『クロッシング』 天国ってどんなとこ?

 天国ってあるんだろうか?
 北朝鮮の少年が、「死んだらどこに行くの?」と尋ねる。

 天国ってどんなところなんだろう?
 そこにはきっと父がいて、母もいる。
 子供もいる。
 友だちもいる。
 子供が遊ぶボールもある。
 犬は、ボールにじゃれている。
 母は料理をしている。
 おじさんが飲み物を持ってくる。
 音楽が聞こえる。
 踊っている人もいる。
 父は笑っている。
 みんな笑っている。

 こんな暮らしが続いたら、北朝鮮の少年は天国だと思うかもしれない。


 『クロッシング』(渡航)は、2001年にゴビ砂漠をさまよったチョルミン少年の事件や、2002年3月13日に25人の北朝鮮難民が北京のスペイン大使館に駆け込んだ事件等を材に、さらに100人近い脱北者への取材に基づいて作られている。

 本作のチラシには、ジャーナリストの石丸次郎氏による文がある。
---
『クロッシング』を見て驚いたのは、描かれている北朝鮮国内のシーンが、私のパートナーたちが内部で撮影してきた映像、そして北朝鮮の人たちから聞かされてきた状況と、驚くほど一致していたことである。
(略)
キム・テギュン監督は、相当な数の脱北者からの聞き取り調査をし、資料検討に労を惜しまなかったに違いない。
(略)
『クロッシング』は、ジャーナリズムが映像で描き記録するには及ばない北朝鮮の姿を、詳細に描ききった。私たち日本に住む者が、隣人の未曾有の苦難と悲しみを知るうえで、現在、最も良質な作品であると思う。
---

 南朝鮮(大韓民国)は、キリスト教徒の多さではアジアでも有数だ。
 でも北朝鮮では聖書を持っていると怒られる。
 聖書を読んだことは内緒だ。

 だから、天国について話し合うこともできない。
 『クロッシング』は、そんな映画だ。


クロッシング』  [か行]
監督/キム・テギュン
出演/チャ・インピョ シン・ミョンチョル チョン・インギ ソ・ヨンファ チュ・ダヨン
日本公開/2010年4月17日
ジャンル/[ドラマ]

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【theme : 考えさせられた映画
【genre : 映画

tag : キム・テギュン チャ・インピョ シン・ミョンチョル

⇒comment

クロッシング

こんばんは、TBありがとうございました。

この作品は、TIFFで見逃してしまった映画でした。
いままでも、近くて遠いお隣の国、北朝鮮の実態が、どうしても入らず、そこで何が行われているのか、そこで暮らしている人々はどんな思いでいるのか、とても関心を寄せておりました。特に親戚が居るだとか、関係者ではありませんが、同じアジアに住む人間として、無関心ではいられないという思いを持っていました。
果たして、この映画では、今まで語られなかったリアルな北朝鮮の様子が映し出され、命がけで脱北したくなる気持ちが少しづつ見えてきたような気がします。
祖国を、家族を捨てなければならなかった無念がヒシヒシと伝わってきます。
涙が止まりませんでした。この映画をもっと多くの“平和”な人々に観て欲しいと思います。

長くなってしまい、申し訳ありませんでした。
素晴らしいレビューですね、TB送らせてくださいね。

No title

エンドロールが天国だったんですね。

Re: クロッシング

piattさん、コメント&TBありがとうございます。
本作でひとつ注目すべき点は、キム・ヨンスは脱北したかったわけでも、祖国を捨てたかったわけでもないことですね。
あくまで妻のため、家族のためと思って行動していただけであると。
ある意味、嵌められてしまったわけで、人権団体等を必ずしも良く描いているわけではないところが、複眼的で考えさせられました。

Re: No title

佐平次さん、コメントありがとうございます。
解釈は観客に委ねられているところかと思います。

幸福

たんたんたぬきです。
こちらのレビューも素晴らしいです。TBさせていただきます。

Re: 幸福

たんたんたぬきさん、コメントありがとうございます。
声高に非難する作品ではないので、入り込めたのだと思います。
たくさんの人に観て欲しいですね。

No title

遅まきながらですが、

主人公が親子ともども、決して北朝鮮を嫌ってる訳でない事が複雑だけど映画を正しくしてると思います。

Re: No title

ふじき78さん、コメントありがとうございます。
そうなんですよね。キム・テギュン監督は、映画を作る上での立ち位置を、慎重に選んでいると思います。
だから多くの人が共感できるのでしょう。

子役の二人

特に少年の存在そのものが神々しいまでに思えて、この物語を胸に迫るものにしたと感じました。
次回作は、朝鮮戦争ものにも出演するようですから、またぐぐっと来る演技をみせてくれるんでしょうか。

あまりに現実離れしていて、逆に作りもののように感じてしまいました。
後でから、ものすごいリサーチをして、徹底的に再現しようとしたとわかったのですが、あまりのギャップに言葉を失います。
何かをどうかしたいのですが、どうしたらいいでしょう。
忸怩たる思いっていうのは、つくづくこういうことを言うんだなあと思った次第です。

Re: 子役の二人

sakuraiさん、こんにちは。
おそらく日本は、世界で最も北朝鮮を気にかけている国でしょうが、気にかける以上に何ができるのか難しいですね。
かつて中国は北朝鮮に負けず劣らず悲惨でしたが、基本的には自力で変わっていきました。
北朝鮮も、みずから方向を決めるしかないのでしょうが…。

苦労している国民に罪は無い

悪いのは将軍様とかその取り巻きであり
これでもか!!!というような不幸しか
無いような北朝鮮で貧しくとも
生きている無名の国民が悲惨

Re: 苦労している国民に罪は無い

すわっと 優優さん、こんにちは。
最も成功した社会主義国はどこか。
それは日本である、とはよく云われるところです。
資本主義だ、自由主義だ云われても、和を重視し、横並び志向の日本人は、自由競争をやりたがらず、また多くの社会主義国が独裁国家になったにもかかわらず、和を重視し、横並び志向だから独裁者も誕生しにくい。実のところ日本は社会主義向きの国なのかもしれません。

ただ、真の豊かさは自由な発想と、競争による切磋琢磨から生まれるのも事実。
国家を計画的に運営しようにも、為政者とてただの人間でしかないから、計画どおりに豊かにするなんてできません。
にもかかわらず為政者に全権を委ねて、その「立派な計画」に従っていると、いかに悲惨なことになるか。
それをいま私たちは目にしています。
Secret

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