『マイウェイ 12,000キロの真実』 たったひとつ残念なこと
素晴らしい!
そう素直に感嘆した。
人々の対立と葛藤、壊れる友情と生まれる友情、そして彼らを取り巻く数奇な運命。物語は波乱に富んで飽きさせないし、喜怒哀楽すべての感情を揺さぶるエピソードに満ちている。私は『マイウェイ 12,000キロの真実』を観て良かったと大満足で映画館を後にした。
何よりも舌を巻いたのは、この韓国映画の思慮深さだ。
映画は日中戦争前の時代から説き起こし、ノモンハン事件以降の出来事をたどりながら、第二次世界大戦後までを舞台にしている。この、取り上げ方の難しい時代を背景に、日本人と朝鮮人(当時まだ大韓民国という国はなかった)と中国人のドラマを描くのだ。日本でも韓国でも中国でも受け入れられる映画にするのは至難の業だ。
けれども、作品を作るからには外国市場も狙うのが韓国映画だ。国内の観客だけが満足するような狭量な作品とはせず、ちゃんと韓中日三ヶ国にアピールするように作られている。これが実に上手い。
まず、韓国の観客が感情移入しやすいように、朝鮮人は善人、日本人は悪人という構図で映画ははじまる。しかも、観客から「オレたちが受けた仕打ちはこんなもんじゃない」と云われないように、日本人はまったくもって悪辣卑劣で、朝鮮人はあくまで被害者であると強調している。
その最たるものが、本作の二人の主人公、長谷川辰雄とキム・ジュンシクだ。オダギリジョー演じる長谷川辰雄はコチコチの軍国少年だ。尊敬する人は憲兵隊司令官の祖父。口癖は「大日本帝国万歳!」:-)
他方、チャン・ドンゴン演じるキム・ジュンシクは絵に描いたような善人だ。彼のすることは誰でも共感する。どんな境遇に陥ってもコツコツ努力することを忘れない、実に立派な人間だ。
もちろん、これでは日本の観客にソッポを向かれてしまうから、映画には良識を持った日本人も登場する。それが長谷川辰雄の父親だ。医者である父は、辰雄に「国よりも、まず人のことを考えなさい」と説く。このような人物を配することで、日本の観客も感情移入する対象を見出す。
他国では、今でも日本は戦前と変わらぬ軍国主義だと思われているようだが、現代の日本人からすれば、辰雄こそ偏向していて理解不能な人間だ。
さらに、巨大マーケットである中国の観客も取り込むために、中国人少女も登場する。ファン・ビンビン演じる少女は、日本人に陵辱され、日本人に復讐することだけを考えている。ここで中国人はぜんぜん悪くないから、中国の観客にも受けるに違いない。
これら東アジアの人々がユーラシア大陸を横断する12,000キロメートルの旅は、スケールの大きなドラマとして、各国で受け入れられるだろう。
けれども、これだけでは物足りない。
キム・ジュンシクが日本軍に徴用されたのちは、辰雄の父の出番もなくなり、辰雄の横暴さばかりが目立ってくるからだ。日本の観客には居心地が悪かろう。
しかし、オダギリジョーとチャン・ドンゴンが競演した本作の、真の主人公はやはりオダギリジョーだった。
「ふたりの王女」のうち、温かな光の王女よりも、屈折した闇の王女の方が観客にアピールするのと同じである。あくまで善人のキム・ジュンシクはたいへん判りやすい人物だが、観客が魅了されるのは軍国少年だった長谷川辰雄だ。決して通り一遍の人間ではない、その心の変遷を、オダギリジョーが熱演している。
そして映画は、日本兵の中にも温かみのある者や本当のクズなどさまざまな人間がいることを描く。同時に、朝鮮人にも卑劣な奴、横暴な奴がいることを描き、「朝鮮人は善人、日本人は悪人」という構図をみずから壊してみせる。
はじめは朝鮮人と日本人との対立が取り上げられていたけれど、大陸を旅してソ連やドイツが舞台となるうちに、朝鮮人とか日本人ということからドンドン意味がなくなっていく。
そこには、戦争で浮き彫りにされた一人ひとりの人間の生き様があるだけなのだ。
私ははらはらと涙をこぼしながら、彼らの運命の行きつく先を見つめていた。
脚本・制作・監督を務めたカン・ジェギュは、公式サイトのインタビューにおいて、この映画で伝えたいのは「人間に対する理解」だと述べている。
---
この作品は戦争の悲劇を描いている訳ではなくて、人間が希望を探す映画だと思っています。過酷な状況の中、国籍も境遇も異なる人間を理解し、好きになる、そして失っていた夢を取り戻す。私がここで伝えたい希望とは、「人間に対する理解」だったり「夢」だと思っています。それがあればどんな辛い状況でも生きていけると思っています。
(略)
戦争を通じて人間の本質を確認する――、そんな映画にしたいと考えています。
もちろんこの映画も、戦争の加害者と被害者を主人公に物語が出発します。しかし、物語が進むにつれて、それは何も意味がないことだと分かってくると思います。
この映画の中に私の戦争への見解はありません。両国どちらかの見解で描くのではなく、それ以上にもっと成熟した映画にしなければならないと考えているからです。
---
ドイツ兵の中に東洋人が交じっている1枚の写真から、カン・ジェギュ監督はこの壮大なファンタジーを紡ぎ出した。そこにカン・ジェギュが込めた願いや夢は、多くの観客の胸に響くだろう。
ひとつ残念なことがあるとすれば、このような素晴らしい企画が日本から生まれなかったことである。
『マイウェイ 12,000キロの真実』 [ま行]
監督・制作・脚本/カン・ジェギュ
出演/オダギリジョー チャン・ドンゴン ファン・ビンビン 佐野史郎 鶴見辰吾 夏八木勲 浜田学 キム・イングォン キム・ヒウォン オ・テギョン
