なって、それらの熱狂が最高潮に達したときに投入されたのが『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』でした。多くの人が宇宙のロマンに酔いしれた時代――1977年12月から1978年2月の『未知との遭遇』の公開直前まで、ピンク・レディーの『UFO』が10週にわたってオリコンチャートの1位をとり続ける、そんな時代でした。

 『機動戦士ガンダムUC』のBD・DVDが190万枚以上売れたのは、ガンダムシリーズが30年以上連綿と作られ続け、ファンの裾野が世代を超えて広がっていたためでもあるでしょう。

 いかに『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』がヒットしたとはいえ、たびたびのブランクがあるヤマトシリーズが、時代の援護射撃なしに再びヒットできるのか。2199の作風を離れて旧作に近づけることが、本当によりヒットさせる方策になるのか。私には判りません。2202を観ていても、(2019から)変えてしまって良かったのか、(旧作から)変えなくて良かったのか等々、疑問ばかりが浮かんできます。私はまだ2202を咀嚼できていないのかもしれません。


タイトル: 2202は失われた未来を取り戻せるのか?
(承前)
翼くんは遊星爆弾症候群にかかっているし、(略)いいところがありません。

 劇中のセリフによれば、加藤翼が発症しているのは遊星爆弾症候群ではなく「宇宙放射線病の二次発症」ですね。
 パンフレットや公式サイトには「遊星爆弾症候群」と書かれているのに、誰が、いつ、なんのために「宇宙放射線病」にしたのか、なぜパンフレット等との乖離が生じたのか。詳細はこれから解明されていくでしょうが、私はこのことをとても注視しています。
 これについて書き出すと長くなるのですが、もう充分長い文になってしまいましたので、ひとまず筆を置かせていただきます。


宇宙戦艦ヤマト2199 Blu-ray BOX (特装限定版)宇宙戦艦ヤマト2199』  [あ行][テレビ]
総監督・シリーズ構成/出渕裕  原作/西崎義展
チーフディレクター/榎本明広  キャラクターデザイン/結城信輝
音楽/宮川彬良、宮川泰
出演/菅生隆之 小野大輔 鈴村健一 桑島法子 大塚芳忠 麦人 千葉繁 赤羽根健治
日本公開/2012年4月7日
ジャンル/[SF] [アドベンチャー] [戦争]

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』  [あ行][テレビ]
監督/羽原信義  副監督/小林誠  原作/西崎義展
シリーズ構成/福井晴敏  脚本/福井晴敏、岡秀樹
キャラクターデザイン/結城信輝
音楽/宮川彬良、宮川泰
出演/小野大輔 桑島法子 鈴村健一 大塚芳忠 麦人 千葉繁 てらそままさき 神谷浩史 田中理恵 久川綾 赤羽根健治 菅生隆之 神田沙也加
日本公開/2017年2月25日
ジャンル/[SF] [アクション] [戦争]
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【theme : 宇宙戦艦ヤマト2199
【genre : アニメ・コミック

tag : 出渕裕 西崎義展 菅生隆之 小野大輔 鈴村健一 桑島法子 大塚芳忠 麦人 千葉繁

⇒comment

2202はどの世代に向けた作品なのか?

ナドレックさん

こんにちは
私のコメントに対してのお返事を別の記事にまでしただいて恐縮です。
ありがとうございました。

記事を読んでいて思ったこととして、商業作品であるという観点が自分の中からは抜けていました。
その上で、2202の制作陣が2199から色々なものを受け継がなかった理由としては2199がそこまで成功しなかったという思いがあるというのは納得できるところです。
福井さんなどは舞台挨拶などに立つたびに興行収入について言及していたりしたので、もっと「売る」ということが念頭にあるのかもしれません。
確かにお金に余裕のある世代は高年齢層であり、そこに対して売って行くために懐かしさを前面に出していくというのはある意味正しいのかもしれません。
しかし、私などからすると2202の方がより古臭いと感じてしまい辛さがあります。2199はナドレックさんのおっしゃる通り、宇宙戦艦ヤマトの生まれた時代の空気感をも再現する形だったのかもしれませんが古臭いという感じはしませんでした。この感覚をうまく言葉にできないでいましたが、記事のサブタイトルの事などが確かに一因なのかもしれません。
2199は私などにとってヤマトを知らない年下の後輩などに堂々と勧められる作品でしたが、2202を素直に勧められるかというとちょっとためらってしまいます。
ガンダムとは違って世代間隔絶がありすぎるヤマトでは新たな世代のファンを獲得しようとしても心理的ハードルが上がりすぎている気がします。2199でそれに挑戦しようとしてうまくいかなかったと制作陣が判断して、新たな世代のファンを獲得しようとする試みは特にしないと思っているとしたら残念かなと思います。

第三章の予告が公開されました。この章は2202を語る上では大きな分岐点になるような気がしています。
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