『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』はスペースオペラの鑑だ!
前作を観て、心配なことがあった。
前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は、ファンが観たいと思っていたもの、これまでは観られなかったものを、キッチリ観せてくれてサービス満点であった。名のみ知られた謎の世界"光の国"、続々と現れるウルトラマンの大軍団、まさしく夢のオールスターゲームだった。
しかし、それは円谷プロが40年以上にわたって蓄積してきたウルトラシリーズの大放出を意味する。これをやったら、もう後が続かないのではないか。
前作は、そんな心配をしてしまうほどの大盤振る舞いだったのである。
しかし、その心配は杞憂であった。
それどころか、シリーズの続け方としては、まことに憎い作りであった。
『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』では、まず前作でデビューした新ヒーロー・ウルトラマンゼロが、たった一人で別の宇宙に旅立つ。
こうして、ウルトラマンたちに取り囲まれた環境から出て、歴代のウルトラ戦士と同様に、ゼロも異星で孤独に戦うヒーローとなる。
このように、いったんはウルトラシリーズの原点に立ち返るのだが、もちろんそれだけでは前作よりスケールダウンして見えてしまう。さりとて、またウルトラマンの揃い踏みをやるわけにもいかない。
そこで本作では、なんとウルトラシリーズ以外のヒーローが登場する。
それが、ジャンボーグA、ファイヤーマン、ミラーマンの大集合である。
もちろん、これらのヒーロー作品はまったく異なる設定に基づいてるので、その設定を引きずったままでは一同に会せない。そこで、ベリアル銀河帝国と戦うそれぞれの星の戦士ということにして、デザイン等をリニューアルした。
これが実に上手い!
ファイヤーマンはグレンファイヤー、ジャンボーグAはジャンボット、ミラーマンはミラーナイトとして登場するのだが、それぞれのオリジナルの特徴を活かした改変となっている。
オリジナルのファイヤーマンは、色が赤いだけで炎らしい造形ではなかったが、グレンファイヤーはたてがみを炎に見立てて、いかにも炎の戦士に相応しい造形になっている。
ジャンボットは、ジャンボーグA以上にロボットらしいデザインになり、円谷プロ作品の中でも珍しく人間が搭乗する巨大メカという点を強調している。
そして快哉を上げたいのはミラーナイトだ。そのデザインは、テレビ放映されたミラーマンではなく、まだテレビ化が決定する前に雑誌展開されていたころのデザインが元になっている。当時の子供たちの中には、テレビ版よりも雑誌版ミラーマンの方がカッコイイと思う者も多かったのではないだろうか。その不満が、40年を経て遂に解消されたのである。
そして各ヒーローが活躍する場面では、ぞれぞれの主題歌をアレンジした音楽を流すという気の使いよう。
旧作に思い入れのあるオールドファンも、大喜びすること間違いなしである。
もちろん『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』は、オールドファンが往年のヒーローを懐かしむための作品ではない。
新ヒーロー・ウルトラマンゼロの独り立ち、懐かしのヒーローの復活といった要素をちりばめながら、本作は一本筋の通ったスペースオペラである。
そもそも、ウルトラ戦士が宇宙警備隊を結成し、凶悪な宇宙人と戦うというウルトラシリーズのコンセプトは、スペースオペラに近いものがある。実際、居村眞二氏らのマンガ版も、スペースオペラらしさを兼ね備えていた。
本作は、それをとことん追求した作品であるといえる。
映画史における代表的なスペースオペラであるスター・ウォーズ・シリーズを思い浮かべてもらっても良い。平和な星々を侵略する銀河帝国、魔の手から逃れるお姫様、粋な宇宙海賊ども、星をも砕く超兵器、宇宙戦艦の大群による宇宙戦。ここには、スペースオペラに必要なものが揃っている。
