『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』 英雄の条件とは?

 「パーシーの父親は神だというが、いったい誰なのか」

 …と、原作本の紹介文に書かれているが、映画ではのっけから息子を心配する父親が登場する。
 『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』は、ギリシア神話に材をとりつつ、ゴジラ映画のような産業振興を図る映画である。

 まるでアメリカ大陸の観光案内のごとく、ラスベガスやハリウッドなど旅行客が喜びそうな場所を巡りながら、ギリシア神話のエピソードを再現していく。
 米国内外の観客には東海岸から西海岸に点在する名所を紹介しつつ、特に本作が対象とするティーンエイジャーには、ラスベガスで遊びすぎてはいけないという教訓も垂れる。

 平成ゴジラシリーズにおいて、ゴジラが観光地、とくに新たな観光スポットにマメに出現して観光産業に貢献したように、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』は観光地としてのアメリカをアピールするのである。


 その物語は意外にギリシア神話に忠実だが、敢えて異なる味付けにしているところもある。

 たとえば、劇中で主人公パーシーの名前がペルセウスに似ていると指摘することで、パーシーが現代のペルセウスであると示唆する場面がある。
 事実パーシーは、ペルセウスの冒険そのままにメドゥーサ退治に向かうのだが、ペルセウスがゼウスの息子であるのに対し、パーシーはポセイドンの息子である。パーシーの父親を伏せていれば、ギリシア神話に詳しい人ほど引っかかってゼウスが父親だと思い込むだろう。ゼウスの息子にはヘラクレスのような有名どころもいるのでなおさらである。

 そこで敢えてポセイドンの息子とすることに新味があるのだが、クリス・コロンバス監督は引っかけなんか使わず、いつものように判りやすさ第一である。


 ポセイドン譲りの力を得て、パーシーはギリシア神話の英雄さながらに活躍するが、『世界神話事典』によれば、神話には「英雄の生涯に比較的多く共通している要素」が5つあるという。
 たしかにパーシーもこの条件を満たしている。


 条件1 神と人間のあいだに生まれた子であること。

 パーシーは、ポセイドンと人間の女性のあいだに生まれた半神(demigod)である。


 条件2 捨て子であること。

 パーシーは母親とは一緒に暮らしているものの、父はパーシーが幼い頃に出て行ったきりで顔も知らない。


 条件3 辺境で成長すること。

 神々の住まうオリンポスを世界の中心とするなら、神に見つからないようにひっそりと暮らしてきたパーシーは、まさに辺境育ちである。


 条件4 怪物退治や戦場での超人的活躍といった華々しい武勲を立てること。

 パーシーは、メドゥーサやヒドラといった怪物を退治する。
 しかも、最初から英雄然としているのではなく、原作者リック・リオーダンの息子と同様にADHD(注意欠陥/多動性障害)で難読症という境遇から、一転、超人的な力を発揮し始める。


 かように、パーシー・ジャクソンは英雄たる条件の多くを満たしている。
 しかし5番目の条件も満たせるだろうか?
 最後の条件は、スター・ウォーズ・サーガにおいても、アナキンは満たせたがルークには満たせなかった。
 それほど過酷な条件である。

 条件5 暴力的・劇的な死に方をすること。


パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 [Blu-ray]パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』  [は行]
監督/クリス・コロンバス  原作/リック・リオーダン
出演/ローガン・ラーマン ピアース・ブロスナン ユマ・サーマン アレクサンドラ・ダダリオ ブランドン・T・ジャクソン キャサリン・キーナー
日本公開/2010年2月26日
ジャンル/[ファンタジー] [アドベンチャー]
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【theme : 特撮・SF・ファンタジー映画
【genre : 映画

tag : クリス・コロンバス ローガン・ラーマン ピアース・ブロスナン ユマ・サーマン キャサリン・キーナー

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