日本公開/2012年1月14日
ジャンル/[ドラマ] [戦争]
http://bookmarks.yahoo.co.jp/bookmarklet/showpopup?t='+encodeURIComponent(document.title)+'&u='+encodeURIComponent(location.href)+'&ei=UTF-8','_blank','width=550,height=480,left=100,top=50,scrollbars=1,resizable=1',0);">
そう素直に感嘆した。
人々の対立と葛藤、壊れる友情と生まれる友情、そして彼らを取り巻く数奇な運命。物語は波乱に富んで飽きさせないし、喜怒哀楽すべての感情を揺さぶるエピソードに満ちている。私は『マイウェイ 12,000キロの真実』を観て良かったと大満足で映画館を後にした。
何よりも舌を巻いたのは、この韓国映画の思慮深さだ。
映画は日中戦争前の時代から説き起こし、ノモンハン事件以降の出来事をたどりながら、第二次世界大戦後までを舞台にしている。この、取り上げ方の難しい時代を背景に、日本人と朝鮮人(当時まだ大韓民国という国はなかった)と中国人のドラマを描くのだ。日本でも韓国でも中国でも受け入れられる映画にするのは至難の業だ。
けれども、作品を作るからには外国市場も狙うのが韓国映画だ。国内の観客だけが満足するような狭量な作品とはせず、ちゃんと韓中日三ヶ国にアピールするように作られている。これが実に上手い。
まず、韓国の観客が感情移入しやすいように、朝鮮人は善人、日本人は悪人という構図で映画ははじまる。しかも、観客から「オレたちが受けた仕打ちはこんなもんじゃない」と云われないように、日本人はまったくもって悪辣卑劣で、朝鮮人はあくまで被害者であると強調している。
その最たるものが、本作の二人の主人公、長谷川辰雄とキム・ジュンシクだ。オダギリジョー演じる長谷川辰雄はコチコチの軍国少年だ。尊敬する人は憲兵隊司令官の祖父。口癖は「大日本帝国万歳!」:-)
他方、チャン・ドンゴン演じるキム・ジュンシクは絵に描いたような善人だ。彼のすることは誰でも共感する。どんな境遇に陥ってもコツコツ努力することを忘れない、実に立派な人間だ。
もちろん、これでは日本の観客にソッポを向かれてしまうから、映画には良識を持った日本人も登場する。それが長谷川辰雄の父親だ。医者である父は、辰雄に「国よりも、まず人のことを考えなさい」と説く。このような人物を配することで、日本の観客も感情移入する対象を見出す。
他国では、今でも日本は戦前と変わらぬ軍国主義だと思われているようだが、現代の日本人からすれば、辰雄こそ偏向していて理解不能な人間だ。
さらに、巨大マーケットである中国の観客も取り込むために、中国人少女も登場する。ファン・ビンビン演じる少女は、日本人に陵辱され、日本人に復讐することだけを考えている。ここで中国人はぜんぜん悪くないから、中国の観客にも受けるに違いない。
これら東アジアの人々がユーラシア大陸を横断する12,000キロメートルの旅は、スケールの大きなドラマとして、各国で受け入れられるだろう。
けれども、これだけでは物足りない。
キム・ジュンシクが日本軍に徴用されたのちは、辰雄の父の出番もなくなり、辰雄の横暴さばかりが目立ってくるからだ。日本の観客には居心地が悪かろう。
しかし、オダギリジョーとチャン・ドンゴンが競演した本作の、真の主人公はやはりオダギリジョーだった。
「ふたりの王女」のうち、温かな光の王女よりも、屈折した闇の王女の方が観客にアピールするのと同じである。あくまで善人のキム・ジュンシクはたいへん判りやすい人物だが、観客が魅了されるのは軍国少年だった長谷川辰雄だ。決して通り一遍の人間ではない、その心の変遷を、オダギリジョーが熱演している。
そして映画は、日本兵の中にも温かみのある者や本当のクズなどさまざまな人間がいることを描く。同時に、朝鮮人にも卑劣な奴、横暴な奴がいることを描き、「朝鮮人は善人、日本人は悪人」という構図をみずから壊してみせる。
はじめは朝鮮人と日本人との対立が取り上げられていたけれど、大陸を旅してソ連やドイツが舞台となるうちに、朝鮮人とか日本人ということからドンドン意味がなくなっていく。
そこには、戦争で浮き彫りにされた一人ひとりの人間の生き様があるだけなのだ。
私ははらはらと涙をこぼしながら、彼らの運命の行きつく先を見つめていた。
脚本・制作・監督を務めたカン・ジェギュは、公式サイトのインタビューにおいて、この映画で伝えたいのは「人間に対する理解」だと述べている。
---
この作品は戦争の悲劇を描いている訳ではなくて、人間が希望を探す映画だと思っています。過酷な状況の中、国籍も境遇も異なる人間を理解し、好きになる、そして失っていた夢を取り戻す。私がここで伝えたい希望とは、「人間に対する理解」だったり「夢」だと思っています。それがあればどんな辛い状況でも生きていけると思っています。
(略)
戦争を通じて人間の本質を確認する――、そんな映画にしたいと考えています。
もちろんこの映画も、戦争の加害者と被害者を主人公に物語が出発します。しかし、物語が進むにつれて、それは何も意味がないことだと分かってくると思います。
この映画の中に私の戦争への見解はありません。両国どちらかの見解で描くのではなく、それ以上にもっと成熟した映画にしなければならないと考えているからです。
