『The 4th Kind フォース・カインド』 ズンアブー・イーターとは?

 【ネタバレ注意】

 面白い映画だった。
 2000年に発生した事件を、当時撮影されたという記録映像と再現映像、そして現在のインタビュー映像によって描いている。
 画面を分割して、記録映像と再現映像を同時に見せるのは、とても面白い趣向だ。

 『The 4th Kind フォース・カインド』の再現映像でアビゲイル(アビー)・タイラー博士を演じるミラ・ジョヴォヴィッチが主役のはずなのに、いつのまにやら記録映像中のアビゲイル・タイラー博士が主役になっている。
 いわゆる2人1役というやつだ。
 よくある2人1役は、ある人物の幼少期と成人後を別々の役者が演じるケースだが、本作のように成人女性2人が1人の人物になるのは珍しい。
 スター俳優はミラ・ジョヴォヴィッチだけなのに、彼女はあくまで再現映像の人物でしかないため、観客が迫真性を求めるのは記録映像のアビゲイル・タイラー博士である。

 2人1役といえばルイス・ブニュエル監督の『欲望のあいまいな対象』が有名だ。
 1人の女性の感情の起伏を2人の女性が演じ分ける演出はとても面白かったが、本作のように1人の人物に焦点を当てているのにいつのまにか主演女優が変わってしまうのは、ブニュエルもびっくりの新趣向である。


 残念なのは、作り手の姿勢がブレており、本作をSFにするのかオカルトにするのかハッキリしないことだ。
 たびたび行われる催眠療法が、だんだん降霊会になってしまうのである。
 謎を残すことと、説明のつかないことをするのは違う。
 本作をシュメール文明に絡めたのは『エクソシスト』に対する敬意かも知れないが、オカルトを志向するなら題材が適切ではなかったろう。

 そして気がかりなのが、謎の言葉 "ズンアブー・イーター" 。
 中盤、「 "ズンアブー・イーター" ってなんだ?」という会話が交わされていながら、その意味に触れることなく映画は終わってしまう。
 もちろん、この言葉に意味はない。
 これは、トミーの前に現れたものとアビーが出会ったものが同一であることを示すための記号でしかなく、それぞれの出来事で同じ言葉を聞くことだけが重要なのだ。言葉の中身はなんでも良い。
 しかしそれでも、この言葉の意味を問うて殺傷事件が起きるのだから、何かしらの意味づけが欲しいところではある。


 ところで、『The 4th Kind フォース・カインド』のオフィシャルサイトには、本作の内容を「信じるかどうかはあなた次第」と書かれている。
 しかし正確には宣伝次第というべきだろう。
 日本での宣伝は控えめだが、米国公開時はいささかやりすぎがあったようだ。

 AP通信によれば、ユニバーサル・ピクチャーズは劇中の事件を本当らしく見せるために、作中人物であるウィリアム・タイラー博士の訃報やニュース記事を作成してネット上に公開していたそうだ。
 さすがにこれは報道機関の信憑性を損なうと問題視され、アラスカ記者クラブに20,000ドルの和解金を支払うことになった。

 実話っぽく見せれば映画の面白さが増すのは否定しないが、インターネットの健全な発展のためには、偽サイトの構築は厳に慎むべきだろう。


THE 4TH KIND フォース・カインド [Blu-ray]The 4th Kind フォース・カインド』  [は行]
監督・原案・脚本/オラントゥンデ・オスサンミ  原案/テリー・リー・ロビンス
出演/ミラ・ジョヴォヴィッチ ウィル・パットン イライアス・コティーズ
日本公開/2009年12月18日
ジャンル/[サスペンス]
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【theme : 洋画
【genre : 映画

tag : オラントゥンデ・オスサンミ ミラ・ジョヴォヴィッチ

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