『ソルト』の気が利くところは?

 本作のタイトル及び主人公の名は『ソルト』(SALT)、すなわち戦略兵器制限交渉(Strategic Arms Limitation Talks)のことである。
 その名のとおり、主人公イヴリン・ソルトは、世の中を核兵器に怯える冷戦時代に逆行させないため、スパイ同士の戦いに身を投じる。
 米露でスパイが逮捕され、大掛かりなスパイ交換が話題になっている今、まことに時節をとらえた題材である。


 この映画の魅力は、なんといってもアンジェリーナ・ジョリー、彼女に尽きる。出ずっぱりで大活躍である。
 そこで、アンジェリーナ・ジョリーが『ソルト』への出演を決めた経緯を妄想してみる…。

―― アンジェリーナ・ジョリーさん(以下、「AJ」という。)、この映画は貴女が七変化するんです。いろんなタイプの女性を演じていただき、貴女の魅力を最大限に引き出しますよ。

AJ: トム・クルーズが手を引いた企画でしょ。気乗りしないわね。

―― いやいや、トムは『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』で大変身しましたから、もう新鮮味がないんですよ。でもこの作品は、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のトムどころじゃないですよ。
 あるときは金髪のビジネスパーソン、あるときはダサいバックパッカー、またあるときは黒髪の殺し屋、またあるときは毛皮に身を包んだ貴婦人、そしてまたあるときは制服姿の軍人、そしてそしてまたあるときはショートヘアの工作員、さらには下着姿で蹂躙されるシーンもあります。

AJ: ふーん、一応、七通りあるのね。でもそんなに変わったらキャラクターに一貫性がなくて困るんじゃない?

―― ですから物語も二転三転、四転五転、敵に付いたり味方に付いたり、キャラクターにあわせて変化します。

AJ: そんなの、観客が感情移入できないじゃない。

―― この意外性がいいんですよ。

AJ: わかったわ、引き受けるけど一つ条件を出すわ。主人公を動物好きの設定にして。どんなに主人公の立場が変わっても観客が親近感を抱けるように、動物愛護の精神に富んだ女性にするのよ。

―― お安い御用で。じゃあ、ワンちゃんと暮らしていることにしましょう。愛情をたっぷり注いでね。


 かくして、逃避行を続けるソルトが真っ先に行うのは、逃亡する前に飼い犬の世話をしてくれる人を探すことだ。
 しかもエサ代まで託していくという気の利きよう。

 エンドクレジットに交じって、「この映画では動物を虐待してません。」とのテロップが流れるが、撮影中に虐待しないだけじゃなく、どんな緊急時でも動物をたいせつにすることをアピールする、なかなか心配りのできた映画だ。


ソルト ブルーレイ&DVD セット [Blu-ray]ソルト』  [さ行]
監督/フィリップ・ノイス  脚本/カート・ウィマー
出演/アンジェリーナ・ジョリー リーヴ・シュレイバー キウェテル・イジョフォー
日本公開/2010年7月31日
ジャンル/[アクション] [サスペンス] [犬]
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