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ドイツ兵の中に東洋人が交じっている1枚の写真から、カン・ジェギュ監督はこの壮大なファンタジーを紡ぎ出した。そこにカン・ジェギュが込めた願いや夢は、多くの観客の胸に響くだろう。
ひとつ残念なことがあるとすれば、このような素晴らしい企画が日本から生まれなかったことである。

監督・制作・脚本/カン・ジェギュ
出演/オダギリジョー チャン・ドンゴン ファン・ビンビン 佐野史郎 鶴見辰吾 夏八木勲 浜田学 キム・イングォン キム・ヒウォン オ・テギョン
日本公開/2012年1月14日
ジャンル/[ドラマ] [戦争]


tag : カン・ジェギュオダギリジョーチャン・ドンゴンファン・ビンビン佐野史郎鶴見辰吾夏八木勲浜田学キム・イングォンキム・ヒウォン
⇒comment
捻くれ者の戯れ言
ナドレックさん、わざわざTBをありがとうございます。
とはいえ、この作品につき、ナドレックさんは「素直に感嘆」されたとのことですが、クマネズミは、久しぶりのオダギリジョーの主演作ということで期待が大きすぎたのでしょう、前半部分で躓いてしまい、とても“素直”になれず捻くれざるを得ませんでした。
確かに、あれだけ迫力ある戦闘シーン映し出すためには相当の資金が必要で、それを上手く回収するためにも、「ちゃんと韓中日三ヶ国にアピールするように作られている」ものとは思います(実際には、韓国でも日本でも惨敗で、製作費の半分も回収できないのではとされているようですが―http://blog.livedoor.jp/touanews/archives/2893119.html)。
その結果、本作では、「日本人はまったくもって悪辣卑劣で、朝鮮人はあくまで被害者であると強調」されていて、「辰雄の横暴さばかりが目立」ち、「日本の観客には居心地が悪」くなってしまいます。
そうなると、酷い視野狭窄で日本のことしか目に入らないクマネズミにとっては、後半になると長谷川辰雄が「決して通り一遍の人間ではない」ように描かれ、「その心の変遷を、オダギリジョーが熱演している」にしても、そしていくらカン・ジェギュ監督が「人間に対する理解」を強調しようとも、もはや受け付けなくなってしまいます。
せめて、“based on a true story”があれほど強調されなければ、そして全体がより戦争ファンタジーと受け取れるように作られていれば、まだしもと思うのですが。
それでも、朝鮮半島出身の日本兵の存在という点では勉強になりました。
とはいえ、この作品につき、ナドレックさんは「素直に感嘆」されたとのことですが、クマネズミは、久しぶりのオダギリジョーの主演作ということで期待が大きすぎたのでしょう、前半部分で躓いてしまい、とても“素直”になれず捻くれざるを得ませんでした。
確かに、あれだけ迫力ある戦闘シーン映し出すためには相当の資金が必要で、それを上手く回収するためにも、「ちゃんと韓中日三ヶ国にアピールするように作られている」ものとは思います(実際には、韓国でも日本でも惨敗で、製作費の半分も回収できないのではとされているようですが―http://blog.livedoor.jp/touanews/archives/2893119.html)。
その結果、本作では、「日本人はまったくもって悪辣卑劣で、朝鮮人はあくまで被害者であると強調」されていて、「辰雄の横暴さばかりが目立」ち、「日本の観客には居心地が悪」くなってしまいます。
そうなると、酷い視野狭窄で日本のことしか目に入らないクマネズミにとっては、後半になると長谷川辰雄が「決して通り一遍の人間ではない」ように描かれ、「その心の変遷を、オダギリジョーが熱演している」にしても、そしていくらカン・ジェギュ監督が「人間に対する理解」を強調しようとも、もはや受け付けなくなってしまいます。
せめて、“based on a true story”があれほど強調されなければ、そして全体がより戦争ファンタジーと受け取れるように作られていれば、まだしもと思うのですが。
それでも、朝鮮半島出身の日本兵の存在という点では勉強になりました。
残念なこと
「このような素晴らしい企画が日本から生まれなかったこと」残念です。
「戦争を通じて人間の本質を確認する」監督の意図は充分伝わっていると思います。
「戦争を通じて人間の本質を確認する」監督の意図は充分伝わっていると思います。
Re: 捻くれ者の戯れ言
クマネズミさん、こんにちは。
たしかに本作がまるで実話であるかのような宣伝はいただけませんね。
公式サイトで本作に好意的なコメントを寄せている小林源文氏でさえ、「ノモンハンの戦いには韓国出身の日本兵は誰一人加わっていなかった」「時代考証はしっかりして欲しいと思いますね」と述べていますし。
http://myway-movie.com/special2/
ただ、あの前半部があるからこそ後半の辰雄の変化が劇的に感じられるわけで、作劇法としては間違ってないと思います。まぁ、映画やテレビドラマは史実としての正確さよりも人々のイメージに合わせて作られますから、韓国の人が抱く日本統治時代のイメージがこうなのでしょう。そしてカン・ジェギュ監督は、考証に正確を期するよりも、未来に目を向けることの大切さを重視したのでしょう。
韓国での興行成績が思わしくないのは、最終的には日本人に花を持たせているのが受け入れられなかったのでしょうか。にもかかわらず、日本人に花を持たせる映画が日本でウケないのは残念です。
