ウは『ウォーリー』のウ

 ウォーリーのデザインを見て、1984年にニッカウヰスキーのCMで人気を博したロボット "アポジーとペリジー" が25年を経てついに映画化されたのかと感慨を抱くこと人もいることだろう(違う?)。

 ウォーリーのデザインのみならず、この作品にSFファン、SF映画ファンは懐かしさ楽しさを覚えるはずだ。

 人類が見捨てた都市で、ロボットが忠実に働き続ける物語といえば、クリフォード・D・シマッタもといシマックの『都市』(1952年)。

 巨大宇宙船で何世代にもわたって旅するうちに、自分たちの故郷も旅の目的も忘れ去ってしまう人類の物語といえば、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の孤児』(1941年)(あるいは『スターロスト 宇宙船アーク』とか)。

 そして何世代もの艦長に付き添った自動操縦装置AUTOは、『2001年宇宙の旅』(1968年)のHAL9000そのもの。

 『ウォーリー』を観て、これら往年のSFを思い浮かべた人も多いだろう。
 そして本作が過去のSF作品へのリスペクトに満ちていることが、ますます本作へ愛情を抱かせる。

 たとえばリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』が鳴り響く中、人類が二足歩行に成功するシーンなど、『2001年宇宙の旅』のファンだって目くじら立てるよりも嬉しくなるに違いない。


 ところで私が『ウォーリー』の予告編を観て「必ず劇場へ足を運ぼう!」と決めたのは、シマックやハインラインの著名な作品を想起したからではなく、キース・ローマーの『銀河のさすらいびと』(1967年)にそっくりだと思ったからだ。
 有名な『都市』や『宇宙の孤児』ならともかく、『ウォーリー』の作り手がキース・ローマーの作品を読んでいるかどうかは判らない。SF史に残る名作ではないし、後世に影響を及ぼしたわけでもない。だがこれは私がとても好きな作品なのだ。

 『銀河のさすらいびと』は、孤独な青年が主人公だ。
 彼は、偶然の出来事から、未開の惑星でレア姫(レイア姫ではない!)と2人きりになってしまう。青年は献身的にレア姫につくして過ごすのだが、ある日、降り立った宇宙船がレア姫を連れ去ってしまう。
 青年はレア姫を救うため、果てしない宇宙を旅することになる…。


 ウォーリーが助けようとするイヴはお姫様ではないのだけれど、懸命になって宇宙まで追いかけていくところは、『銀河のさすらいびと』を彷彿とさせる。

 きっと往年のSFファンはみんな、『ウォーリー』にどこかしら懐かしいところをくすぐられているに違いない。


 映画『ウォーリー』の背景には、様々な問題が描かれる。
 ゴミが増え続けて地球に住めなくなってしまう環境問題。機械に頼った安逸な生活に溺れ、脆弱な肥満児になってしまう人間たち。
 だが、この作品の素敵なところは、シリアスな問題を背景にしながらも、物語はあくまでウォーリーとイヴに収束することだ。

 逆の感想を抱く人がいるかも知れない。ウォーリーとイヴを狂言回しにしながら、環境問題や人類のありかたを描いた作品だと。
 どちらでもいいことだけど、やはりウォーリーのイヴへの想い、イヴのウォーリーへの想いが、この作品の魅力なのだと私は思う。


 ウォーリーとイヴはその後どうなったかって?
 東京ディズニーランドに行ってみるといい。
 ウォーリーとイヴが仲良く歓迎してくれる。


 ところで、シマックの『都市』では、人類が去ったあとに残るのはロボットと犬たちだった。
 ロボットは『ウォーリー』で描かれたけど、さて犬たちは?

 大丈夫、その活躍もちゃんと楽しめる
 さすがディズニー!


ウォーリー』  [あ行]
監督・原案・脚本/アンドリュー・スタントン  脚本/ジム・リアドン
出演/ベン・バート エリッサ・ナイト シガーニー・ウィーヴァー
日本公開/2008年12月5日
ジャンル/[ファミリー] [SF] [ロマンス]

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tag : アンドリュー・スタントン

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