『バトル・ロワイアル3D』 刀狩りがなかったら?

 【ネタバレ注意】

 凄い人だな、と思う。深作欣二監督という人は。
 『バトル・ロワイアル』を2000年に公開したとき、この人は70歳である。
 『火宅の人』のような人間ドラマをものした人ならば、もう老成した作品を撮ってもおかしくない。70歳といえば、黒澤明監督が『影武者』を撮った歳なのだから。
 しかし深作監督は、『バトル・ロワイアル』という禍々しくもエネルギッシュな世界に踏み込んでいる。
 多くの人が語ってきたことだろうが、今更ながら深作欣二監督の凄さを感じずにはいられない。


 さて、『バトル・ロワイアル3D』は、孤島に放り出された中学生たち42人が、生き残りをかけて殺し合う凄惨な物語だ。
 彼らはそれぞれ、機関銃から鍋のフタまで、威力がバラバラな武器を渡されている。

 日本では、豊臣秀吉による刀狩り以来、暴力的手段を持つ権利は一部の層に限られてきた
 その層とは、武士階級のような身分であったり、軍・警察のような職業であったりと時代により変遷してはいるものの、誰もが武器を持ったり、何の統制も受けずに暴力を振るったりすることが禁じられてから、4世紀以上が経っている。
 それまでは百姓も僧侶も槍や刀を振り回していたのだが、4世紀以上も経つと、武器を持つのが特殊なことに思えてくる。もちろん武器が溢れる世の中よりも、武器の所持が禁止されている方が平和で良いのだが、それは日本の法制が効力を発揮する範囲においてだ。

 この規制を撤廃した特区を描いたのが、『バトル・ロワイアル』という作品である。
 それがどのような経過をたどるかは、現実の事件からうかがい知ることができる。『東京島』のモデルになった「アナタハンの女王事件」がそれだ。
 絶海の孤島アナタハンに取り残された日本人の男女32人は、国家の法制が届かない地で、銃を帯びるのも射殺するのも自由だった。そこでは争いが収まらず、人々は数年の間に次々と死んでいったという。

 『バトル・ロワイアル』では、数年なんて悠長なことはいわず、幾つかのルールを導入することで事件の展開を加速し、3日間の激闘を描く。

 孤島に放り出された者たちは、その行動から幾つかのパターンに類型化できる。

 ・個人の力のみで現状を打開しようとする場合 →破滅
 ・現状の打開を諦める場合 →破滅
 ・他者との協調を重視するも、協調を破る者を内在する場合 →破滅
 ・他者との協調を重視するも、何らの暴力的手段を持たずに和平を呼びかけるだけの場合 →破滅
 ・他者との協調を重視するも、自衛に充分な暴力的手段を持たない場合 →破滅

 すなわち生き残るためには、他者の暴力に見合うだけの暴力的手段をみずからも保持し、暴力的手段に訴える勢力から自衛できるようにした上で、他者と協調することが必要である。

 なんだ、当たり前のことだ。
 まさに国際社会が、このような姿であろう。
 我々は地球という孤島に、たった193ヶ国余りで放り出された状態である。ここには、刀狩りを行う絶対的な専制君主はいない。誰もが武器を持てるし、武器を使用することができる。各自の武器の量や威力に差があるのも周知の事実。

 さて、我々はどうやって生き延びようか。


バトル・ロワイアル [DVD]バトル・ロワイアル3D』  [は行]
監督/深作欣二  脚本/深作健太
出演/藤原竜也 前田亜季 山本太郎 栗山千明 柴咲コウ 安藤政信 塚本高史 高岡蒼佑 宮村優子 美波 深浦加奈子 ビートたけし 前田愛
日本公開/2010年11月20日 (『バトル・ロワイアル』は2000年12月16日公開)
ジャンル/[アクション] [サスペンス] [学園]

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