私としては、カン・ジェギュ監督の心意気に負けぬよう、日本の映画人にも奮起して欲しいです。
日本人の悪辣卑劣なイメージを払拭するような映画を送り出し、韓国や中国の観客を感動でむせび泣かせてもらいたいものです。
ところで、朝鮮半島出身の日本兵が印象的な映画には、『戦場のメリークリスマス』がありますね。
ジョニー大倉さんが朝鮮人軍属を演じていました。
たしかに本作がまるで実話であるかのような宣伝はいただけませんね。
公式サイトで本作に好意的なコメントを寄せている小林源文氏でさえ、「ノモンハンの戦いには韓国出身の日本兵は誰一人加わっていなかった」「時代考証はしっかりして欲しいと思いますね」と述べていますし。
http://myway-movie.com/special2/
ただ、あの前半部があるからこそ後半の辰雄の変化が劇的に感じられるわけで、作劇法としては間違ってないと思います。まぁ、映画やテレビドラマは史実としての正確さよりも人々のイメージに合わせて作られますから、韓国の人が抱く日本統治時代のイメージがこうなのでしょう。そしてカン・ジェギュ監督は、考証に正確を期するよりも、未来に目を向けることの大切さを重視したのでしょう。
韓国での興行成績が思わしくないのは、最終的には日本人に花を持たせているのが受け入れられなかったのでしょうか。にもかかわらず、日本人に花を持たせる映画が日本でウケないのは残念です。
私としては、カン・ジェギュ監督の心意気に負けぬよう、日本の映画人にも奮起して欲しいです。
日本人の悪辣卑劣なイメージを払拭するような映画を送り出し、韓国や中国の観客を感動でむせび泣かせてもらいたいものです。
ところで、朝鮮半島出身の日本兵が印象的な映画には、『戦場のメリークリスマス』がありますね。
ジョニー大倉さんが朝鮮人軍属を演じていました。
Re: 残念なこと
まっつぁんこさん、コメントありがとうございます。
邦画を観ていると、同じような映画が企画される一方で、ほとんど手を付けられていない領域もあると感じます。
日本統治時代の朝鮮はその一つでしょう。
カン・ジェギュ監督は、この難しい時代を背景にしつつ、日本と韓国の未来に思いを馳せました。
これに対してどんな返歌を送るのか、日本映画界の度量が問われていると思います。
邦画を観ていると、同じような映画が企画される一方で、ほとんど手を付けられていない領域もあると感じます。
日本統治時代の朝鮮はその一つでしょう。
カン・ジェギュ監督は、この難しい時代を背景にしつつ、日本と韓国の未来に思いを馳せました。
これに対してどんな返歌を送るのか、日本映画界の度量が問われていると思います。
監督の
サービス精神と、あまねくいろいろな立場を描かないと!!という気持ちが表れてたかもですね。
そのあまねく精神が、もしかしたら結構どっちつかず・・にとられたかも。
今思うと、なんだかファンタジーっぽいなあと思い返してます。
きっちりとした現実の物語を、誇張せず、ドキュメンタリーっぽく撮っても良かったかなと。
そのあまねく精神が、もしかしたら結構どっちつかず・・にとられたかも。
今思うと、なんだかファンタジーっぽいなあと思い返してます。
きっちりとした現実の物語を、誇張せず、ドキュメンタリーっぽく撮っても良かったかなと。
No title
はじめましてナドレックさんあなたの熱心なファン。あらかぶといいます。いつも豊富な知識に関心しきりです。映画解説も素晴らしいです。
初のコメントで申し訳ないのですが。
この映画は反日感情を煽るための作られたように私には思えました。歴史を歪曲しすぎです。ナドレックさんがこのような映画を絶賛されるなんてとても残念に思います。なんだかパールハーバーを見たときと同じ不快感を感じました。とても残念です。
初のコメントで申し訳ないのですが。
この映画は反日感情を煽るための作られたように私には思えました。歴史を歪曲しすぎです。ナドレックさんがこのような映画を絶賛されるなんてとても残念に思います。なんだかパールハーバーを見たときと同じ不快感を感じました。とても残念です。
No title
はじめまして。
TBを間違ってしまいました。ごめんなさい。
出来ればお手数ですが、削除してやってください。すいません。
映画ですが、内容などいろいろと思うことはありますが
戦闘シーンのすごさには驚きました。
日本映画でもあれだけの迫力ある戦闘シーンを見てみたいものです。
TBを間違ってしまいました。ごめんなさい。
出来ればお手数ですが、削除してやってください。すいません。
映画ですが、内容などいろいろと思うことはありますが
戦闘シーンのすごさには驚きました。
日本映画でもあれだけの迫力ある戦闘シーンを見てみたいものです。
Re: 監督の
sakuraiさん、こんにちは。
> きっちりとした現実の物語を、誇張せず、ドキュメンタリーっぽく撮っても良かったかなと。
これができればいいんですけどね。
外国では多少アレンジがあっても“based on a true story”で売り込みますが、日本は事実に基づいた映画でも「この作品はフィクションです」と断らないとツッコミを入れられます。一方、韓国はアレンジに対しておおらか(ドラマ『太王四神記』で、山東半島が百済の領土とされているのには驚きました)。
同じ事件に取材しても、事実認識や解釈の違い、アプローチ方法を巡って、日韓で異論が噴出するような気がします。
今はまだ、ファンタジーっぽく作るしかないのかなと思います。
