『トイ・ストーリー3』 これは現実だ!
『トイ・ストーリー3』は、顧みられなくなったオモチャたちの、悩みと哀しみを主題とした作品である。
そこで描かれるのは、こんなことだ。
1. 人間は、飽きたり、興味を失ったりして、彼らの相手をしなくなってしまう。
2. 人間は、進学や転居等により、生活のステージが変化する。その影響で、かつては大事にしていたものが、不要物になってしまう。
3. 不要物をまとめて引き取るところが、大切にしてくれるとは限らない。特に、小さい子供たちは凶暴なので要注意である。
4. なくなっても、代わりを買って済ませてしまう。
オモチャたちは、いつだって人間に無償の愛を注いでいるのに、人間がそれに応えているとは言い難い。
これに良く似た話を、現実に聞くことがある。
かつて伊豆シャボテン公園を訪れたときのことだ。
ケージの中に、1羽の大きなオウムがいた。
ケージ脇の案内板によれば、かつては一般家庭で飼われていたという。オウムがその家に来たとき、家人はたいそうかわいがったそうだ。
ところが、その家庭でオウムがブームだったのはいっときのこと。やがて誰もオウムに見向きもしなくなった。
放っておかれたオウムは精神を病み、自分で自分の羽毛を抜き、自傷するようになってしまった。
真っ赤な皮膚をさらしたオウムは、伊豆シャボテン公園に引き取られることになったそうだ。
私がケージに近づくと、オウムは柵に寄ってきた。
頬をなでると、気持ち良さそうに目を閉じる。立ち去ろうとすると、今度は反対側の頬を寄せてくる。そちらをなでると、また気持ち良さそうに目を閉じる。なでるのをやめると、また反対の頬を寄せてくる。
こんなにも人間に馴れて、人間にかまわれるのが好きなオウムが、誰からも見向きもされなかった辛さはいかばかりだろう。
2007年10月4日に日本テレビで放映された『スッキリ!!』では、ペットの殺処分場を取り上げていた。
取材しているカメラの前に、家族連れが訪ねてきた。
家で飼っていた猫を殺して欲しいのだという。
父親がインタビューに答えたところでは、家族で海外旅行をすることになり、旅行中に世話する者がいないので処分するのだという。
子供たちはワンワン泣いている。
父親が子供に尋ねる。「旅行に行きたいだろ?猫といたいなら旅行はなしだよ。どっちにする?旅行でいいんだね?」
猫を置いて、家族は去っていった。
なぜこんなことになるのだろう。
よしんば旅行をするにしても、ペットホテルに預けるとか、ペットシッターを依頼するとか、代替策はいくらでもあるのに。飼い続けないなら、里親を探して引き渡せなかったか。
テレビ番組なので、とりわけ刺激的なケースを放映したのかも知れない。
しかし、毎日785頭の犬と猫が施設で処分され続けているのは、まぎれもない事実である(2008年度実績)。
「ペット(pet)」は、愛玩動物と訳される。
「玩」とは、「もてあそぶ。おもちゃにする。」という意味だ。
これを嫌って、コンパニオンアニマル(伴侶動物)という呼び方も広まってきた。
伴侶として、一緒に生活する動物ということである。
ただ、「ペット(pet)」という単語は動詞でも用いられ、それは「やさしくなでる。かわいがる。」という意味である。
ペットとは、やさしくなでたり、かわいがったりする相手なのだ。
「ペット」という言葉そのものには、さほど悪意があるとは思われない。
問題の1つは、誰でも何の制約もなしにペットを入手できてしまうことだろう。
家族が増えるということ、死が分かつまで付き合い続けるということには、労力も経済力も必要とされる。「もてあそぶ。おもちゃにする。」こととは程遠いのだが、いまは、どんなに無知でも覚悟がなくても、ペットと暮らすことができる。
こんな状況を改善するためだろう、「犬の飼い主検定」という試みが始まった。
誰でも受けられる基礎級は、犬の飼い方・しつけ・マナーや、犬の健康管理・メディカルに関することなど広い範囲から出題される。
どれも、犬を飼う前に知っておくべきことばかりである。
『トイ・ストーリー3』は、ハラハラドキドキさせながら、感動に涙する素晴らしい作品だ。
現実の世界でも、ハッピーエンドが増えれば良いと切に願う。
『トイ・ストーリー3』 [た行]
監督・脚本/リー・アンクリッチ 脚本/マイケル・アーント、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン
出演/トム・ハンクス ティム・アレン ジョーン・キューザック ネッド・ビーティ ドン・リックルズ マイケル・キートン ティモシー・ダルトン ウーピー・ゴールドバーグ
日本語吹替版の出演/唐沢寿明 所ジョージ 戸田恵子
日本公開/2009年5月1日
ジャンル/[コメディ] [ファミリー] [アドベンチャー]
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そこで描かれるのは、こんなことだ。
