『LEGO ムービー』 すべてはサイコー!!

 バットマンとスーパーマンを共演させるとは、さすがワーナー・ブラザーズ。
 しかもグリーン・ランタンとワンダーウーマンも出演させて、ハリー・ポッターシリーズからはダンブルドア校長まで連れてくるなんて、ワーナー・ブラザーズの力の入れようはたいしたものだ。
 さらにミュータント・タートルズや『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフも登場して、あれ、ワーナーじゃない!?
 スター・ウォーズシリーズからはハン・ソロやチューバッカやC-3POやランド・カルリシアンがぞろぞろと……これは20世紀フォックスでしょう!?

 こんな夢の競演ができるのも、『LEGO ムービー』がレゴの世界を舞台にしているからだ。
 おもちゃ売り場に行けば、様々なレゴのセットが売られている。DCコミックスのスーパーヒーローの世界、マーベルコミックスの世界、スター・ウォーズ・シリーズもハリー・ポッターシリーズも、レゴだから提携できたあらゆる世界が揃っている。
 その楽しさをそっくりそのまま映画に持ち込むとは恐れ入った。
 バットマンとスーパーマンが競演する映画は、何年試みても頓挫しているのに、本作はレゴの世界の自由度の高さを利用して易々と実現してしまった。

 しかも、何でもありのレゴの世界を逆手にとって、本作は実にスケールの大きな宇宙を創造している。
 近代的な大都市と、西部劇の世界と、中つ国が並存する楽しさは『シュガー・ラッシュ』を彷彿とさせる。まるで多元宇宙のような豊かな世界だ。
 主人公の頭の中を探索する場面は『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』に連なる電脳空間を思わせるし、無から物体を生み出せるマスター・ビルダーが集う「雲の上の楽園」はマトリックスシリーズに通じよう。
 マトリックスシリーズでは仮想空間ならではの特徴として描かれた物体創造を、本作はレゴであることによって何の説明もなく納得させてしまうから豪快だ。

 世界のすべてがレゴのブロックで構成されることによる、現実感と非現実感の同居する映像も見事だ。
 CGIで作られながら、あたかもストップモーション・アニメーションのように演出された本作は、たしかにブロックでできたように見える点で現実感があり、すべてがブロックでしかない点で非現実感がある。その両方の要素を、ときに実写映像を交えながら作り込んだ『LEGO ムービー』は、他に類を見ない映画といえよう。
 加えて、ある世界から別の世界へ移動する場面は、裂けた空で仰天させた『アイ・シティ』に匹敵するビジュアルだ。

 思い起こさせるのは、それら昨今のSF映画だけではない。
 本作が冒頭のシークエンスから8 1/2年後を舞台にすることで示唆したように、本作は『8 1/2』(はっか にぶんのいち)のようなメタ構造を秘めている。『8 1/2』が映画についての映画であったように、本作はレゴをレゴたちが演じる映画なのだ。
 主人公の頭の中や天上界「雲の上の楽園」を描くことで作中世界の多重構造を示しながら、本作はその世界をも突き抜けた世界観を提示する。メタ映画としても面白いし、名作『フェッセンデンの宇宙』に代表されるメタ宇宙SFとしても読み込める壮大な作品だ。

 といっても、決して難解な作品ではない。物語はいたってシンプルだ。
 『アナと雪の女王』の主人公エルサ王女がみんなとの違いに悩み、それを隠そうとするあまり誰とも打ち解けないのとは対照的に、本作の主人公エメットはどこにでもいる平凡な建設作業員だ。王子でも王女でもスーパーヒーローでもない。
 彼の特徴は個性がないこと。彼は他人と違った何かをまったく持ち合わせていない。そのため誰からも気にかけてもらえないし、いなくなっても気づいてもらえない。マニュアル通りに行動したことしかなくて、マニュアルがなければ何もできない。悲しくなるほど情けない、どうでもいいヤツなのだ。
 そんな建設作業員がアクションに次ぐアクション、冒険に次ぐ冒険を重ねて、世界を引っくり返すような大活躍をするのだから、建設作業員が世界を救う『トータル・リコール』(1990年)にも負けない痛快さだ。

 しかもエメットは、眠っていた力を呼び覚ますのでも、パワーアップするのでもない。あくまで平凡な建設作業員として、マニュアルにも頼りつつ、苦難を乗り越えていく。
 そう、彼はまさしく私たちそのものだ。選ばれし者だったらいいな、なんて思うことがあったとしても、間違っても選ばれし者なんかになれやしない。私たちは特別じゃない。そんな人間が、それでも何かをしようとしたら、マニュアルを読んだり、つまらない思い付きを実行しながらジタバタするしかないのだ。

 そんなエメットがたどり着く結末は、意外や感動に溢れている。
 少数の凄いマスター・ビルダーが頑張っても、世界は変わらない。世界を変えるのは、個性のないエメットやその他大勢の人々なのだ。彼らが頑張って危機を乗り越えるからこそ、感動がある。

 全編を彩る主題歌『Everything Is Awesome』で歌われるように、すべては最高なのだ!