> きっちりとした現実の物語を、誇張せず、ドキュメンタリーっぽく撮っても良かったかなと。
これができればいいんですけどね。
外国では多少アレンジがあっても“based on a true story”で売り込みますが、日本は事実に基づいた映画でも「この作品はフィクションです」と断らないとツッコミを入れられます。一方、韓国はアレンジに対しておおらか(ドラマ『太王四神記』で、山東半島が百済の領土とされているのには驚きました)。
同じ事件に取材しても、事実認識や解釈の違い、アプローチ方法を巡って、日韓で異論が噴出するような気がします。
今はまだ、ファンタジーっぽく作るしかないのかなと思います。
Re: No title
あらかぶさん、コメントありがとうございます。
そうですね、本作は反日感情を煽ってるように感じますよね。
その本作が、韓国では親日映画と批評されて客の入りが悪かったのはどういうことでしょう。
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=6&ai_id=143638
もしかしたら、日本人が「反日だ」と感じる程度の描写は、韓国人には反日のうちに入らないのかもしれません。
私たちは配給会社のフィルターを通り抜けた映画しか観ていませんが、日本に配給されない作品ではどんな描き方がされているのでしょう。
むかし香港映画を観たときに、日本への原爆投下を喜ぶシーンがあって驚きました。そのときの不快感は、最終的に日本人に花を持たせている本作の比ではありませんでした。
私は本作からひとつ学んだことがあります。
私はこれまで、歴史は事実に基づいて正確に語られるべきだと思っていました。ですが、未来に目を向けるためなら、過去の歴史はうやむやでも曖昧でもいい。今はそんな気がしています。
私にとって、オダギリジョーが慟哭するシーンは、それくらいインパクトがありました。
そうですね、本作は反日感情を煽ってるように感じますよね。
その本作が、韓国では親日映画と批評されて客の入りが悪かったのはどういうことでしょう。
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=6&ai_id=143638
もしかしたら、日本人が「反日だ」と感じる程度の描写は、韓国人には反日のうちに入らないのかもしれません。
私たちは配給会社のフィルターを通り抜けた映画しか観ていませんが、日本に配給されない作品ではどんな描き方がされているのでしょう。
むかし香港映画を観たときに、日本への原爆投下を喜ぶシーンがあって驚きました。そのときの不快感は、最終的に日本人に花を持たせている本作の比ではありませんでした。
私は本作からひとつ学んだことがあります。
私はこれまで、歴史は事実に基づいて正確に語られるべきだと思っていました。ですが、未来に目を向けるためなら、過去の歴史はうやむやでも曖昧でもいい。今はそんな気がしています。
私にとって、オダギリジョーが慟哭するシーンは、それくらいインパクトがありました。
Re: No title
rabiovskyさん、コメントありがとうございます。
送信誤りのTBは削除しておきました。
私はいささか「血」が苦手なので、本作の戦闘シーンは迫力がありすぎました。
とはいえ、これだけの映画が約20億円の制作費でできるんですね。日本映画にも大いに期待したいです。
送信誤りのTBは削除しておきました。
私はいささか「血」が苦手なので、本作の戦闘シーンは迫力がありすぎました。
とはいえ、これだけの映画が約20億円の制作費でできるんですね。日本映画にも大いに期待したいです。
はじめまして
最近「映画部族」というブログを始めたQuestと申します。
この映画、傑作だと思いました。
ただ、反日映画や韓国礼賛映画として捉えることにはちょっと抵抗があります。どの民族も逃れられない憎悪の連鎖みたいなものが一つのテーマになっていると思いますし、だからこそそれを乗り越えようとしている辰雄の成長物語として感動を呼ぶのではないかな感じます。
興業的に苦戦しているようですが、親日や反日など極端な基準で見ると確かにいかにもすべてが中途半端に見えるかもしれません。しかし、日本人も韓国人も中国人も大きな違いはない、という観点の映画だと思いますし、どうなんでしょうか。個人的な意見ですが・・・。
よろしければ私のブログにも立ち寄って頂ければ嬉しいです。
この映画、傑作だと思いました。
ただ、反日映画や韓国礼賛映画として捉えることにはちょっと抵抗があります。どの民族も逃れられない憎悪の連鎖みたいなものが一つのテーマになっていると思いますし、だからこそそれを乗り越えようとしている辰雄の成長物語として感動を呼ぶのではないかな感じます。
興業的に苦戦しているようですが、親日や反日など極端な基準で見ると確かにいかにもすべてが中途半端に見えるかもしれません。しかし、日本人も韓国人も中国人も大きな違いはない、という観点の映画だと思いますし、どうなんでしょうか。個人的な意見ですが・・・。
よろしければ私のブログにも立ち寄って頂ければ嬉しいです。
Re: はじめまして
Questさん、はじめまして。
おっしゃるとおりだと思います!
本作は韓国、中国、日本の人々を描きますが、イギリス、フランス、ドイツでも、イラン、イラク、クウェートでも、大きな違いはないような気がします。
今後ともよろしくお願いします。
おっしゃるとおりだと思います!
