『川の底からこんにちは』 セーフを倒せ!

 シジミのパック詰めをする工場で、どうして政府を倒せ!なんて叫ぶのだろうか?
 『川の底からこんにちは』の予告編を見るたびに、従業員が揃って歌い上げる「倒せ倒せ政府!」というシュプレヒコールのような歌詞が気になった。

 その謎を解明するために劇場へ足を運んだのだが、ずーっと爆笑しどおしで、謎の解明どころではなかった。
 場内のオジサンたちも、みんな笑い転げていた。

 だが、この映画は笑わせるのが目的ではない。
 人を元気にさせる映画だ。
 笑いを狙ったシーンは多いけれど、単に笑って終わりではなく、笑い飛ばして元気になるのだ。


 主人公・木村佐和子は、自称「中の下の女」だ。
 「中の中」なら、まだ水面付近で顔も見えるが、「中の下」となると水面よりはるか下に潜ってしまい、なかなか顔も見えない。
 でも、よく目を凝らすと、そこにも人はいるし、ちゃんと挨拶を返してきたりもする。
 「中の下」だって、ゴミでもクズでもないのだ!


 従業員たちが歌う愉快痛快な木村水産の社歌は、公式サイトでフルコーラスを聴くことができる。
 この歌のポイントは、歌詞に社名が登場しないことだ。
 だから曲名は「社歌」となっているものの、会社を称える歌ではない。
 人に気合を入れる歌だ。
 「倒せ倒せ政府!」というフレーズは、云ってみれば経営理念である。
 経営理念とは、今日明日実践すべきことではなく、信念や価値観を共有するために掲げるものだ。
 木村水産は毎朝この歌を唄うことで、誰にも頼らず頼られず、工場の仲間たちで自立する決意を共有するのだ。


 公式サイトには、石井裕也監督のコメントがある。
---
たとえ小さなものであっても、僕は人間の中に希望を見つけたいのです。
(略)
この鬱屈として行き詰った時代の中では、ほんの小さな希望でさえ見つけるのが困難です。
(略)
全ての想像力を動員して、努力して、僕は全力で希望を見つけたいのです。
---

 石井監督が全力を尽くして見つけたものは、決して小さくはない。
 笑い転げた観客たちは、それを共有したはずだ。

 ま、どうせ私なんか中の下なんだから、頑張りますよ、明日から


川の底からこんにちは [DVD]川の底からこんにちは』  [か行]
監督・脚本/石井裕也
出演/満島ひかり 遠藤雅 相原綺羅 志賀廣太郎 岩松了
日本公開/2010年5月1日
ジャンル/[コメディ] [ドラマ]

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