『やさしい嘘と贈り物』を観ていない人へ

 あなたがもしも『やさしい嘘と贈り物』の予告編も宣伝も見ておらず、作品についてまったく知らないなら、あなたはたいへん幸せだ。
 このブログを読むのもやめて、『やさしい嘘と贈り物』の上映館へ足を運ぶといい。
 できれば、あなたが人生を共に過ごそうと考えている人と一緒に。
 1人で観るなら、観たあとに誰かと語り合うがいい。

 もしもこの記事を読んでいるのがクリスマスシーズンだったら、DVDを恋人や家族と観るのもいい。
 観終わったあとに、話すことがたくさんあるはずだ。


 ただし、チラッとでも本作の記事等を目にしたなら、あなたはもう本作についてあらかた知っている。

 本作を公開するに当たって、宣伝スタッフは悩んだはずだ。
 まだ観ていない人々に、内容をどこまで伝えれば良いのかと。
 この問題について、映画『今度は愛妻家』について述べた際に秋元康氏の発言を紹介した。
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落語にしたってシェークスピアにしたって、何回ネタバレしていることか(笑)。この映画はそれに通じるものがあると思うんです。
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 『やさしい嘘と贈り物』の宣伝スタッフが選んだのは、まさしくネタバレしていて構わない!という結論だ。
 オチを知った上で観ることで、登場人物の細かな感情や気遣いを汲み取ってほしいと思ったのだろう。
 ストーリー上はなかなか明かされないことを、各種宣伝で出しまくっている。
 ネタばらしした上で公開するのは珍しいが、本作の場合はそれで成功なのだと思う。

 鑑賞前に何も知らなくても、判りやすい話なので結末に意外性を感じる人は少ないだろう。
 それよりも、1つひとつのセリフや行動の背後にあるものをきちんと感じとる方が、この映画の場合は大切だ。


 『やさしい嘘と贈り物』の監督及び脚本は、これが長編映画デビューとなる24歳のジェームズ・ローラー。
 この若者が、マーティン・ランドー(78)、エレン・バースティン(77)という老優の力を得て、男女の出会いとロマンスを、素直にストレートに撮っている。
 デートの楽しさや、ドキドキする様子は、普通なら若い役者が演じるものだ。当たり前のことだが、老練な演技は期待できない。しかし本作はどうだ。老優2人が、はしゃいだり恥らう姿が、実に瑞々しく、微笑ましい。


 残念なのは、製作国たる米国で本作が公開されていないことだ。
 興行成績を期待するには、刺激に乏しく、物足りないと判断されたのかも知れない。
 ジェームズ・ローラー監督はこれまでミュージック・ビデオを手がけてきたそうなので、本作でも音楽を多用し、凝った構成にすれば、もっと刺激的な作品にできただろう。
 しかし、この映画にデコレーションは不要である。
 素直な作りだからこそ、素直に感動できるのだ。

 日本での公開に踏み切った配給会社並びに興行主に拍手を送りたい。


やさしい嘘と贈り物 スペシャル・エディション [DVD]やさしい嘘と贈り物』  [や行]
監督・脚本/ニック・ファクラー
出演/マーティン・ランドー エレン・バースティン エリザベス・バンクス アダム・スコット
日本公開/2010年3月27日
ジャンル/[ドラマ]
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