『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』 私たちが忘れがちなこと

 【ネタバレ注意】

 歴代の仮面ライダーが集結したくらいじゃ驚かないぞ。『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』を観るまでそう思っていた。
 しかし、何の予備知識もなしに映画館へ足を運んだ私は、ものの見事に驚かされてしまった。

 私は昔からアメコミのクロスオーバーの企画を羨ましく思っていた。
 スパイダーマンとハルクが共演したり、X-メンの物語が複数の誌面にわたって展開されたりするのが、実に楽しそうだったからだ。マーベル・コミックスのヒーローたちや、DCコミックスのヒーローたちがそれぞれチームを結成するのも、ヒーローの抱き合わせ販売に見えなくもないものの、それでスケールの大きな物語を楽しめるなら喜ぶべきことだと思う。
 さらにはマーベルのヒーローたちとDCのヒーローたちが共演するに至っては、鼻血が出そうなほど興奮した。

 それもこれも、著作権を書き手個人が持つのではなく、出版社が有するというアメコミ事情によるわけだが、私は常々日本でも同じような共演ができないものかと思っていた。
 そのような例がないわけではない。永井豪氏や松本零士氏らは自作マンガでクロスオーバーに近いことをしてきたし、ゲームではマンガやアニメのヒーローが共演するものもあった。
 しかし、マーベルやDCは出版社ぐるみで取り組むのでスケールが違う。
 もしも、ある月の少年ジャンプとヤングジャンプの連載マンガすべてが一つの大事件に取り組んだり、その解決編が月刊少年ジャンプまるまる一冊使って描かれたりしたら、やっぱり鼻血が出そうになると思うんだな。


 長年そんなことを考えていたので、円谷プロや東映の取り組みにはワクワクした。
 特に、先ごろ公開された『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』が、遂にウルトラシリーズの枠を越えて、円谷プロのヒーロー集合への足がかりを作ったのは注目に値しよう。
 東映も、これまでスーパー戦隊のクロスオーバーや仮面ライダーシリーズのクロスオーバーは何度も描いてきた。
 しかし、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は、東映創立60周年記念作品の第1弾だ。これまでと同程度のクロスオーバーでは、作り手も受け手も納得しないだろう。
 だから、歴代ライダーが続々登場するばかりではなく、キカイダーと01とイナズマンと快傑ズバットまで現れたのは嬉しかった。『人造人間ハカイダー』なんて映画はあったものの、キカイダーやイナズマンたちが昔の姿のままスクリーンに登場するのは30年以上なかったことである。残念ながら、ライダーと共闘するアクションシーンはなかったけれど、その雄姿を見られただけで感涙ものである。

 国連での会議もふるっている。
 ショッカーやデルザー軍団やクライシス帝国等の悪の組織の集まりが国連とは、最高である。

 クライマックスも、またぞろキングダークとの闘いかと見せかけて、それがフェイントと判ったときにはニヤリとした。そうそう、キングダークなんかまだまだ小物なんである。
 そのクライマックスは、まるで成井紀郎氏のマンガ『7大巨獣をたおせ! 決死戦7大ライダー』で、阿蘇山のエネルギーを使って地の底から大魔人が復活したときのような迫力である。

 なんだか、部分的なシークエンスばかり取り上げて恐縮だが、東映創立60周年記念と仮面ライダー生誕40周年記念のお祭り映画なんだから、枝葉が賑わっていればいいのである。


 本作の根幹となる点に着目すれば、クロスオーバーを実現する手法のユニークさだろう。
 『仮面ライダーディケイド』が各ライダーの宇宙を横断する物語だったように、あるいは『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』がウルトラマンとは異なるヒーローが存在する別の宇宙へ旅したように、複数のヒーローの世界を並存させるためには、多元宇宙(マルチバース)の考え方を採用することが多い。我々の宇宙(ユニバース)にすべてのヒーローが同時に存在すると考えると、数々の矛盾が生じるためである。これは、アメコミの手法に倣ったものだろう。

 ところが本作では、新旧の仮面ライダーを登場させるために、時間旅行を仲立ちとした。
 1971年に『仮面ライダー』第1作の放映が開始されたわけだが、この仮面ライダーの活躍を1971年の歴史的事実として位置付け、タイムマシンであるデンライナーを介してNEW電王やオーズたちが2011年から時間旅行する。旅した先は1971年11月11日、ドクダリアンやアルマジロングが暴れていた頃である。
 こうすることで、『仮面ライダー』の世界と『仮面ライダーオーズ/OOO』の世界の双方を描いているのだ。

 もっとも、時間旅行によって噴出するタイムパラドックスを、作り手は回避するつもりがない。
 それどころか、V3以降のライダーがなぜ存在するのか、キカイダーやイナズマンたちがどこから来たのか、まともな説明はなされない。
 しかし、それでもいいのだ。本作はストーリーテリングの巧みさを楽しむ作品でない。
 そこにあるのは、1971年から始まった『仮面ライダー』への強烈なリスペクトであり、『仮面ライダー』に熱中したかつての子供たち(今のお父さんたち)と『仮面ライダーオーズ/OOO』を楽しむ現代の子供たちの懸け橋になろうとする意欲である。
 だからこそ、本作は少年仮面ライダー隊のナオキとミツルの後日談をも兼ねるのだ。

 そして、最後に見せる仮面ライダーの大爆走は、ややもすれば忘れがちなこと、彼らは「ライダー=バイク乗り」であることを再認識させてくれる。


Let's Go RiderKick 2011 (DVD付)オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』  [あ行]
監督/金田治
出演/渡部秀 桜田通 三浦涼介 高田里穂 桐山漣 菅田将暉 秋山莉奈 石丸謙二郎 福本清三 ささきいさお
声の出演/藤岡弘 佐々木剛 宮内洋 納谷悟朗 柴田秀勝 加藤精三 飯塚昭三
日本公開/2011年4月1日
ジャンル/[特撮] [アクション] [ヒーロー]

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