『しあわせの隠れ場所』の目をつぶる勇気

 『あなたは私の婿になる』と同様、『しあわせの隠れ場所』もオファーはまずジュリア・ロバーツにいったという。
 しかしサンドラ・ブロックが主演した今となっては、もうサンドラ・ブロックが演じるリー・アン・テューイしか考えられないだろう。

 『しあわせの隠れ場所』は、とてもいい映画だ。
 第82回アカデミー作品賞にノミネートもされている。

 しかし、それは「いい映画」も称賛されるというポーズだ。
 第82回の作品賞ノミネートが10作品ではなく、第81回までのように5作品だったら、本作は選から漏れていたかもしれない。
 『しあわせの隠れ場所』は、『アバター』のように現実の資源ウォーズを投影しつつ画期的な映像体験をさせるわけではないし、『ハート・ロッカー』のように新鮮な素材を提示したわけでもない。

 だが、『しあわせの隠れ場所』には、巧みな脚本と、心に響くセリフと、魅力的な役者と、品格を持った演出がある。
 本作のように、主張と感動をきちんと観客に送り届ける作品を生み出せることが、ハリウッドの強さだろう。

 残念ながら、本作は作品賞を逃し、サンドラ・ブロックのアカデミー主演女優賞のみにとどまった。

 たしかにサンドラ・ブロックは、共和党支持者で全米ライフル協会会員でキリリとしたリー・アンを見事に演じていた。
 しかし彼女の他の作品と比べて、桁違いに成長したわけでも初めて演技開眼したわけでもない。もともとちゃんとした演技力の持ち主なのだから。
 主演女優賞の受賞は、サンドラ・ブロックの功績を称えるのはもちろんのこと、「いい映画」を生み出したスタッフ・キャストの代表としての意味もあるのだろう。


 それにしても、2月は『インビクタス/負けざる者たち』、3月は『しあわせの隠れ場所』と、手堅い作品をコンスタントに観ることができるのは幸せだ。

 「面白い映画が多い年は、鑑賞本数が減る」と云う人がいる。

 観た映画が食い足りないと、もっともっと観てしまうが、素晴らしい映画を1本観ればお腹いっぱいになるからだそうだ。
 かくいう私は、木曜日に本作を観た。
 月曜日に観た映画は物足りず、火曜日に観た映画も楽しめず、水曜日の映画は良かったれどまだお腹いっぱいにはならず、木曜日に本作を観て満足した。
 おかげで金曜日はゆっくりと感想を書いている。


 『しあわせの隠れ場所』には、ハッとさせられるセリフが多い。
 特に印象的だったのは、マイケルが母に云われた「辛いことがあったら目をつぶりなさい」という言葉。
 現実を直視する勇気ももちろん大切だが、目をつぶって心の平安を保つこともまた大事なのだと教えている。

 とはいえ、リー・アンがマイケルの痛々しい姿に目をつぶっていたら、この実話は生まれなかった。

 直視する勇気と目をつぶる勇気、そのいずれもがこの映画にはある。


しあわせの隠れ場所 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)しあわせの隠れ場所』  [さ行]
監督・脚本/ジョン・リー・ハンコック  原作/マイケル・ルイス
出演/サンドラ・ブロック ティム・マッグロウ クィントン・アーロン キャシー・ベイツ リリー・コリンズ ジェイ・ヘッド レイ・マッキノン
日本公開/2010年2月27日
ジャンル/[ドラマ] [スポーツ]

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