『海角七号/君想う、国境の南』 「小島友子」の謎

 劇中、日本企業の要求にさらされる台湾企業では、こんなセリフが飛び交う。
 「日本人は面倒だから」
 「日本が厳しいの知ってるでしょ」

 台湾映画『海角七号(かいかくななごう)/君想う、国境の南』は、ハリウッド映画のようにトンデモな日本が登場するわけではない。
 リー・リンチェイ(ジェット・リー)と金城武が共演した香港映画『冒険王』のように、日本を悪役扱いするのでもない。
 台湾の地方都市を描く中で、普通に日本もかかわってくる映画だ。
 そこで交わされるセリフは、台湾における日本の一般的なイメージを表しているのかも知れない。 


 この作品では、第二次大戦終了直後の台湾で日本人男性が書いたラブレターが鍵となる。
 ラブレターの名宛人は「小島友子」。
 恥ずかしながら私は、それが台湾人女性であると判らずに鑑賞していた。てっきり日本人の名前だと……。
 日本統治時代、多くの台湾人が日本式姓名に改めていたことは、台湾の観客には判りきったことなのだろう。


 判りきったことと云えば、本作に登場するシングルマザーも気になるところだ。
 彼女は激しく日本人を恨むのだが、その理由が詳しく語られることはない。
 しかし、詳しく語られないということは、詳しく語るまでもなく観客には理解できるということだ。

 たとえば、"中国「現地妻」巡る日本人駐在員の受難" という記事がある。
 企業が業績の悪化を受けて駐在員の引き揚げを行い、そのため駐在員と現地女性との「別れる、別れない」のトラブルが頻発したという。

 シングルマザーの背景が映画では詳しく語られないだけに、日本人としてはかえって居心地の悪さがある。


 しかしそれも含めて、本作では日本人と台湾人の3組の男女が描かれる。
 60年前にラブレターを書いた日本人男性と、ラブレターを受け取れなかった台湾人女性。
 シングルマザーとなった台湾人女性と、姿を見せない日本人男性。
 そして主人公の台湾人男性と日本人女性。

 過去の悲恋を描きつつも、焦点は現代の男女がいかに行動するかである。

 ウェイ・ダーション監督は、「小島友子」という名を考えるにあたり、「台湾は小さな島だから小島という名前にしようと思った」と語っている。
 姓が小島=台湾。名は友子。
 台湾人と日本人が、理解を深め結ばれる映画に相応しい名前である。

追記
 ウェイ・ダーション監督の次作『セデック・バレ』で、「小島」の背景が明らかになった。
 日台関係史において小島源治なる人物が実在したのである。
 詳しくは『セデック・バレ』の記事をご覧いただきたい。


海角七号/君想う、国境の南 [DVD]海角七号/君想う、国境の南』  [か行]
監督・脚本/ウェイ・ダーション
出演/ファン・イーチェン 田中千絵 中孝介 リン・ゾンレン マー・ニエンシエン ミンション イン・ウェイミン マイズ
日本公開/2009年12月26日
ジャンル/[ドラマ] [ロマンス] [青春]
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『The 4th Kind フォース・カインド』 ズンアブー・イーターとは?

 【ネタバレ注意】

 面白い映画だった。
 2000年に発生した事件を、当時撮影されたという記録映像と再現映像、そして現在のインタビュー映像によって描いている。
 画面を分割して、記録映像と再現映像を同時に見せるのは、とても面白い趣向だ。

 『The 4th Kind フォース・カインド』の再現映像でアビゲイル(アビー)・タイラー博士を演じるミラ・ジョヴォヴィッチが主役のはずなのに、いつのまにやら記録映像中のアビゲイル・タイラー博士が主役になっている。
 いわゆる2人1役というやつだ。
 よくある2人1役は、ある人物の幼少期と成人後を別々の役者が演じるケースだが、本作のように成人女性2人が1人の人物になるのは珍しい。
 スター俳優はミラ・ジョヴォヴィッチだけなのに、彼女はあくまで再現映像の人物でしかないため、観客が迫真性を求めるのは記録映像のアビゲイル・タイラー博士である。

 2人1役といえばルイス・ブニュエル監督の『欲望のあいまいな対象』が有名だ。
 1人の女性の感情の起伏を2人の女性が演じ分ける演出はとても面白かったが、本作のように1人の人物に焦点を当てているのにいつのまにか主演女優が変わってしまうのは、ブニュエルもびっくりの新趣向である。


 残念なのは、作り手の姿勢がブレており、本作をSFにするのかオカルトにするのかハッキリしないことだ。
 たびたび行われる催眠療法が、だんだん降霊会になってしまうのである。
 謎を残すことと、説明のつかないことをするのは違う。
 本作をシュメール文明に絡めたのは『エクソシスト』に対する敬意かも知れないが、オカルトを志向するなら題材が適切ではなかったろう。

