『大洗にも星はふるなり』を楽しむ方法

 この笑いはいったいなんだ? と考えて、鑑賞後に思い当たった。

 宴会も2次会、3次会になって終電もなくなり、居眠りしているヤツもいる頃、酔いと眠気で気分がハイになってしまって、くだらないネタに一同ゲラゲラ笑ってしまうことがある。
 それじゃあオレも一発とばかりに、もっとくだらないことを喋って、もっとゲラゲラ笑って、また一人眠りに落ちる。
 そんなバカバカしくも楽しい一夜。

 『大洗にも星はふるなり』のノリって、そんな感じじゃないだろうか。
 酔っ払って観ればゲラゲラ、しらふで観ればクスクスといった笑いが、最初から最後まで観客を楽しませてくれる。


 元が劇団ブラボーカンパニーの舞台劇なので、物語は海の家の7人の男たちだけで進む。
 ブラボーカンパニーの座長であり、映画の監督・脚本も担当した福田雄一氏は、映画化するに当たって「映画的興奮」とか「映像の魔術」とかを目指した気配がない。
 ただただ脱力系のギャグを繰り出すことに専念している。
 その割り切りは潔い。

 澤井信一郎監督が次のように語ったことがある。
 「最近の監督は、構図を決めたらカットは2、3カットだけで、決めた構図の中で動かしていて、たいへん演劇的な、映画らしくない作り方です。」
 しかし『大洗にも星はふるなり』は、演劇的とか映画らしくないどころではない。舞台を観るのと同じ感覚を再現している。
 なにしろアップがない。カメラが寄ってもせいぜいバストショット。
 ときどきカメラの位置は変わるが、躍動感のある動きではなく、劇場で客席を移動する程度の変化でしかない。

 これまで舞台劇を映画化した例は多いが、本作ほど映画らしさを目指さない作品も珍しかろう。

 それもこれも、脱力系のギャグを生かすためである。
 中身が脱力系なのに、力のこもった演出や工夫を凝らした映像を見せられると、中身とのギャップにしらけてしまう。
 演じ手と観客との微妙な距離感を保つことが、脱力系ギャグの成否の分かれ目なのだ。

 そんな本作は、ダラダラと鑑賞し、そのあと飲みに行ってグダグタと語り合う、なんて見方がふさわしい。
 って、いつもやってることじゃん! 


 ちなみに本作に関連して、12月にスピンオフDVDを発売するそうだ。
 当初『大洗 ZERO』という仮題がついていたが、正式タイトルが決まったようである。

  『大洗にも星はふるなり』 これって全力すぎてスピンオフじゃねえじゃんスペシャル

 これまた、全力で脱力していることだろう。


大洗にも星はふるなり スペシャル・エディション [DVD]大洗にも星はふるなり』  [あ行]
監督・脚本/福田雄一
出演/山田孝之 山本裕典 ムロツヨシ 小柳友 白石隼也 安田顕 佐藤二朗 戸田恵梨香
日本公開/2009年11月7日
ジャンル/[コメディ]
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tag : 福田雄一 山田孝之 山本裕典 ムロツヨシ 小柳友 白石隼也 安田顕 佐藤二朗 戸田恵梨香

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