本作は韓国、中国、日本の人々を描きますが、イギリス、フランス、ドイツでも、イラン、イラク、クウェートでも、大きな違いはないような気がします。
今後ともよろしくお願いします。
No title
この作品の原作は日本製です。
手っ取り早く読みたいなら漫画「ハッピータイガー」(小林源文)でも読んでください。
手っ取り早く読みたいなら漫画「ハッピータイガー」(小林源文)でも読んでください。
Re: No title
> この作品の原作は日本製です。
本作は、カン・ジェギュ監督がドイツ軍捕虜に交じった東洋人の写真を目にしたことから構想したもので、特定の原作はありません。
http://cinema.pia.co.jp/news/156086/44794/
小林源文氏によれば、ドイツで戦った日本人が40~50人はいたそうですから、本作や『ハッピータイガー』のようなエピソードにはこと欠かないのでしょう。
小林源文氏が本作を絶賛しているのも、同様のテーマに挑んだ心意気に共感したからだと思います。
http://myway-movie.com/special2/
テーマが類似していることと原作かどうかとは、まったく別の問題です。
本作は、カン・ジェギュ監督がドイツ軍捕虜に交じった東洋人の写真を目にしたことから構想したもので、特定の原作はありません。
http://cinema.pia.co.jp/news/156086/44794/
小林源文氏によれば、ドイツで戦った日本人が40~50人はいたそうですから、本作や『ハッピータイガー』のようなエピソードにはこと欠かないのでしょう。
小林源文氏が本作を絶賛しているのも、同様のテーマに挑んだ心意気に共感したからだと思います。
http://myway-movie.com/special2/
テーマが類似していることと原作かどうかとは、まったく別の問題です。
久しぶりに見たので
今更ですがコメントさせてください。
最後ロンドンオリンピックの描写の後に、映画の冒頭で初めて会った辰雄とジュンシクが駆けっこをした時の続きが流れますが、そこでジュンシクの靴が脱げてしまった時に辰雄はジュンシクが靴を履き直すのを待ってからまた一緒に走っていくところで終わるんですよね。このカットがあるのとないのとでは大きく違うと思うんです。
日本人である辰雄が韓国人のジュンシクになってオリンピックで走っている姿を見た時は、正直無粋な考察が頭を過ぎりましたが、この待ってあげるという思いやりの行為をエンドロールの前に置いたことに、最後全てを持ってかれました。
確かに突っ込みどころはたくさんあるし、完成度が高い映画とはとても言えません。
しかし、それでも未来への希望やいつか分かり合えるという夢をこの描写だけで表現しているのことに感動してしまいました。
それは、エンディング曲である「To find my way」の歌詞にも表れているのでぜひ聞いてみてください。
最後ロンドンオリンピックの描写の後に、映画の冒頭で初めて会った辰雄とジュンシクが駆けっこをした時の続きが流れますが、そこでジュンシクの靴が脱げてしまった時に辰雄はジュンシクが靴を履き直すのを待ってからまた一緒に走っていくところで終わるんですよね。このカットがあるのとないのとでは大きく違うと思うんです。
日本人である辰雄が韓国人のジュンシクになってオリンピックで走っている姿を見た時は、正直無粋な考察が頭を過ぎりましたが、この待ってあげるという思いやりの行為をエンドロールの前に置いたことに、最後全てを持ってかれました。
確かに突っ込みどころはたくさんあるし、完成度が高い映画とはとても言えません。
しかし、それでも未来への希望やいつか分かり合えるという夢をこの描写だけで表現しているのことに感動してしまいました。
それは、エンディング曲である「To find my way」の歌詞にも表れているのでぜひ聞いてみてください。
Re: 久しぶりに見たので
damehamuさん、コメントありがとうございます。
>この待ってあげるという思いやりの行為
damehamuさんのコメントを拝見して、やっぱりいい映画だと改めて思いました。
アンドレア・ボチェッリが朗々と歌う『To Find My Way』も素晴らしいですね。映画『My Way』の主題歌が『To Find My Way』とはいかしてます。
最後に日本や韓国の歌手を持ってくるのではなく、盲目のテノール歌手の歌声で締めくくるところに、映画の作り手の深い思いが感じられます。
>この待ってあげるという思いやりの行為
damehamuさんのコメントを拝見して、やっぱりいい映画だと改めて思いました。
アンドレア・ボチェッリが朗々と歌う『To Find My Way』も素晴らしいですね。映画『My Way』の主題歌が『To Find My Way』とはいかしてます。
最後に日本や韓国の歌手を持ってくるのではなく、盲目のテノール歌手の歌声で締めくくるところに、映画の作り手の深い思いが感じられます。
No title
韓国での興業成績が期待以下なことで韓国人が日本に対し未だ心を開いてないことを痛切に感じさせられます。もっと月日がいるのでしょうが何年待っても駄目なのでしょうか。この映画は確かに日本軍のいやらしさにじっと座ってみるのは苦痛でしたがこういうことがあったのだと我慢してみました。主人公ふたりが目と目をみて手を差し伸べ握り返す段階にきて多くの韓国人が素直にこの状況に感動してくれることを願って見終えました。
Re: No title
ドラゴンさん、こんにちは。
韓国でこの映画が「親日」と見られて興行成績が伸びなかったのは残念なことです。
同時に日本でもあまり興行成績が伸びず、しかも日本では「反日」と捉える人がいたのもたいへん残念です。
日韓関係については、月日が経っても良くなるかどうか判りません。
韓国情勢に詳しい木村幹氏、鈴置高史氏は「日韓関係はどんどん悪くなる」と見ています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120801/235191/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130409/246395/
大きな要因として日本の経済力が落ちていることが挙げられるでしょう。
リンク先の記事によれば、1960年代末の韓国の日米両国への貿易依存度は70%以上でしたが、年々その割合は低下し、今や中国だけで日米を併せた規模を超えるようになったといいます。
韓国には日本と仲良くする必要がないということでしょう。
でも考えてみれば、世界の多くの国は他国と国境を接し、領土等にまつわる対立をはらみながらこんにちに至っています。それが普通のことなのであって、日本も普通の状態になるだけなのかも知れません。
その状態を悪化させないように、いかに立ち回るか。日本人には慎重さが求められるでしょうね。
韓国でこの映画が「親日」と見られて興行成績が伸びなかったのは残念なことです。