各惑星の宇宙艦隊が集結して、戦艦が宇宙を埋め尽くすところなど、エドモンド・ハミルトンの星間パトロールシリーズ『銀河大戦』あたりを思い出して興奮した人も多いのではないか。
『スター・ウォーズ』以降の宇宙戦がドッグファイトに重きを置いていたのに対し、本作が艦隊戦を重視しているのもスペオペファンとしては嬉しいところだ。やはりスペースオペラには、巨大戦艦同士の戦いが不可欠だ。
宇宙物の映画としては、同時期に『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が公開されているが、あちらにはスペースオペラの軽快さがない。派手な戦闘シーンを楽しみたい人は、ぜひとも本作へ足を運ぶべきだろう。
一点、本作で残念なのは、ミラーマンが鏡や水面などの光を反射する物のあいだを移動できるという設定を知っていないと、どこから登場したのかよく判らないシーンがあることだ。
この些細な点を除けば、過去の作品を知らなくても充分に楽しむことができるだろう。
さて、本作はウルトラマンシリーズ45周年記念作品の第1作であり、冬には第2作が予定されている。本作がウルトラシリーズ以外のヒーローにも手を広げたとなると、次はいよいよトリプルファイターの復活だろうか。
『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』 [あ行]
監督・脚本/アベ ユーイチ
出演/小柳友 濱田龍臣 土屋太鳳 石橋保 さとうやすえ ベンガル きたろう 平泉成 長谷川初範 萩原佐代子 石田信之
ナレーション/石坂浩二
日本公開/2010年12月23日
ジャンル/[SF] [特撮] [アドベンチャー]
http://bookmarks.yahoo.co.jp/bookmarklet/showpopup?t='+encodeURIComponent(document.title)+'&u='+encodeURIComponent(location.href)+'&ei=UTF-8','_blank','width=550,height=480,left=100,top=50,scrollbars=1,resizable=1',0);">
前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は、ファンが観たいと思っていたもの、これまでは観られなかったものを、キッチリ観せてくれてサービス満点であった。名のみ知られた謎の世界"光の国"、続々と現れるウルトラマンの大軍団、まさしく夢のオールスターゲームだった。
しかし、それは円谷プロが40年以上にわたって蓄積してきたウルトラシリーズの大放出を意味する。これをやったら、もう後が続かないのではないか。
前作は、そんな心配をしてしまうほどの大盤振る舞いだったのである。
しかし、その心配は杞憂であった。
それどころか、シリーズの続け方としては、まことに憎い作りであった。
『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』では、まず前作でデビューした新ヒーロー・ウルトラマンゼロが、たった一人で別の宇宙に旅立つ。
こうして、ウルトラマンたちに取り囲まれた環境から出て、歴代のウルトラ戦士と同様に、ゼロも異星で孤独に戦うヒーローとなる。
このように、いったんはウルトラシリーズの原点に立ち返るのだが、もちろんそれだけでは前作よりスケールダウンして見えてしまう。さりとて、またウルトラマンの揃い踏みをやるわけにもいかない。
そこで本作では、なんとウルトラシリーズ以外のヒーローが登場する。
それが、ジャンボーグA、ファイヤーマン、ミラーマンの大集合である。
もちろん、これらのヒーロー作品はまったく異なる設定に基づいてるので、その設定を引きずったままでは一同に会せない。そこで、ベリアル銀河帝国と戦うそれぞれの星の戦士ということにして、デザイン等をリニューアルした。
これが実に上手い!