 そして気がかりなのが、謎の言葉 "ズンアブー・イーター" 。
 中盤、「 "ズンアブー・イーター" ってなんだ?」という会話が交わされていながら、その意味に触れることなく映画は終わってしまう。
 もちろん、この言葉に意味はない。
 これは、トミーの前に現れたものとアビーが出会ったものが同一であることを示すための記号でしかなく、それぞれの出来事で同じ言葉を聞くことだけが重要なのだ。言葉の中身はなんでも良い。
 しかしそれでも、この言葉の意味を問うて殺傷事件が起きるのだから、何かしらの意味づけが欲しいところではある。


 ところで、『The 4th Kind フォース・カインド』のオフィシャルサイトには、本作の内容を「信じるかどうかはあなた次第」と書かれている。
 しかし正確には宣伝次第というべきだろう。
 日本での宣伝は控えめだが、米国公開時はいささかやりすぎがあったようだ。

 AP通信によれば、ユニバーサル・ピクチャーズは劇中の事件を本当らしく見せるために、作中人物であるウィリアム・タイラー博士の訃報やニュース記事を作成してネット上に公開していたそうだ。
 さすがにこれは報道機関の信憑性を損なうと問題視され、アラスカ記者クラブに20,000ドルの和解金を支払うことになった。

 実話っぽく見せれば映画の面白さが増すのは否定しないが、インターネットの健全な発展のためには、偽サイトの構築は厳に慎むべきだろう。


THE 4TH KIND フォース・カインド [Blu-ray]The 4th Kind フォース・カインド』  [は行]
監督・原案・脚本/オラントゥンデ・オスサンミ  原案/テリー・リー・ロビンス
出演/ミラ・ジョヴォヴィッチ ウィル・パットン イライアス・コティーズ
日本公開/2009年12月18日
ジャンル/[サスペンス]
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『アバター』 ロジャー・ディーンの驚異の世界

 【ネタバレ注意】

 この日が来ると誰が想像し得ただろう。
 ロジャー・ディーンの流麗なイラストレーションの世界が、映像になって動いている!

 空に浮かぶ島々やアーチ状の岩、夜光植物がほんのりと光る風景と色合い、空を地を跋扈する異形の獣たち。まさに画集やアルバム・ジャケットで親しんだロジャー・ディーンの世界が、劇場のスクリーンいっぱいに広がっている!
 『アバター』は、最初に構想してから実に14年も経つという。この映像を見れば、長いあいだ技術の進歩を待った甲斐があったといえよう。

 ロジャー・ディーンの作品に酷似していることについて、RogerDean.comでは「世間様は見逃さないぞ」と息巻いているが、似ていると指摘するのはやっぱり褒め言葉だ。
 70~80年代にロジャー・ディーンのイラストを見て、これに似た映像ができるとは誰も思わなかっただろう。ようやく映画の技術が人間のイマジネーションに近づいたのだ。

 これほど徹底的にロケを排し、地球にはあり得ない異世界を創造した映画は、『フラッシュ・ゴードン』以来ではないだろうか。
 もちろん、『フラッシュ・ゴードン』が大金をかけてセットを組んだのに対して、本作は60%を占めるCGIの力が大きい。

 ただ、14年の歳月はネタを陳腐化させるにも充分な時間である。

 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』のように初期の構想そのままに作る方法もあるが、『アバター』はどうなのだろう。
 世界に張り巡らされたネットワークに神経組織を接続するサイバーパンクなイメージや、ガイア理論を実践するかのような星は、旬のネタとは云いがたい。
 しかし、「SFは絵だねぇ」と野田大元帥がおっしゃるとおり、圧倒的なインパクトをもって迫る情景は、有無を言わさぬ力強さに溢れている。


 そしてネタの鮮度よりも大事なことは、本作にはSFらしい視座の転換があることだ。

 SF的なガジェットが登場する作品はたくさんある。超能力やサイボーグやタイムトラベル等々。
 しかし多くの場合、それらのガジェットは「ちょっと変わった味付け」でしかない。

 それに対し『アバター』には、地球人が化身(アバター)を通して異世界の一員となり、異世界側から地球人を見つめ直すことにより改めて地球人の姿を知る、という視座の転換がある。
 これはジェームズ・キャメロンの目指す「映画を楽しみながらも、自然界とのかかわり、人間同士の関わり方について、人々を多少なりと考えさせるようなものを製作したい。」という点と密接にかかわっており、普遍性のあるものだ。