同時に日本でもあまり興行成績が伸びず、しかも日本では「反日」と捉える人がいたのもたいへん残念です。
日韓関係については、月日が経っても良くなるかどうか判りません。
韓国情勢に詳しい木村幹氏、鈴置高史氏は「日韓関係はどんどん悪くなる」と見ています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120801/235191/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130409/246395/
大きな要因として日本の経済力が落ちていることが挙げられるでしょう。
リンク先の記事によれば、1960年代末の韓国の日米両国への貿易依存度は70%以上でしたが、年々その割合は低下し、今や中国だけで日米を併せた規模を超えるようになったといいます。
韓国には日本と仲良くする必要がないということでしょう。
でも考えてみれば、世界の多くの国は他国と国境を接し、領土等にまつわる対立をはらみながらこんにちに至っています。それが普通のことなのであって、日本も普通の状態になるだけなのかも知れません。
その状態を悪化させないように、いかに立ち回るか。日本人には慎重さが求められるでしょうね。
No title
この映画は、ハッピータイガーのパクリですよね。
残念です。
残念です。
Re: No title
未記入さん、こんにちは。
いただいたコメントからはいくつもの論点がうかがえて興味深いです。
コメントを拝見して、ざっと次のようなことを考えてみました。
1. パクリとは何か。どのような行為がパクリに当たるのか。
2. パクリは善いことなのか、悪いことなのか。
3. パクリの善し悪しの判断は時代によってどのように変遷してきたか。
4. この映画は、『ハッピータイガー』のパクリに当たるのか。
5. 『ハッピータイガー』の作者小林源文氏がこの映画を賞賛し、自作とこの映画との違いを説明している状況で、作者ではない人が『ハッピータイガー』のパクリであると主張することの意義は何か。
6. 『ハッピータイガー』の著作権者ではない者が、この映画を『ハッピータイガー』のパクリであると主張する動機は何か。
7. そのような動機を抱かせる環境とはどのようなものか。
ここでいう「パクリ」とは、「著作権法違反」とは別の概念なのでしょうね。
著作物には、「アイデアと表現の二分法理」「アイデア自由の原則」といった考えが適用されるので、この映画が『ハッピータイガー』の著作権を侵害していると主張するのははなはだ困難だと思います(侵害しているなら、小林源文氏が黙っていないでしょう)。
では「著作権法違反」ではない「パクリ」とは何か。
たとえば次のような状況を思い浮かべてください。
・中国人に「『ドラゴンボール』は『西遊記』のパクリだ」と指摘された。
・アイルランド人に「『天空の城ラピュタ』は『ガリバー旅行記』のパクリだ」と指摘された。
『西遊記』も『ガリバー旅行記』もその著作権は消滅していますから、いくら類似していても著作権の侵害を問われることはありません(『西遊記』はそもそも作者が不明ですし)。
この場合、著作権とともにパクリか否かという議論も消滅するのでしょうか。それとも「パクリ」は「著作権法違反」とは別であり、今なお指摘は有効なのでしょうか。
これは面白い論点だと思いますが、それ以上に私が興味を覚えるのは、3に挙げたパクリの時代的変遷です。
1976年のサザエさんバス事件等は著作権の存在を一般に知らせるきっかけになったかもしれませんが、私は80年代のバブルの頃に日本人の意識が大きく変わったのではないかと睨んでいます。
日本人が金持ちになり、偽ブランドではなく本物のブランド品を買えるようになった時代。コロンビア映画をソニーが買収し、ユニバーサル映画を松下(現パナソニック)が買収して、ハリウッドの映画会社はみんな日本企業の傘下になるのではないかと思われた時代。従来であればガンプラブームを受けてガンダムもどきが氾濫してもおかしくないのに、当時は子供ですら本物のガンプラを手に入れようとして怪我人まで出していました。
偽物ではなく本物を手に入れられるようになったこの時期に、日本人の中に偽物を見下す風潮が急速に広がったのではないでしょうか。そして、ひとたび広まった風潮は、バブルが崩壊しても消えなかった。
一方で、二次創作という呼び方が一般的に使われるようになったのもこの頃からだと思います。
……なんてことをつらつら考えていたら、面白くて夜も眠れませんでした(^^;
パクリの時代的変遷について実証的な研究をご存知だったらご教示ください。
6及び7についても、社会的アイデンティティ理論や自己カテゴリー化理論を念頭にちょっと想像してみました。おそらく「この映画はハッピータイガーのパクリ」と主張する未記入さんと『ハッピータイガー』の作者小林源文氏は異なるカテゴリーに属すると思われますが、あくまで私の想像なので詳細は割愛します。
他にもコメントをいただいておりますが、映画に関係ないので公開を控えさせていただきました。
いただいたコメントからはいくつもの論点がうかがえて興味深いです。
コメントを拝見して、ざっと次のようなことを考えてみました。
1. パクリとは何か。どのような行為がパクリに当たるのか。
2. パクリは善いことなのか、悪いことなのか。
3. パクリの善し悪しの判断は時代によってどのように変遷してきたか。
4. この映画は、『ハッピータイガー』のパクリに当たるのか。
5. 『ハッピータイガー』の作者小林源文氏がこの映画を賞賛し、自作とこの映画との違いを説明している状況で、作者ではない人が『ハッピータイガー』のパクリであると主張することの意義は何か。
6. 『ハッピータイガー』の著作権者ではない者が、この映画を『ハッピータイガー』のパクリであると主張する動機は何か。
7. そのような動機を抱かせる環境とはどのようなものか。
ここでいう「パクリ」とは、「著作権法違反」とは別の概念なのでしょうね。
著作物には、「アイデアと表現の二分法理」「アイデア自由の原則」といった考えが適用されるので、この映画が『ハッピータイガー』の著作権を侵害していると主張するのははなはだ困難だと思います(侵害しているなら、小林源文氏が黙っていないでしょう)。
では「著作権法違反」ではない「パクリ」とは何か。
たとえば次のような状況を思い浮かべてください。
・中国人に「『ドラゴンボール』は『西遊記』のパクリだ」と指摘された。
・アイルランド人に「『天空の城ラピュタ』は『ガリバー旅行記』のパクリだ」と指摘された。
『西遊記』も『ガリバー旅行記』もその著作権は消滅していますから、いくら類似していても著作権の侵害を問われることはありません(『西遊記』はそもそも作者が不明ですし)。
この場合、著作権とともにパクリか否かという議論も消滅するのでしょうか。それとも「パクリ」は「著作権法違反」とは別であり、今なお指摘は有効なのでしょうか。
