『あなたは私の婿になる』 就活と婚活の出会うとき?
天海祐希主演のテレビドラマ『Around40~注文の多いオンナたち~』が人気を博したのは記憶に新しいところだ。
40歳になる独身の精神科医が、バリバリ仕事をこなしつつ恋や結婚に向き合う物語は、同世代の女性の共感を呼び、「アラフォー」という言葉は2008年の流行語大賞を獲得した。
天海祐希は1967年8月8日生まれなので、2008年4月~6月のドラマ放映時は実際に40歳であった。
対してサンドラ・ブロックの誕生日は1964年7月26日で、今年で45歳。まだアラフォーの範囲内といえよう。
そのサンドラ・ブロックの主演作『あなたは私の婿になる』の最大の魅力は、なんといってもサンドラ・ブロック演じるマーガレットの鬼編集長ぶり。
先日公開された『シャッフル』では、だらだら寝てばかりの役だったので、なおのことキビキビした動きが印象的だ。
職場のシーンは少なかったが、ここが強烈な印象を残すからこそ、その後の展開が楽しめる。
鬼編集長ぶりだけではなく、インスタントメッセンジャーで私語が飛び交う職場を見ているから、アラスカの一般家庭にパソコンがないことや、唯一見つけたパソコンのダイヤルアップ接続音にギョッとするわけだ。
伏線の張り方がなかなか上手い。
面白いのは、ヘタレの草食男子かと思われたアシスタントのアンドリューが意外に強気なこと。
『サマー・ウォーズ』の健二は、夏希先輩から恋人役を押し付けられるにしろ、おばあさんに見込まれるにしろ、振り回されっ放しの感が強かった。邦題をはじめとした日本での宣伝方法は、同じ路線を狙ってのことだろう。
今どきの日本男児はそれで違和感ないのだが、アンドリューがマーガレットの言いなりなのはあくまで職場だけのこと。職場を出るとマーガレットをひざまずかせて、条件を強気で押し付ける。さらに、カヌーを作っちゃうアウトドア派の一面も見せる。
米国の女性が魅力を感じるのは、ヘタレよりもやっぱりタフガイということか。
日米の違いといえば、ドラマ『Around40』では、目の前の仕事と、恋人との生活の、どちらを選ぶかで葛藤するが、『あなたは私の婿になる』にそんな苦悩はない。
日本とは葛藤するポイントが異なるのも興味深い。
それにしても、近年は目が合えば即ベッドインという映画ばかりだし、ひと昔前なら一緒のベッドに寝ていても人が入ってくると飛び起きたことを考えると、本作のように一緒に寝ているように見せかけながら実は別々に寝ていたり、なかなか二人がくっつかなかったりという映画は、いまやとても希少だろう。
『あなたは私の婿になる』は波乱万丈のストーリーが展開するわけではないので、会話と演技が主な楽しみだ。
そのため、いい役者を揃えている。
主役がジュリア・ロバーツからサンドラ・ブロックに交代したのも、悪くはなかった。
相手役のアンドリューを演じたライアン・レイノルズは、ちょっと寄り目がちのとぼけた演技を見せてくれる。
先日『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』を観たばかりなのに、二刀流で暴れまくるデッドプール(ウェイド・ウィルソン)と同一人物とはついぞ気づかず。
飛び抜けて美しかったのは、アンドリューの母を演じたメアリー・スティーンバージェン。
私の大好きな『タイム・アフター・タイム』(1979)のヒロインだが、あの頃よりも美しくなったように思う。
そしてエスキモーのお祖母さんを演じるベティ・ホワイトもいい役どころだか、何よりチャーミングなのは、サモエドのケヴィン(推定生後2ヵ月)だ。
犬がタイトルロールの映画(HACHIとかマリとか)ならともかく、そうではないのに犬にきちんと名前があって、普通の飼い犬として登場し、他の家族と同様に出番があるのは珍しい。
こんなふうに、犬や猫が普通に暮らしの中にいる映画が、もっと増えていいと思う。
『あなたは私の婿になる』 [あ行]
監督/アン・フレッチャー
出演/サンドラ・ブロック ライアン・レイノルズ マリン・アッカーマン メアリー・スティーンバージェン
日本公開/2009年10月16日
ジャンル/[ロマンス] [コメディ] [犬]