1. 人間は、飽きたり、興味を失ったりして、彼らの相手をしなくなってしまう。
2. 人間は、進学や転居等により、生活のステージが変化する。その影響で、かつては大事にしていたものが、不要物になってしまう。
3. 不要物をまとめて引き取るところが、大切にしてくれるとは限らない。特に、小さい子供たちは凶暴なので要注意である。
4. なくなっても、代わりを買って済ませてしまう。
オモチャたちは、いつだって人間に無償の愛を注いでいるのに、人間がそれに応えているとは言い難い。
これに良く似た話を、現実に聞くことがある。
かつて伊豆シャボテン公園を訪れたときのことだ。
ケージの中に、1羽の大きなオウムがいた。
ケージ脇の案内板によれば、かつては一般家庭で飼われていたという。オウムがその家に来たとき、家人はたいそうかわいがったそうだ。
ところが、その家庭でオウムがブームだったのはいっときのこと。やがて誰もオウムに見向きもしなくなった。
放っておかれたオウムは精神を病み、自分で自分の羽毛を抜き、自傷するようになってしまった。
真っ赤な皮膚をさらしたオウムは、伊豆シャボテン公園に引き取られることになったそうだ。
私がケージに近づくと、オウムは柵に寄ってきた。
頬をなでると、気持ち良さそうに目を閉じる。立ち去ろうとすると、今度は反対側の頬を寄せてくる。そちらをなでると、また気持ち良さそうに目を閉じる。なでるのをやめると、また反対の頬を寄せてくる。
こんなにも人間に馴れて、人間にかまわれるのが好きなオウムが、誰からも見向きもされなかった辛さはいかばかりだろう。
2007年10月4日に日本テレビで放映された『スッキリ!!』では、ペットの殺処分場を取り上げていた。
取材しているカメラの前に、家族連れが訪ねてきた。
家で飼っていた猫を殺して欲しいのだという。
父親がインタビューに答えたところでは、家族で海外旅行をすることになり、旅行中に世話する者がいないので処分するのだという。
子供たちはワンワン泣いている。
父親が子供に尋ねる。「旅行に行きたいだろ?猫といたいなら旅行はなしだよ。どっちにする?旅行でいいんだね?」
猫を置いて、家族は去っていった。
なぜこんなことになるのだろう。
よしんば旅行をするにしても、ペットホテルに預けるとか、ペットシッターを依頼するとか、代替策はいくらでもあるのに。飼い続けないなら、里親を探して引き渡せなかったか。
テレビ番組なので、とりわけ刺激的なケースを放映したのかも知れない。
しかし、毎日785頭の犬と猫が施設で処分され続けているのは、まぎれもない事実である(2008年度実績)。
「ペット(pet)」は、愛玩動物と訳される。
「玩」とは、「もてあそぶ。おもちゃにする。」という意味だ。
これを嫌って、コンパニオンアニマル(伴侶動物)という呼び方も広まってきた。
伴侶として、一緒に生活する動物ということである。
ただ、「ペット(pet)」という単語は動詞でも用いられ、それは「やさしくなでる。かわいがる。」という意味である。
ペットとは、やさしくなでたり、かわいがったりする相手なのだ。
「ペット」という言葉そのものには、さほど悪意があるとは思われない。
問題の1つは、誰でも何の制約もなしにペットを入手できてしまうことだろう。
家族が増えるということ、死が分かつまで付き合い続けるということには、労力も経済力も必要とされる。「もてあそぶ。おもちゃにする。」こととは程遠いのだが、いまは、どんなに無知でも覚悟がなくても、ペットと暮らすことができる。
こんな状況を改善するためだろう、「犬の飼い主検定」という試みが始まった。
誰でも受けられる基礎級は、犬の飼い方・しつけ・マナーや、犬の健康管理・メディカルに関することなど広い範囲から出題される。
どれも、犬を飼う前に知っておくべきことばかりである。
『トイ・ストーリー3』は、ハラハラドキドキさせながら、感動に涙する素晴らしい作品だ。
現実の世界でも、ハッピーエンドが増えれば良いと切に願う。
![トイ・ストーリー3 スーパー・セット [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51zvXZGIS2L._SL160_.jpg)
監督・脚本/リー・アンクリッチ 脚本/マイケル・アーント、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン
出演/トム・ハンクス ティム・アレン ジョーン・キューザック ネッド・ビーティ ドン・リックルズ マイケル・キートン ティモシー・ダルトン ウーピー・ゴールドバーグ
日本語吹替版の出演/唐沢寿明 所ジョージ 戸田恵子
日本公開/2009年5月1日
ジャンル/[コメディ] [ファミリー] [アドベンチャー]


【theme : トイ・ストーリー3】
【genre : 映画】
tag : リー・アンクリッチ ジョン・ラセター アンドリュー・スタントン トム・ハンクス ティム・アレン 唐沢寿明 所ジョージ 戸田恵子