『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』 映画の原点とは?
東京大学の講義「マルチメディア概論」をまとめた岡田斗司夫氏の著書『東大オタキングゼミ』に、次の一節がある。
映画の原点っていうのは、「人に、見たことないものを見せるんだ」ということ
『アバター』が大評判なのも、3D技術により異世界の光景を作ることで、技術的にも内容的にも見たことないものを見せているからだろう。
その点で『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』も、見たことないものをキッチリ見せてくれる、映画の原点を良く判っている作品である。
本作の主戦場は"光の国"だ。
ウルトラマンの故郷"光の国"は、これまでにも一部が紹介されることはあったが、基本的には謎の世界だ。私たちの住む地球とは違う、憧れの星だ。
ところが本作では、"光の国"のなりたちから日常の訓練風景などを存分に描いた上に、驚くべきことに"光の国"が戦場と化して破壊され、荒廃する様まで描かれる。
ウルトラマンがいるだけで鉄壁の防御のはずなのに、ウルトラマンたちが住む"光の国"が荒廃するなんて、あり得ない話だ。
そして大勢のウルトラマンたち。
共演とか兄弟が揃うというレベルではない。大勢のウルトラマンが続々と登場して闘いまくるのは、オリンピックとワールドカップと紅白歌合戦を同時に開催するような豪華さである。
対する怪獣たちも大軍団。
数十体の怪獣が大挙して押し寄せる!
さらに激しい肉弾戦と繰り出す光線技の数々は、怪獣映画といえどアクション映画なのだと認識させてくれる。
空を飛び、地を駆け、無敵のウルトラマンたちが雪崩をうって闘いに馳せ参じる。
『クローズZERO』が教えてくれた群衆アクションの面白さを、ウルトラマンで味わえる!
そして極めつけは、ウルトラマンはやっぱり巨人なのだと実感させる絵だ。
エネルギー源がなくなり吹雪の吹きすさぶ"光の国"に、地球人が降り立つ。その背後には、氷に埋もれたウルトラの父の顔。まるでガスタンクとその脇の人間を撮ったような構図に、"光の国"の住人の巨大さを改めて思い知らされる。
洋の東西にスーパーヒーローは数多あれど、巨人たちの社会が描かれるのはウルトラシリーズならではの特徴だ。
凍りついたウルトラマンたちのあいだを地球人レイが歩くところは、この映画きっての名場面だろう。
さらには、ウルトラシリーズでお馴染みの怪獣墓場が主戦場の一つとして描かれたり、数限りない怪獣が合体してウルトラマンさえちっぽけに見える超巨大怪獣ベリュドラが登場したりと、見どころにはこと欠かない。
まさに、見たことないものをたっぷりと見せてくれる映画である。
ストーリー面について云えば、通りすがりのウルトラマンと運良く出会ったり、ウルトラマンキングは何やってんだか判らなかったりと、しっくり来ないところもあるけれど、第3期ウルトラシリーズ以降は断片的にしか見ていない私でも、すんなりと入り込める親切な作りであった。
それに悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルが、ヴェノムにそっくりなのも嬉しいところだ。
目が裂けてるところといい、カギ爪のような指先といい、猫背ぎみのファイティングポーズといい、スパイダーマン最強のライバル、ヴェノムを髣髴とさせる。
映画『スパイダーマン3』では案外あっさりやられてしまったヴェノムだが、ウルトラマンベリアルは強いの何の、ウルトラマンたちが束になっても敵わない。
ジョン・ミルトンの『失楽園』において、「天から堕ちた天使のうち、彼ほど淫らで、また悪徳のために悪徳を愛する不埒な者も、他にはいなかった」と謳われたベリアル。
とうぜんのことながら、今後の活躍が期待される。
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』 [た行]
監督/坂本浩一 プロデューサー・脚本・ビジュアルスーパーバイザー/岡部淳也
脚本/樫原辰郎、小林雄次
出演/南翔太 五十嵐隼士 つるの剛士 黒部進 森次晃嗣
日本公開/2009年12月12日
