『おまえうまそうだな』 さぁ残さずに食べなさい

 かつて辻真先氏が、みずから脚本を手がけたテレビアニメ『ジャングル大帝』はおかしな話だったと述懐していた。
 制作に当たって米国への輸出を想定していたため、米国の放送コードに引っかからないようにさまざまな制約があった。黒人を出さないようにしたので、アフリカなのに白人ばかりが登場することになった。
 そして、残酷な描写を避けるため、肉食獣のライオンが主人公なのに、動物を食べてはいけない。それどころか、みんなで畑を作って草食獣も肉食獣も野菜を食べるという話になってしまった。

 テレビを見ていた私は、さすがに子供ながらもウソだと思った。
 生き物には、食べられる物と食べられない物がある。それを無視して、みんなが野菜を食べれば解決とのたまうのは、子供だって受け入れない。


 生きるために食べる。
 食べるために殺す。
 人は誰しも、どこかでこの問題を考えることがあるだろう。

 イルカ作詞・作曲の歌『いつか冷たい雨が』には、次のような一節がある。

  牛や鳥やおさかなも 人間の為にあるのよ
  サァ残さずに食べなさい
  そんな風に言うおかあさんにはなりたくありません
  でも私だって 食べて育ってきたのだし
  虫だって 殺した事もあります

 この歌を聴いて、深く考えた人も多いはずだ。
 もちろん、生活習慣や信仰等によって、問題の捉え方は異なる。
 間違いないのは、私たちも食物連鎖の中にいるということだ。
 結局のところ、人はどこかで折り合いを付けねばならない。
 小鳥を可愛がる人が、焼き鳥を食べたりするのだ。

 その点『おまえうまそうだな』は、世の中には草食恐竜と肉食恐竜がいることを、包み隠さず描いている。そこにウソはない。

 同様の問題を取り上げた映画といえば、2008年公開の『ブタがいた教室』がある。小学生たちが食べるために子豚を育てるこの映画も、なかなか見応えのある作品だった。
 しかし『おまえうまそうだな』は、『ブタがいた教室』ほど大上段には振りかぶらない。あくまでかわいいキャラクターたちと、楽しいストーリーと、冒険と感動のうちに、いつしか腑に落ちるのである。


 私はこの作品の試写会の案内状を手に入れていた。
 だが、予告編を観ただけで感動していたので、多目的ホールでの試写ではなくきちんとした映画館で観たいと思い、封切りまで我慢していた。
 ようやく目にした本編は、予想をはるかに上回る作品だった。

 劇場を訪れた子供たちも、きっと何かを掴んで帰っていくことだろう。


おまえうまそうだな [Blu-ray]おまえうまそうだな』  [あ行]
監督・絵コンテ/藤森雅也  原作/宮西達也
出演/原田知世 加藤清史郎 山口勝平 別所哲也
日本公開/2010年10月16日
ジャンル/[ファミリー] [ドラマ]
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【theme : アニメ
【genre : 映画

tag : 藤森雅也 原田知世 加藤清史郎 山口勝平 別所哲也

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