 それに、この作品を他の方法、たとえば「ネイティブ・アメリカンにまじった白人」として描こうとすれば、国や人種によって受け止め方が大きく異なるおそれがあるし、制作者の意図どおりのストーリーにするのは歴史を捏造することになりかねない。
 それではジェームズ・キャメロンの想いは遂げられない。


 判りやすく視座を転換するために、化身(アバター)を媒介(地球人とナヴィの媒介ではなく、観客と作り手の媒介)にするのはなかなか良いアイデアである。

 さらに映画『アバター』では、主人公のアバターがトルーク・マクトとなって異世界パンドラを救うために活躍する。
 この点で本作のアバターとは、仮想世界に関連したIT用語としての「アバター(avatar)」よりも、神の化身の「アヴァターラ(Avatāra)」に近いと云えよう。

 でも、そこにはあまり深入りせずに、アクションとアドベンチャーをしっかり描く。
 それでこそジェームズ・キャメロンなのだ!


アバター ブルーレイ版エクステンデッド・エディション(本編3種収録)(初回生産限定3枚組) [Blu-ray]アバター』  [あ行]
監督・製作・製作総指揮・脚本・編集/ジェームズ・キャメロン
出演/サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ シガーニー・ウィーヴァー スティーヴン・ラング CCH・パウンダー
日本公開/2009年12月23日
ジャンル/[SF] [アドベンチャー] [アクション]
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『愛のむきだし』 そっちとこっちを分かつのは?

 私の大好きな映画に『エル・トポ』がある。美しく、刺激的で、面白い、最高の映画だが、残念ながら重大な欠点がある。
 『エル・トポ』は、123分で終わってしまうのだ。

 『愛のむきだし』はその欠点を克服した映画だ。
 上映時間は237分。途中の休憩を含めて、4時間以上にわたって楽しむことができる。
 その長大な時間の中には、美しい場面と、刺激的な場面と、面白い場面がごった煮になり、我々をぐつぐつと煮込んでくれる。

 『エル・トポ』が素晴らしいのは破格のウェスタンだからだ。
 なにもウェスタンにしなくてもと思うのだが、アレハンドロ・ホドロフスキー監督が『エル・トポ』の4年後に作った『ホーリー・マウンテン』が単なる前衛風メタフィクションに収まっていることを考えると、『エル・トポ』がまずウェスタンのフレームワークにのっとって始まり、しかしすぐにフレームワークを破壊してしまうことで、映画が奈辺に転がっていくのかまったく判らない状態を作り出す、その面白さのためにはやっぱりウェスタンが必要だったのだろう。

 『愛のむきだし』が『エル・トポ』を彷彿とさせるのは、前半が章立てになっているとか、後半が解放の物語になっているといった形式的なことばかりではない。

 『エル・トポ』がウェスタンであるように、『愛のむきだし』もアクションシーンがいっぱいの楽しい活劇である。
 女囚さそりシリーズになぞらえたアコーハットとコートの黒装束も、なんだか『ホーリー・マウンテン』のホドロフスキーを白黒逆転させた扮装に見えてくるから面白い。

 アクションに加えて、神聖と倒錯と、宗教への帰依と反発と、抑圧と解放と、愛と裏切りとが、テンポ良く描かれていて、とても楽しい作品である。
 なにも園子温(その しおん)監督がホドロフスキーを意識したわけではないだろう。面白さを追求すると、同じような境地に至るということか。
 そんな映画は滅多なことでは作られないと思っていたから、21世紀の日本で『愛のむきだし』と出会えたのはとても嬉しい。

 本作について、園子温監督みずから「完全なエンターテインメント」と語っている。
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「外から見ると非常に社会的であったり、アート的であったりするように見えるかもしれません。でも、自分の主張やメッセージよりも、とにかく物語を面白く展開するのはどういうことなんだ、ということばかりを考えていた」
「小さなころに見てわくわくした映画の記憶を大切にした。なおかつ、そういう映画を見たことがなくても楽しめる、いろんな好みの最大公約数を、観客の目になって考えた」
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 本作は、6時間もの長さがあったものを、切れるところは切っていったそうである。
 そのためか、3時間57分もありながら説明的な部分は省かれている。
 安藤サクラ演じるコイケの計画の詳細も判らないし、BUKKAKE社とゼロ教会の関係も判らない。
 というよりも、そもそも盗撮マニアの友人がカルトに入団していた妹を「こっちの世界に戻ってこい」と説得したという事実ありきから出発した作品だから、改まった説明は必要ないということなのかも知れない。