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40歳になる独身の精神科医が、バリバリ仕事をこなしつつ恋や結婚に向き合う物語は、同世代の女性の共感を呼び、「アラフォー」という言葉は2008年の流行語大賞を獲得した。
天海祐希は1967年8月8日生まれなので、2008年4月~6月のドラマ放映時は実際に40歳であった。
対してサンドラ・ブロックの誕生日は1964年7月26日で、今年で45歳。まだアラフォーの範囲内といえよう。
そのサンドラ・ブロックの主演作『あなたは私の婿になる』の最大の魅力は、なんといってもサンドラ・ブロック演じるマーガレットの鬼編集長ぶり。
先日公開された『シャッフル』では、だらだら寝てばかりの役だったので、なおのことキビキビした動きが印象的だ。
職場のシーンは少なかったが、ここが強烈な印象を残すからこそ、その後の展開が楽しめる。
鬼編集長ぶりだけではなく、インスタントメッセンジャーで私語が飛び交う職場を見ているから、アラスカの一般家庭にパソコンがないことや、唯一見つけたパソコンのダイヤルアップ接続音にギョッとするわけだ。
伏線の張り方がなかなか上手い。
面白いのは、ヘタレの草食男子かと思われたアシスタントのアンドリューが意外に強気なこと。
『サマー・ウォーズ』の健二は、夏希先輩から恋人役を押し付けられるにしろ、おばあさんに見込まれるにしろ、振り回されっ放しの感が強かった。邦題をはじめとした日本での宣伝方法は、同じ路線を狙ってのことだろう。
今どきの日本男児はそれで違和感ないのだが、アンドリューがマーガレットの言いなりなのはあくまで職場だけのこと。職場を出るとマーガレットをひざまずかせて、条件を強気で押し付ける。さらに、カヌーを作っちゃうアウトドア派の一面も見せる。
米国の女性が魅力を感じるのは、ヘタレよりもやっぱりタフガイということか。
日米の違いといえば、ドラマ『Around40』では、目の前の仕事と、恋人との生活の、どちらを選ぶかで葛藤するが、『あなたは私の婿になる』にそんな苦悩はない。
日本とは葛藤するポイントが異なるのも興味深い。
それにしても、近年は目が合えば即ベッドインという映画ばかりだし、ひと昔前なら一緒のベッドに寝ていても人が入ってくると飛び起きたことを考えると、本作のように一緒に寝ているように見せかけながら実は別々に寝ていたり、なかなか二人がくっつかなかったりという映画は、いまやとても希少だろう。
『あなたは私の婿になる』は波乱万丈のストーリーが展開するわけではないので、会話と演技が主な楽しみだ。
そのため、いい役者を揃えている。
主役がジュリア・ロバーツからサンドラ・ブロックに交代したのも、悪くはなかった。
相手役のアンドリューを演じたライアン・レイノルズは、ちょっと寄り目がちのとぼけた演技を見せてくれる。
先日『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』を観たばかりなのに、二刀流で暴れまくるデッドプール(ウェイド・ウィルソン)と同一人物とはついぞ気づかず。
飛び抜けて美しかったのは、アンドリューの母を演じたメアリー・スティーンバージェン。
私の大好きな『タイム・アフター・タイム』(1979)のヒロインだが、あの頃よりも美しくなったように思う。
そしてエスキモーのお祖母さんを演じるベティ・ホワイトもいい役どころだか、何よりチャーミングなのは、サモエドのケヴィン(推定生後2ヵ月)だ。
犬がタイトルロールの映画(HACHIとかマリとか)ならともかく、そうではないのに犬にきちんと名前があって、普通の飼い犬として登場し、他の家族と同様に出番があるのは珍しい。
こんなふうに、犬や猫が普通に暮らしの中にいる映画が、もっと増えていいと思う。
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監督/アン・フレッチャー
出演/サンドラ・ブロック ライアン・レイノルズ マリン・アッカーマン メアリー・スティーンバージェン
日本公開/2009年10月16日
ジャンル/[ロマンス] [コメディ] [犬]
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