これは面白い論点だと思いますが、それ以上に私が興味を覚えるのは、3に挙げたパクリの時代的変遷です。
1976年のサザエさんバス事件等は著作権の存在を一般に知らせるきっかけになったかもしれませんが、私は80年代のバブルの頃に日本人の意識が大きく変わったのではないかと睨んでいます。
日本人が金持ちになり、偽ブランドではなく本物のブランド品を買えるようになった時代。コロンビア映画をソニーが買収し、ユニバーサル映画を松下(現パナソニック)が買収して、ハリウッドの映画会社はみんな日本企業の傘下になるのではないかと思われた時代。従来であればガンプラブームを受けてガンダムもどきが氾濫してもおかしくないのに、当時は子供ですら本物のガンプラを手に入れようとして怪我人まで出していました。
偽物ではなく本物を手に入れられるようになったこの時期に、日本人の中に偽物を見下す風潮が急速に広がったのではないでしょうか。そして、ひとたび広まった風潮は、バブルが崩壊しても消えなかった。
一方で、二次創作という呼び方が一般的に使われるようになったのもこの頃からだと思います。
……なんてことをつらつら考えていたら、面白くて夜も眠れませんでした(^^;
パクリの時代的変遷について実証的な研究をご存知だったらご教示ください。
6及び7についても、社会的アイデンティティ理論や自己カテゴリー化理論を念頭にちょっと想像してみました。おそらく「この映画はハッピータイガーのパクリ」と主張する未記入さんと『ハッピータイガー』の作者小林源文氏は異なるカテゴリーに属すると思われますが、あくまで私の想像なので詳細は割愛します。
他にもコメントをいただいておりますが、映画に関係ないので公開を控えさせていただきました。
この映画の後には...
この映画の後には、「ウォーホース 戦火の馬」を観ると
この映画の感動が更に半減して、ある意味おもしろかったです。
この映画の感動が更に半減して、ある意味おもしろかったです。
Re: この映画の後には...
バングルスさん、こんにちは。
『戦火の馬』は感動しますね。
『戦火の馬』も本作も素晴らしい映画だと思います。
『戦火の馬』は感動しますね。
『戦火の馬』も本作も素晴らしい映画だと思います。
⇒trackback
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マイウェイ 12,000キロの真実
「マイウェイ 12,000キロの真実」
監督
カン・ジェギュ
出演
チャン・ドンゴン(キム・ジュンシク)
オダギリジョー(長谷川辰雄)
ファン・ビンビン(-)
キム・イングォン(-)
キム・ヒウォン(-)
オ・テギョン(-)
...
*『マイウェイ 12,000キロの真実』* ※ネタバレ有
2011年:韓国映画、カン・ジェギュ監督&製作&脚本、キム・ヨンハ製作、キム・ビョンイン、ナ・ヒョン脚本、オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、キム・イングォン、夏八木勲、鶴見辰吾、山本太郎、佐野史郎、浜田学、イ・ヨニ、ト・ジハン出演。
マイウェイ 12,000キロの真実
監督はカン・ジェギュ
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‥...
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映画 「マイウェイ 12,000キロの真実」
映画 「マイウェイ 12,000キロの真実」
劇場鑑賞「マイウェイ 12,000キロの真実」
生きる道を、探して…
詳細レビューはφ(.. )
http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201201140003/
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カン・ジェギュ
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「マイウェイ 12,000キロの真実」
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『マイウェイ 12,000キロの真実』 ('12初鑑賞11・劇場)
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
1月14日(土) OSシネマズ ミント神戸 スクリーン8にて 16:30の回を鑑賞。
マイウェイ 12,000キロの真実
第二次世界大戦で日本、ソ連、ドイツ三国の兵士として戦い、連合軍の捕虜になった日本人の実話をヒントに、「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が描いた人間ドラマ。アジアか ...
No.301 マイウェイ 12,000キロの真実
「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が韓国映画史上最大級となる製作費25億円を投じ、アジアからノルマンディーまで1万2000キロを生き抜いた男の実話を映画化。1944年 ...
マイウェイ 12,000キロの真実
『マイウェイ 12,000キロの真実』---MY WAY---2011年(韓国)監督:カン・ジェギュ出演:チャン・ドンゴン キム・ジュンシク オダギリジョー 長谷川辰雄 「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督がチャン・ドンゴンとオダギリジョーを主演に迎えて贈...
マイウェイ 12,000キロの真実
★★★★★ “対立するものの間に友情が育つまでには長く険しい道のりが必要なのか” 祖父の死で辰雄は朝鮮人へ憎しみの感情を抱くようになります。このことが引き金になったかのように、映画の中では日本人による朝鮮人差別がエスカレートしていきます。選考会でのジュン...
マイウェイ 12,000キロの真実
「ブラザーフッド」で朝鮮戦争を舞台に戦時の狂気とそして破綻と回帰の絆を描いたカン・ジェギュの作風は、「マイウェイ 12,000キロの真実」でも揺るぎない。
平和主義の父(佐野史郎)の意は酌まぬ冷徹将校になった辰雄(オダジョー)。軍国主義下で支配下にした朝鮮の...
マイウェイ
「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督の最新作になります。
日本統治下の朝鮮から、ロシア、ドイツを経て、ノルマンディー上陸作戦まで
わずか5年の間に、3つの軍服を着ることになった東洋人がいたそうです。
この実話を元に作られた本作は、日本人の辰雄...
真っ当な多国籍映画 『マイウェイ12000キロの真実』
監督:カン・ジェギュ出演:オダギリジョー、チャン・ドンゴン韓国映画 2011年 ・・・・・・ 8点