LEGO®ムービー 3D&2D ブルーレイセット(初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]LEGO ムービー』  [ら行]
監督・原案・脚本/フィル・ロード、クリストファー・ミラー
出演/クリス・プラット ウィル・フェレル エリザベス・バンクス モーガン・フリーマン リーアム・ニーソン ウィル・アーネット 
日本語吹替版の出演/森川智之 沢城みゆき 山寺宏一 羽佐間道夫 玄田哲章
日本公開/2014年3月21日
ジャンル/[コメディ] [アドベンチャー]
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【theme : 特撮・SF・ファンタジー映画
【genre : 映画

tag : フィル・ロード クリストファー・ミラー クリス・プラット ウィル・フェレル エリザベス・バンクス モーガン・フリーマン リーアム・ニーソン ウィル・アーネット 森川智之 沢城みゆき

⇒comment

『8 1/2』

記事は拝見していたのですが、見解(?)が違いすぎるのでTB遠慮しておりました。
わたしは「冒頭のシークエンスから8 1/2年後が舞台」ということにも気がつきませんでした。
(個性のないエメットやその他大勢の人々)にもわかるように表現いただきたい!(笑)

No title

↑表現もなにも、でっかく画面に「8 1/2 years after」って出てましたけど大丈夫ですか

Re: 『8 1/2』

まっつぁんこさん、コメントありがとうございます。
私は違う見解の記事を読むのも面白いなぁと思います。
TBをお送りしてご迷惑だったら申し訳ありませんが、当方にはご遠慮なさらずドシドシお送りください:-)

Re: No title

未記入さん、こんにちは。
そうなんですけど、お手柔らかにお願いします。

No title

ここまで「夢の共演」ができたのですから、できればマーベルのキャラも出て欲しかった… 無理だとわかっていても(笑) レゴのHPのカタログを見るとDCヒーローの枠ののとなりに仲良くマーベルの枠が並んでるんですけどね。しかしここはないものをねだりをするよりも、SWや中つ国までもってきたスタッフの努力を評価すべきでしょうか
わたしが一番ウケたのは「レオナルドとレオナルド」「ガンダルフとダンブルドア」「逆だ!」のくだりでした

Re: No title

SGA屋伍一さん、こんにちは。
ハン・ソロたちを登場させるにはディズニーと話をつける必要があったでしょうから、それができるならスパイディたちも……とは思いますよね。
まぁ、それは続編に期待しましょう:-)

私は、見えない飛行機がちゃんと攻撃されているのに笑ってしまいました。

No title

ふと思った。

「よし次は『LEGO VS トランスフォーマー』だ!」

見たいかもしれん。

Re: No title

>ふじき78さん

そこへミクロマンが乱入。

観たいなぁ。

No title

特徴のなさが生きてるってのが、自分の中でグサッとキマした。
歯車の一個の大事さみたいなもんもきっちり描いてるってのかな~。

これが子供が小っちゃかったら、絶対に連れて行ってるんですが、いかんせん、一緒に行ってくれなくなり・・・(マーベルには行ってた。。)、一人さびしく鑑賞でした。
レゴで遊んでた頃の息子らと絶対に見たかったなあ~とつくづく思いました。
レゴって、高いのよねええ。

Re: No title

sakuraiさん、こんにちは。

歯車ってのはいい言葉ですね。
一つだけでできることはほとんどないけど、他の歯車ときっちり組み合わさることで、巨大な物を動かしたり、時を告げたり、いろんな働きができる。たった一つが不調なだけで、全体の動きもおかしくなってしまう大切なもの。
社会の歯車ってのはいい言葉だと思います。

主人公に特徴がなさ過ぎて、顔認証システムで検出できない、ってのは笑いましたけど。

お子さんたちがご覧にならなかったのは残念ですね。
本作の、マニュアルもいいけどそこから自由になるのもいい、というメッセージは、若い人にも響くはずなのに。

No title

はじめまして。アンダーソンと申します。

映画が好きな人間です。中でも特撮が好きです。
LEGOムービーも大好きな映画です。

どうぞよろしくお願いします。

Re: No title

アンダーソンさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

これは面白い映画でしたね!
特撮だと、最近では『ラブ&ピース』が印象的でした。

こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
Secret

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