『きみがぼくを見つけた日』の笑顔

 時間旅行とラブストーリーは相性がいい。
 『ある日どこかで』や『タイム・アフター・タイム』が代表的なところだろう。
 そして、これらの作品と並べていることで、本作の素晴らしさがお判りいただけると思う。

 原題は『THE TIME TRAVELER'S WIFE』(時間旅行者の妻)。
 時間旅行を扱った作品は多いが、旅行のあいだ待っている妻を描くのは珍しい。

 正直、予告編を観たときは『ジェニーの肖像』(1939年)の現代版かと思った。しかし『ジェニーの肖像』では男性の前に現れる少女が会うたびごとに成長しているのに対して、『きみがぼくを見つけた日』では成長する少女の前にいつも変わらぬ姿の男性が現れるので、ちょうど逆の設定である。
 さらに、本作は二人が同じ時空で出会ってからが主題であり、運命的な出会いをした人と一緒の時間をどう過ごすかが描かれる。
 これはなかなか興味深いテーマである。

 とりわけ早い段階で観客を楽しい気分にしてくれるのが、『きみがぼくを見つけた日』という邦題どおり、きみ(クレア)とぼく(ヘンリー)が出会う場面。
 クレアを演じるレイチェル・マクアダムスの生き生きとした表情が、観客を嬉しくしてくれる。
 『きみがぼくを見つけた日』って、あまり語呂の良いタイトルではないけれど、この場面をクローズアップしたい気持ちは良く判る。

 時間旅行モノで難しいのは、タイムパラドックスの処理だ。
 時間旅行者が過去に干渉すると未来と辻褄が合わなくなり、多くの作品が矛盾を抱え込んでしまう。
 しかし本作は、過去の出来事と未来の出来事の因果関係をきっちり説明することで、タイムパラドックスを慎重に回避している。
 過去への干渉を織り込んだ構成の妙である。


 さらには役者もみんな魅力的で、もちろんヘンリー役のエリック・バナとクレア役のレイチェル・マクアダムスが素晴らしいのだが、なんといっても注目は5歳のアルバを演じたテイタム・マッキャンと10歳のアルバを演じたヘイリー・マッキャンだ。
 彼女たちは4姉妹のうちの2人なのだが、その芸達者ぶりには舌を巻く。
 将来がとても楽しみである。


 ところで、Amazonによれば、『ジェニーの肖像』を買った人は『ある日どこかで』も買っているという。
 今後はそこに、『きみがぼくを見つけた日』も並ぶことだろう。


きみがぼくを見つけた日 [Blu-ray]きみがぼくを見つけた日』  [か行]
監督/ロベルト・シュヴェンケ  脚本/ブルース・ジョエル・ルービン 原作/オードリー・ニッフェネガー
出演/エリック・バナ レイチェル・マクアダムス ブルックリン・プルー ヘイリー・マッキャン テイタム・マッキャン
日本公開/2009年10月24日
ジャンル/[ロマンス] [SF]
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