『3時10分、決断のとき』は逃げられない

 【ネタバレ注意】

 『ダークナイト』では船客たちが命を懸けた決断を迫られる。どのような決断を下すのか、観客は固唾を呑んで画面に食い入ることになる。
 しかし、本作の街の住民たちは、あっさり決断してしまう。200ドルに釣られて、囚人を護送する主人公たちを殺そうとするのだ。逡巡せずに銃をとる住民たちに、観客はブーイングするに違いない。

 保安官もあっさり降伏、鉄道会社役員も逃げるのにためらいはない。
 彼らにとっては、決断するまでもない当たり前の行動なのだ。
 助かる見込みが万に一つもないのだから、保安官や役員を責められはしない。

 だが一人悩む牧場主に、我々は感情移入することになる。
 牧場主は、『ダークナイト』の船客たち全員分にも匹敵する決断を迫られる。

 なんのために?


 「誇れるものが何もない。」
 牧場主の言葉が突き刺さる。

 200ドル、400ドル、1000ドル、牧場主にとっては大金が提示される。
 その揺れる心情を演じるクリスチャン・ベイルがみごとである。

 まったく趣向は違うけれど、小津安二郎監督の『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』を思い出してしまった。
 家では厳格な父親が、会社では上司の機嫌を取るために何をしているのか。それが息子の目にはどう映るのか。

 もしも目の前に息子がいなかったら、牧場主はどう行動していただろう。
 同じ決断を下していただろうか。


 牧場主は「これで良心を保てた」と云って、持ち続けていた妻のブローチを息子に託す。
 ブローチと共に、父の想いは確かに受け継がれた。


 この作品、演技陣も素晴らしい。
 牧場主のクリスチャン・ベイル、老探偵のピーター・フォンダもイカしているが、なんといっても悪漢役のラッセル・クロウ。
 まだ『消されたヘッドライン』ほど太ってはいないラッセル・クロウが、堂々たる悪党のボスを演じている。


3時10分、決断のとき [Blu-ray]3時10分、決断のとき』  [さ行]
監督/ジェームズ・マンゴールド
出演/ラッセル・クロウ クリスチャン・ベイル ローガン・ラーマン ベン・フォスター ピーター・フォンダ
日本公開/2009年8月8日
ジャンル/[西部劇] [サスペンス] [ドラマ]

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tag : ジェームズ・マンゴールド ラッセル・クロウ クリスチャン・ベイル ローガン・ラーマン

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