『ROCK&RULE/ロックン・ルール』 ベスト・オブ・ベスト アワード2010

 ムービープラスユナイテッド・シネマシネマカフェが共同で実施しているベスト・オブ・ベスト アワード2010
 その4部門に投票したので、内容を紹介する。

 投票に当たっては、当ブログで未紹介の作品であることを心掛けた。すなわち、ブログ記事としてまとめるには至らなかったが、機会があれば取り上げておきたかった作品である。


ベスト・ムービー(作品)

 『ROCK&RULE/ロックン・ルール』

 これが2010年のベスト・ムービーなのかというと、もっと優れた作品はあるだろうが、とにかく映画館で観ることはすっかり諦めていた本作が、制作から27年を経て公開された、その偉業を称えて投票した。
 独特のセレクトで知られるシアターN渋谷さんが、開館5周年の記念作品に選んでくれた。

 本作はこんな内容である――

 人類は死に絶え、犬や猫やネズミが文明を築いている未来世界。
 伝説のロックスター・ミックもといモックは、人気の低下に悩んでいた。アルバムの売れ行きも下がり気味である。
 そこでミックもといモックは、起死回生の策として、異次元の悪魔を甦らせようとする。悪魔の力を使って、再びスーパースターとして君臨するのだ。
 しかし、悪魔を甦らせるには、ある旋律をある"声"で歌う必要がある。その"声"の持ち主を探すミックもといモックが見つけたのは、無名のインディーズバンドのボーカル猫・エンジェルだった…。

 ――というわけで、本作は、エンジェルを誘拐し悪魔降臨ライブを行おうとするミックもといモックと、彼女を奪還せんとするバンド仲間たちのロック合戦を描いたアニメーションである。BGMにロックを多用した映画はたくさんあるし、ロックバンドを描いた映画も多いが、本作ほどロックとストーリーが絡み合い、ロックの高鳴りとストーリーの盛り上がりが融合した作品は珍しいのではないか。

 カナダのアニメなので、日本のアニメやディズニー作品に慣れている人には取っ付きづらい面もあるし、1983年の制作当時は実験的であったろう描写も今となってはいささか陳腐に感じられるかもしれないが、本作が奏でるロックと愛のメッセージは色褪せていない。
 無名バンドの曲はチープ・トリック、モックの曲はイギー・ポップ、エンジェルが歌う曲はデボラ・ハリーが提供し、その他ルー・リードやアース・ウィンド&ファイアーのイカした曲が全編を彩っている。


 『ROCK&RULE/ロックン・ルール』は日本未公開であり、DVD化もされていないため、この作品を知っているのは、昔レンタルビデオ屋をうろついて得体の知れないビデオを片っ端から見たような人くらいだろう。
 それでも見ている人は見てるもんだな、と実感できたのが嬉しい。

『ROCK&RULE/ロックン・ルール』 [ら行]
監督/クライブ・A・スミス
出演/ドン・フランクス スーザン・ロマン ポール・ル・マット
日本公開/2010年12月3日
ジャンル/[音楽] [SF]


ベスト・ディレクター(監督)

サヨナライツカ [Blu-ray] イ・ジェハン (『サヨナライツカ』)

 辻仁成氏の原作を日本人キャストで描いた韓国映画『サヨナライツカ』。
 映画には韓国も韓国人も登場しないので、日本映画だと思っている観客も多いのではないだろうか。日本市場にターゲットを定めた韓国映画界のしたたかさが窺われる作品である。

 しかし、私は何よりも本作のカメラワークに心酔した。
 主人公の歩みに合わせて前に進むカメラ。扉を開けると見知らぬ空間が飛び込んでくるフレームの広がり。バンコクの暑さと男女の情熱をカメラは見事に表現している。
 一方、日本のシーンでは、カメラがほとんど動かず息苦しい。

 色合いも、バンコクのシークェンスは暖色系、日本のシークェンスは寒色系に分けている。
 ヤノット・シュワルツ監督は『ある日どこかで』を撮るときに、現在のシークェンスはコダックのフィルム、過去のシークェンスではフジのフィルムを使ったそうだ。私は技術的なことは判らないけれども、イ・ジェハン監督も『サヨナライツカ』を取るに当たって、バンコクと日本を対比するために工夫を凝らしたことだろう。

 もっとも、私は韓国映画のカメラワークにはいつも惹かれてしまう。
 韓国映画と私との相性がいいのかもしれない。

サヨナライツカ』 [さ行]
監督・脚本/イ・ジェハン  脚本/イ・シンホ、イ・マニ
出演/中山美穂 西島秀俊 石田ゆり子 加藤雅也 マギー
日本公開/2010年1月23日
ジャンル/[ロマンス]


ベスト・アクター(男優)

ギルティ 悪魔と契約した女 DVD-BOX 唐沢寿明 (『ギルティ 悪魔と契約した女』)

 2010年公開の映画では目立った活躍が見られなかった唐沢寿明さんだが、テレビドラマ『ギルティ』での演技が突出していたので、ベスト・アクターに挙げた。

 『ギルティ』という作品そのものの評価は置いておくが、唐沢寿明さんが演じたジャーナリスト堂島基一のキャラクターには度肝を抜かれた。
 こんな変な人物にはなかなかお目にかかれない。電話での「もしもしマリリン? ミジンコです。」という挨拶や、動画での「しっかり捻挫してる?」というメッセージには唖然とした。ミジンコも捻挫も、作品にはまったく関係ないのだ。どこからこんな言葉が出てくるんだ?
 このような脈絡のないアドリブ(あんなセリフが脚本に書かれているはずがない)や、奇怪なしぐさ(玉木宏さんの後ろにピッタリ密着して歩く等)により、堂島基一は単なるジャーナリストを超えた特異な人物になった。唐沢寿明さんのおかげで、一般社会からはみ出してしまった男の、不気味でもあり滑稽でもあるおかしさが浮かび上がっている。
 共演者を置いてきぼりにしかねないほどの弾けっぷりだが、私は唐沢寿明さんの演技が楽しみでこのドラマを見ていた。

 この人、変態や変質者の役に徹したら凄いと思う。


ベスト・アクトレス(女優)

さんかく 特別版(2枚組) [DVD] 田畑智子 (『さんかく』)

 いつも田畑智子さんに投票しているのだが、2010年も『さんかく』の演技が素晴らしかったので。
 『さんかく』という作品そのものも、たいそう面白くて、観終わって大満足だった。
 しかし、エンドクレジットを見て驚いた。田畑智子さんの名が先頭じゃないのである。劇場のポスターでも田畑智子さんの名は、高岡蒼甫さん、小野恵令奈さんに続いて三番目。

 えッ!?この映画、田畑智子さんが主演じゃないの?

 三人だけが出ずっぱりの映画なので、ストーリー上は誰がメインというわけでもないのだが、私はてっきり田畑智子主演映画だと思っていた。
 ともかく、三角関係を描いたこの作品が、恋愛映画としてばかりではなくホラー映画としても面白いのは、監督の手腕や他の出演者の力ももちろんのこと、田畑智子さんの存在が大きいだろう。

 というわけで、私は今回も田畑智子さんに1票。

さんかく』 [さ行]
監督・脚本・照明/吉田恵輔
出演/高岡蒼甫 小野恵令奈 田畑智子 矢沢心 大島優子 太賀 赤堀雅秋
日本公開/2010年1月23日
ジャンル/[ロマンス]


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