ジャンル/[SF] [スーパーヒーロー] [アクション]
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映画の原点っていうのは、「人に、見たことないものを見せるんだ」ということ
『アバター』が大評判なのも、3D技術により異世界の光景を作ることで、技術的にも内容的にも見たことないものを見せているからだろう。
その点で『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』も、見たことないものをキッチリ見せてくれる、映画の原点を良く判っている作品である。
本作の主戦場は"光の国"だ。
ウルトラマンの故郷"光の国"は、これまでにも一部が紹介されることはあったが、基本的には謎の世界だ。私たちの住む地球とは違う、憧れの星だ。
ところが本作では、"光の国"のなりたちから日常の訓練風景などを存分に描いた上に、驚くべきことに"光の国"が戦場と化して破壊され、荒廃する様まで描かれる。
ウルトラマンがいるだけで鉄壁の防御のはずなのに、ウルトラマンたちが住む"光の国"が荒廃するなんて、あり得ない話だ。
そして大勢のウルトラマンたち。
共演とか兄弟が揃うというレベルではない。大勢のウルトラマンが続々と登場して闘いまくるのは、オリンピックとワールドカップと紅白歌合戦を同時に開催するような豪華さである。
対する怪獣たちも大軍団。
数十体の怪獣が大挙して押し寄せる!
さらに激しい肉弾戦と繰り出す光線技の数々は、怪獣映画といえどアクション映画なのだと認識させてくれる。
空を飛び、地を駆け、無敵のウルトラマンたちが雪崩をうって闘いに馳せ参じる。
『クローズZERO』が教えてくれた群衆アクションの面白さを、ウルトラマンで味わえる!
そして極めつけは、ウルトラマンはやっぱり巨人なのだと実感させる絵だ。
エネルギー源がなくなり吹雪の吹きすさぶ"光の国"に、地球人が降り立つ。その背後には、氷に埋もれたウルトラの父の顔。まるでガスタンクとその脇の人間を撮ったような構図に、"光の国"の住人の巨大さを改めて思い知らされる。
洋の東西にスーパーヒーローは数多あれど、巨人たちの社会が描かれるのはウルトラシリーズならではの特徴だ。
凍りついたウルトラマンたちのあいだを地球人レイが歩くところは、この映画きっての名場面だろう。
さらには、ウルトラシリーズでお馴染みの怪獣墓場が主戦場の一つとして描かれたり、数限りない怪獣が合体してウルトラマンさえちっぽけに見える超巨大怪獣ベリュドラが登場したりと、見どころにはこと欠かない。
まさに、見たことないものをたっぷりと見せてくれる映画である。
ストーリー面について云えば、通りすがりのウルトラマンと運良く出会ったり、ウルトラマンキングは何やってんだか判らなかったりと、しっくり来ないところもあるけれど、第3期ウルトラシリーズ以降は断片的にしか見ていない私でも、すんなりと入り込める親切な作りであった。
それに悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルが、ヴェノムにそっくりなのも嬉しいところだ。
目が裂けてるところといい、カギ爪のような指先といい、猫背ぎみのファイティングポーズといい、スパイダーマン最強のライバル、ヴェノムを髣髴とさせる。
映画『スパイダーマン3』では案外あっさりやられてしまったヴェノムだが、ウルトラマンベリアルは強いの何の、ウルトラマンたちが束になっても敵わない。
ジョン・ミルトンの『失楽園』において、「天から堕ちた天使のうち、彼ほど淫らで、また悪徳のために悪徳を愛する不埒な者も、他にはいなかった」と謳われたベリアル。
とうぜんのことながら、今後の活躍が期待される。
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監督/坂本浩一 プロデューサー・脚本・ビジュアルスーパーバイザー/岡部淳也
脚本/樫原辰郎、小林雄次
出演/南翔太 五十嵐隼士 つるの剛士 黒部進 森次晃嗣
日本公開/2009年12月12日
ジャンル/[SF] [スーパーヒーロー] [アクション]


【theme : 特撮・SF・ファンタジー映画】
【genre : 映画】