 1番判らないのは、なぜ「こっちの世界」に戻さなければならないか、ということだ。

 カルトが起こした事件はたびたび報道されているから、いまさら説明しなくても世間は理解するだろう。
 しかし、主人公の家族は、カルトにはまって初めて一家団欒を楽しむことができる。その姿は、既成宗教の世界や盗撮の世界や矯正施設の世界よりも幸せそうである。
 映画では、テレビレポーターがカルト集団の反社会活動を報道する場面もあったが、それは妹ヨーコの幸せには関係ない。少なくとも、「金目当ての邪教」と云うほどあくどい行為は描かれていない。

 園子温監督が友人に対して「そっちの宗教もあれだけど・・・お前の"こっちの世界"もかなり微妙だぞ」と思うように、どちらの世界が正しいかなんて決めることはできない。

 園子温監督は語る。
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宗教というのは一番わかりやすい形だけれど、人は皆、ある種の洗脳や情報操作を受けて生きている。そういったものの呪縛から一切自由になって愛をむきだし、自分の思いを遂げる姿を描きたかった
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 どっちの世界が正しいかなんて、本作の主人公には関係ないのだ。
 ヨーコを愛する彼は、"こっちの世界"に、彼のいる世界に一緒にいて欲しかったのだ。

 主人公は、映画の中ですべてを失う。
 親も、学校も、仕事も、母の形見も、ことごとく失くしてしまう。

 そして、長い遍歴の末に手にするものは、ただ一つ。
 愛。


愛のむきだし [DVD]愛のむきだし』  [あ行]
監督・原案・脚本/園子温(その しおん)  主題歌/ゆらゆら帝国
出演/西島隆弘 満島(みつしま)ひかり 安藤サクラ 渡辺真起子 渡部篤郎 板尾創路
日本公開/2009年1月31日
ジャンル/[アート] [ロマンス] [アクション]
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『牛の鈴音』はリンに似ている

 毎日、野良仕事を欠かさない年老いた父。
 「こき使われてばっかりだ」と愚痴り続ける母。
 『牛の鈴音(すずおと)』は、2人の日常を綴るだけのドキュメンタリーだ。


 父は脚が悪いために自力では歩けない。だから牛に車を引かせて野良に出る。
 毎日、野良仕事を欠かさないのだから、牛も毎日牛車を引く。

 牛ももう40歳。牛の寿命は、大切に育てても20歳程度なので、40歳とは驚くべき高齢だ。
 それだけに、父は自分よりも先に牛が死ぬなんて思っていない。
 口には出さぬまでも、自分と老妻と牛との生活が、死ぬまで続くと思っている。

 母の文句には切りがない。
 「農薬を使えば、苦労して草取りなんかしなくていいのに。」
 「仕事のしすぎで腰も曲がってしまった。」
 「なんでこんな人に嫁いじゃったんだろう。」
 それぞれの愚痴はつじつまが合わない。もう歳なんだから仕事はやめようと云いつつ、貯金がないとこぼし、子どもの世話になって肩身の狭い思いをするのは嫌だと嘆く。

 こうして、母の愚痴を聞き、牛の衰えを目にしながら、父は今日も手を真っ黒にして野良仕事に精を出す。


 野良仕事は過酷だ。
 母は、機械や農薬を使って少しでも楽をしたいと願っている。
 その愚痴は、「エコ」とか「オーガニック」といった言葉の軽さを蹴散らしてしまう。

 しかし父は、足を引きずり地を這って働きながら、将来の展望とか、夢とか野心といったことから隔絶した、ある種の平穏を得ているように見える。
 牛の首につけた鈴は、あたかもリンをリン棒で打つかのごとく澄んだ音色を響かせる。

 2人と、牛にとって、変わることなく繰り返すこれらの日々は幸せなのだろうか?


 夫婦について、白石一文氏がこんなことを語っている。
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松井秀喜は日本人で初めて大リーグのワールドシリーズでMVPに選ばれました。ほかにもイチローとか、ビル・ゲイツとか、松下幸之助とか、そういう人たちの成功というのは分かりやすいですよね。社会的な成功を収めた人物についてはたくさんの成功本が世間にあふれています。

一方、本当に仲良く添い遂げた夫婦は、社会的には何ら注目されることもなく、偉人伝に描かれることもありません。
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 2人のことは、観客には窺い知れない。
 英訳題は『OLD PARTNER』。父にとって、牛であり、母である。
 我々は、やがて迎える牛との死別、その喪失感の幾ばくかを、共に感じるばかりである。


牛の鈴音(うしのすずおと) [DVD]牛の鈴音』  [あ行]
監督・脚本・編集/イ・チュンニョル
出演/チェ・ウォンギュン イ・サムスン
日本公開/2009年12月19日
ジャンル/[ドキュメンタリー]

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