ファイヤーマンはグレンファイヤー、ジャンボーグAはジャンボット、ミラーマンはミラーナイトとして登場するのだが、それぞれのオリジナルの特徴を活かした改変となっている。
オリジナルのファイヤーマンは、色が赤いだけで炎らしい造形ではなかったが、グレンファイヤーはたてがみを炎に見立てて、いかにも炎の戦士に相応しい造形になっている。
ジャンボットは、ジャンボーグA以上にロボットらしいデザインになり、円谷プロ作品の中でも珍しく人間が搭乗する巨大メカという点を強調している。
そして快哉を上げたいのはミラーナイトだ。そのデザインは、テレビ放映されたミラーマンではなく、まだテレビ化が決定する前に雑誌展開されていたころのデザインが元になっている。当時の子供たちの中には、テレビ版よりも雑誌版ミラーマンの方がカッコイイと思う者も多かったのではないだろうか。その不満が、40年を経て遂に解消されたのである。
そして各ヒーローが活躍する場面では、ぞれぞれの主題歌をアレンジした音楽を流すという気の使いよう。
旧作に思い入れのあるオールドファンも、大喜びすること間違いなしである。
もちろん『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』は、オールドファンが往年のヒーローを懐かしむための作品ではない。
新ヒーロー・ウルトラマンゼロの独り立ち、懐かしのヒーローの復活といった要素をちりばめながら、本作は一本筋の通ったスペースオペラである。
そもそも、ウルトラ戦士が宇宙警備隊を結成し、凶悪な宇宙人と戦うというウルトラシリーズのコンセプトは、スペースオペラに近いものがある。実際、居村眞二氏らのマンガ版も、スペースオペラらしさを兼ね備えていた。
本作は、それをとことん追求した作品であるといえる。
映画史における代表的なスペースオペラであるスター・ウォーズ・シリーズを思い浮かべてもらっても良い。平和な星々を侵略する銀河帝国、魔の手から逃れるお姫様、粋な宇宙海賊ども、星をも砕く超兵器、宇宙戦艦の大群による宇宙戦。ここには、スペースオペラに必要なものが揃っている。
各惑星の宇宙艦隊が集結して、戦艦が宇宙を埋め尽くすところなど、エドモンド・ハミルトンの星間パトロールシリーズ『銀河大戦』あたりを思い出して興奮した人も多いのではないか。
『スター・ウォーズ』以降の宇宙戦がドッグファイトに重きを置いていたのに対し、本作が艦隊戦を重視しているのもスペオペファンとしては嬉しいところだ。やはりスペースオペラには、巨大戦艦同士の戦いが不可欠だ。
宇宙物の映画としては、同時期に『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が公開されているが、あちらにはスペースオペラの軽快さがない。派手な戦闘シーンを楽しみたい人は、ぜひとも本作へ足を運ぶべきだろう。
一点、本作で残念なのは、ミラーマンが鏡や水面などの光を反射する物のあいだを移動できるという設定を知っていないと、どこから登場したのかよく判らないシーンがあることだ。
この些細な点を除けば、過去の作品を知らなくても充分に楽しむことができるだろう。
さて、本作はウルトラマンシリーズ45周年記念作品の第1作であり、冬には第2作が予定されている。本作がウルトラシリーズ以外のヒーローにも手を広げたとなると、次はいよいよトリプルファイターの復活だろうか。
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監督・脚本/アベ ユーイチ
出演/小柳友 濱田龍臣 土屋太鳳 石橋保 さとうやすえ ベンガル きたろう 平泉成 長谷川初範 萩原佐代子 石田信之
ナレーション/石坂浩二
日本公開/2010年12月23日
ジャンル/[SF] [特撮] [アドベンチャー]


【theme : 特撮・SF・ファンタジー映画】
【genre : 映画】
⇒comment
メロスは走った
いや、トリプルファイターは踏み潰されちゃうでしょ。アンドロメロスあたり………ファンがいないのか。
Re: メロスは走った
ふじき78さん、こんにちは。
私は以前の記事で「30年復活説」を提唱しました。
→ http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-57.html
『アンドロメロス』の放映時期は1983年なので、もうすぐ復活するかも:-)
私は以前の記事で「30年復活説」を提唱しました。
→ http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-57.html
『アンドロメロス』の放映時期は1983年なので、もうすぐ復活するかも:-)
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トラックバックの反映にはしばらく時間がかかります。ご容赦ください。ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
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ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
観てきました。
<シネ・リーブル池袋>
監督:アベ ユーイチ
脚本:アベ ユーイチ
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【映画】ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
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