『風が強く吹いている』 追い風か向い風か

 「10人でタスキを繋いでいく箱根駅伝なら、イケメンを10人登場させられる。一人ひとりに見せ場を用意しつつ、タスキを繋ぐたびに場面を盛り上げていけば、若い女性にうけること間違いなし。」

 …なんて動機で映画化したんだろうな、と邪推しながら試写会場へ足を運んだ。

 しかし、映画が始まるとすぐに引き込まれ、タイトルが出るころには邪推は吹っ飛んでいた。

 つかみはOK!


 さて、まだ公開前の映画なので、ささいな小ネタも知りたくないという方は、ここから先を読むのはご遠慮ください。



 …

 10人の中でお荷物になるのは、中村優一さんが演じる漫画マニアの"王子"である。
 出だしではマンガだらけの部屋にこもりっきりでスポーツには縁遠い王子だが、やがて『あしたのジョー』を掲載した少年マガジンを読むあたりから、走ることに熱意を持ち始める、ように見える。

 しかし、違うのである。

 しょっぱなで彼が読んでいる雑誌は『COM』の1969年8月号である。
 この号は、手塚治虫が『火の鳥 鳳凰編』の連載を開始したものだ。
 王子は、火の鳥の絵を額に入れて飾っていることからしても、相当な火の鳥ファンである。
 手塚治虫は発表済みの作品にも手を入れることがあるため、王子はわざわざ初出誌を入手して発表当時の作品を読んでいたのだろう。
 とりわけ傑作の誉れ高い『鳳凰編』は、奈良を舞台に、仏像制作に情熱を傾ける仏師たちを描いた作品である。

 さらに、タイムが伸びないことをなじられるシーンで王子が読んでいたのは、日本初のアニメ専門ムックであるマンガ少年臨時増刊『TVアニメの世界』(1977年)である。
 開いていたページは、ちょうどマンガ『鳥よ、飛びたて!!』が載っているあたりだ。
 原作・石津嵐、絵・すがやみつるによるこのマンガは、アニメーターを目指す青年が苦悩しながらも夢をあきらめずに努力していく物語だ。

 王子はラブコメやギャグマンガを読んだりしていない。

 王子は、はじめから熱い心を持っていたのである。


風が強く吹いている [Blu-ray]風が強く吹いている』  [か行]
監督・脚本/大森寿美男
出演/小出恵介 林遣都 中村優一 川村陽介 ダンテ・カーヴァー 橋本淳 森廉 内野謙太 斉藤慶太 斉藤祥太
日本公開/2009年10月31日
ジャンル/[青春] [ドラマ] [スポーツ]
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【theme : 日本映画
【genre : 映画

tag : 大森寿美男 小出恵介 林遣都 中村優一

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