『人生に乾杯!』 老夫婦の冒険譚

 しばらく前に「余命モノ」という言葉を知った。
 園子温監督が『ちゃんと伝える』を制作するに当たってそう呼んでいたことを、上映館の掲示物で知った。

 余命モノ……不治の病で余命いくばくもないことを知った主人公が、残された日々を懸命に生きようとする。映画としてはこの上なくドラマチックな題材だ。
 余命モノは、ひとつのジャンルを形成するほどの勢いで作られている。
 今年も、年明け早々の『ヘブンズ・ドア』から現在公開中の『僕らのワンダフルデイズ』まで、いくつもの余命モノを観た。

 しかし、余命モノは必ずしも難病によるものとは限らない。
 『人生に乾杯!』の主人公は、81歳の夫と70歳の妻。
 不治の病に侵されるわけではないが、前途洋々とも云えない年齢だ。

 二人は、劇的な出会いの末に結ばれたはずなのに、子供を亡くしてからというもの30年のあいだ笑顔が失われていた。
 映画は、そんな老夫婦が笑顔を取り戻す姿と、一方で破局の淵にある若いカップルを交互に描く。


  「ワシらには時間がないんだ」
 人生が残り少ないことを知っている老夫婦は、心残りがないように生きようとする。

 無限に生きられる人はいない。
 その意味において、誰の人生もすべては余命モノである。
 これから生まれる子供でさえも。


人生に乾杯! [DVD]人生に乾杯!』  [さ行]
監督/ガーボル・ロホニ
出演/エミル・ケレシュ テリ・フェルディ ユーディト・シェル ゾルターン・シュミエド
日本公開/2009年6月20日
ジャンル/[ドラマ] [コメディ] [犯罪]
ブログパーツ このエントリーをはてなブックマークに追加 (document.title)+'&u='+encodeURIComponent(location.href)+'&ei=UTF-8','_blank','width=550,height=480,left=100,top=50,scrollbars=1,resizable=1',0);">Yahoo!ブックマークに登録

【theme : ヨーロッパ映画
【genre : 映画

tag : ガーボル・ロホニエミル・ケレシュテリ・フェルディユーディト・シェルゾルターン・シュミエド

最新の記事
記事への登場ランキング
クリックすると本ブログ内の関連記事に飛びます
カテゴリ: 「全記事一覧」以外はノイズが交じりますm(_ _)m
月別に表示
リンク
スポンサード リンク
キーワードで検索 (表示されない場合はもう一度試してください)
プロフィール

Author:ナドレック

よく読まれる記事
最近のアクセス数
スポンサード リンク
コメントありがとう
トラックバックありがとう
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

これまでの訪問者数
携帯からアクセス (QRコード)
QRコード
RSSリンクの表示