『ビバリーヒルズ・チワワ』の幸せとは?

 2007年度に日本で殺処分された犬は100,963頭、猫は209,494頭。単純計算で、1日当たり851頭が殺される計算だ。
 われわれ人間は、狼とは異なる犬という生き物をみずから生み出しておきながら、毎日せっせと殺している。

 また、北米では早春になると不用犬収容所が生後数ヶ月の子犬であふれかえるという。クリスマスプレゼントとして子供に犬を買い与えながら、ひと月もすると捨ててしまうのだ


 犬を取り上げた映画は少なくない。
 しかしその多くは、犬を材にとりながら人間ドラマが主眼だったり人間がハッピーになるだけで終わってしまったりで、本当に犬を中心に描いた映画、犬がハッピーになる映画はまず見られない。

 『ビバリーヒルズ・チワワ』の素晴らしいところは、犬にとってのハッピーエンドを目指すことだ。
 もちろん、ビバリーヒルズで豪勢な暮らしをすることがハッピーだというのではない。
 では、犬にとってのハッピーとは?


 本作は、ビバリーヒルズで豪奢な生活をおくるチワワのクロエが主人公。
 メキシコで迷子になってしまったクロエは、ビバリーヒルズへ戻るため大冒険を繰り広げる。

 そもそもクロエが迷子になったのは、屋敷で留守番を言い付かったレイチェルが、クロエを連れ出してメキシコくんだりに旅行するからだ。
 このレイチェル、いい加減で思慮の足りない小娘として登場するが、伯母が大切にしているクロエが迷子になってからの行動は感心だ。ありとあらゆる手立てでクロエを捜そうと努力する。犬がいなくなったことを受け入れたり、あきらめたりしないのだ。

 レイチェルにとってクロエは単に預かりもの。愛情を注いで暮らしていたわけではない。
 それでも犬を放っておくなんて、彼女は考えない。
 これがこの映画の第1のポイント。


 チワワのクロエは、冒険の途中で多くの野良犬たちに出会う。
 彼らはクロエがビバリーヒルズに戻ることに協力するが、それだけではなく彼ら自身も家を、一緒に暮らす人間を得る。
 本作ではクロエがビバリーヒルズに帰ればメデタシメデタシなわけではなく、登場する犬たちみんなが友である人間を見つけることがハッピーなのだ。
 これが重要な第2のポイント。


 過保護に育てられたクロエは、冒険の過程で逞しさを身につける。
 しかし人間から自立したり一人で旅立ったりはしない。

 なぜなら、犬にとっての不幸とは人間と一緒に暮らせないことだからだ。
 人間もまた犬と別れてはいけない。
 ビバリーヒルズや豪奢な暮らしはどうでも良くて、人間の待つ家へ戻ることが大事なのだ。


 例外はいる。
 この映画には、人間がいなくなった廃墟で、社会を築いた犬たちが登場する。
 彼らはたとえ人類が滅ぼうとも、犬の国を存続させるだろう。
 シマックの小説のように。


 しかし犬の国の住民ではない一般の犬たちには、人間という友が必要だ。
 そして(まだ自覚していないかもしれないが)人間にも友が必要なのだ。

 この映画は、犬を愛するすべての人へ、犬を愛したすべての人へ、これから犬を愛するだろうすべての人へ、そのことを教えてくれる。

 天国の手前にあるという虹の橋は、友と一緒に渡るのだと。


ビバリーヒルズ・チワワ [Blu-ray]ビバリーヒルズ・チワワ』  [は行]
監督/ラージャ・ゴスネル
出演/パイパー・ペラーボ ジェイミー・リー・カーティス ドリュー・バリモア アンディ・ガルシア エドワード・ジェームズ・オルモス
日本公開/2009年5月1日
ジャンル/[コメディ] [ファミリー] [アドベンチャー] [犬]
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