『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』は時計じかけ?

 東京ドームシティで行われた完成披露試写会は、主要スタッフ・キャストのみならず、ゼブラポリスとゼブラミニスカポリスまでもが白黒のステージに登壇するにぎやかなものだった。全員が、遂に作品が完成したことを喜んでいた。

 2004年に『ゼブラーマン』が公開されてもう6年になるが、脚本の宮藤官九郎氏は4年前から続編の準備をしていたという。
 壇上のキャストを見ながら、宮藤官九郎氏は語った。
 「4年前は、みんな人間じゃなかった。書いてるうちに、この人は人間の方がいいかな、と思って、だんだん人間になっていったんです。」
 4年のあいだに、物語は二転三転したようだ。

               

 作品世界を構築するには世界観のキモとなるものが必要だ、と云ったのは、富野由悠季監督だったろうか。
 その富野監督の『戦闘メカ ザブングル』では、「あらゆる犯罪は三日逃げ切れば全て免罪」という掟がキモだった。
 『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』のキモは、毎日のゼブラタイムだ。
 朝夕5時からの5分間、ゼブラタイムと呼ばれるその時間だけは、警官が民間人を射殺しても良い。医者が患者を傷つけても良い。力を持った者は何をしても良い。
 人々はゼブラタイムに思う存分悪意を発散させることで、普段は規律正しく生活できるのだ。

 この秀逸なアイデアを設けたことで、2025年のゼブラシティは、我々の知る東京とは異なる別世界になった。

 ゼブラタイムを施行したのは、ゼブラシティの知事・相原公蔵だ。
 ガダルカナル・タカさんが演じる相原公蔵は、出番こそ多くないものの『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』のキーマンだ。下まつ毛を強調したメークや、頭にちょこんと乗せた黒い帽子は、『時計じかけのオレンジ』に登場する不良少年アレックスそのものである。
 まさしくゼブラシティは、暴力を好むアレックスが大人になって己が欲望をぶちまけた世界なのだ。


 この特異な世界ゼブラシティで繰り広げられる物語は、第1作の『ゼブラーマン』とはずいぶんテイストが異なる。小さな町を舞台にした前作の、うだつのあがらない主人公のダメ教師ぶりを楽しんだ人には残念かもしれない。
 しかし本作でのスケールの広がりと世界観のエスカレーションは半端ではない。まるで『マッドマックス』シリーズのように、とても同じシリーズとは思えないほどである。

 本来はギャグだったろうシーンも、ゼブラーマンとゼブラクイーンの激しい攻防の前では笑うどころではない。
 たとえば、ゼブラクイーンが車中で所番地を口にするシーン。ツッコミを入れて笑えば良いのだが、悪に染まったゼブラクイーンの演技に勢いがついていて、誰もツッコミを入れられない。

 そもそもゼブラシティは本作で初めて登場したのに、どうして逆襲なのか、なんてタイトルへのツッコミも、観客は忘れてしまうことだろう。

               

 完成披露試写会で三池崇史監督は「前作では今ひとつ白黒ついてなかったかな、と思って始めたんですが」と語りだした。
 「今日は試写会ということでみなさんお金を払ってないので、"金返せ!"と云わないように。脚本に書いてあるからそのとおりに演出せざるを得なくて、役者も脚本のとおり演じるしかなかったんで、文句があったら官九郎に。」

 その宮藤官九郎氏は、早くも次回作について語った。
 2004年公開の第1作では、劇中の設定は2010年だった。
 奇しくも2010年の今年、第2作が公開され、その劇中では2025年という設定だった。
 宮藤官九郎氏は「次にやるとしたら2025年」と云ってくれたので、待ちましょうか、15年。


 ところで、本作で面白かったのは三池崇史氏のクレジット。
 「監督」ではなく「現場監督」というクレジットが印象的だった。


ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲- [Blu-ray]ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』  [さ行]
監督/三池崇史  脚本/宮藤官九郎
出演/哀川翔 仲里依紗 阿部力 井上正大 田中直樹 ガダルカナル・タカ
日本公開/2010年5月1日
ジャンル/[アクション]

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【genre : 映画

tag : 三池崇史 宮藤官九郎 哀川翔 仲里依紗 阿部力 井上正大

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