『犬と猫と人間と』 目をそむけてはならない
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それがいま1番に感じることだ。
犬や猫と暮らしている人、いつか飼いたいと思っている人、ペットなんてひとごとだと思っている人、みなさんはこの現実をどれだけご存知だろうか。
「地獄だ。」
日本に来たマルコ・ブルーノ氏はいう。
「人間でいることが嫌になった。」
ナレーションを務める飯田基晴監督が、ポツリとこぼす。
日本には犬や猫を処分するための施設があり、毎日たくさんの飼い主が子猫や仔犬を殺してもらいに来る。
よしんば、自分では育てられないにしても、なぜ生かす努力をしないのだろう。
なぜ自分で殺さないのだろう? 生まれたばかりの子猫など造作もないことなのに。
自分の手を汚すのが嫌だから?
他人に殺させるのは構わない?
まさか、施設の職員が処分にやりがいを感じて嬉々として遂行しているとは思わないだろう。
およそ一千年ほど前、日本に武士という殺し合いを担う階級が誕生した。
貴族たちは、それを武士に押し付けて、自分たちは歌を詠んで暮らした。
「穢らわしいことはあいつらに押し付けておけばよい。」この映画を観ながら、千年前の声が聞こえるようだった。
『犬と猫と人間と』を観て、初めて知ることもあった。
戦時中、狂犬病を防ぐために犬を飼うことは実質的に禁じられたという。
そして犬の肉は食用となった。
『犬と猫と人間と』に登場した前川医師は云う。
「世の中が平和で、豊かでなければ、動物の愛護なんて気持ちにはならないんですよ。」
では、現代の日本はこれほどまでに貧しくすさんでいるということか。
しかし飯田基晴監督は、つらい現実を取り上げながらも、まるで希望があるかのように描いている。
そうだ、うなだれるばかりでは何も始まらない。
(コメント欄へつづく)
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監督/飯田基晴 企画/稲葉恵子
日本公開/2009年10月10日
ジャンル/[ドキュメンタリー] [犬]


【theme : 考えさせられた映画】
【genre : 映画】
tag : 飯田基晴