『プリンセスと魔法のキス』でカエル!

 『プリンセスと魔法のキス』の舞台となるのは、米国の南端ルイジアナ州にあるニューオーリンズだ。
 2005年のハリケーン・カトリーナのために、この地は陸上面積の8割が水没し、とりわけアフリカ系アメリカ人の住む地域が大きな被害を受けたそうだ。報道で、家をなくした人々を目にした方も多いだろう。

 ディズニーとピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジョン・ラセターは、そんなニューオーリンズを愛し、本作の舞台をここにさせた

 米国南部が舞台であるから、現在公開中の『しあわせの隠れ場所』と同じことに気づく。
 それは、裕福な白人と貧しいアフリカ系の対比だ。
 ジャズの発祥地としてのニューオーリンズや、ミシシッピ川を航行する優雅なリバーボートよりも、まず白人とアフリカ系の貧富の差がしっかり描かれる。

 だからこそ、といえようか、共同監督のジョン・マスカーとロン・クレメンツは、本作のヒロインをディズニーアニメ初となるアフリカ系アメリカ人にした。
 ワシントンポスト紙の記事にあるように、これでようやくアフリカ系の女の子が、白くないディズニープリンセスの人形で遊べるようになったのである。


 2003年に手描きアニメーションから撤退したディズニーが、久しぶりに手描きアニメを再開させた本作は、映像的には古風である。本作を見て、伝統芸が健在だと感じるか、古めかしいと感じるかは人それぞれだろう。
 ただ、米国南部は、日本人にはあまり馴染みがない。
 だから日本の観客は、食い付きが良くないかもしれない。

 けれども、ディズニーアニメ初のアフリカ系ヒロインが活躍する本作は、1920年代を舞台としながらも、いたって現代的で、日本にも共通するテーマを抱えている。


 カエルに変身して大冒険をするのは、対照的な2人だ。

 主人公ティアナは、E.D.ベイカーの小説『カエルになったお姫様』のプリンセスから一転、金を貯めるために働きづめの女性である。仕事をいくつもかけもちして、友人の誘いも断って、朝から晩まで働いている。
 対するは、遊ぶばかりで働こうとしないナヴィーン王子。金食い虫で、両親からも見放されている。
 この両極端の2人が出会って、それぞれの生き方を見つめ直すのが本作の主題だ。

 『プリンセスと魔法のキス』は、放蕩ばかりの生活や、努力もしないで星に願いをかけるだけの人間を批判する一方、過度なワーカホリックにも厳しい目を向ける。
 正直、私は、ディズニーのアニメを見て、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を勧められるとは思わなかった。
 カエルになった2人がホタルやワニと繰り広げる冒険は、テンポが早くて面白い。だから、もちろん子どもが観ても楽しいが、本作の「欲しいものと必要なものを区別しよう」という主張や、贅沢もワーカホリックも戒める姿勢は、社会人にこそ訴えるものがある。


 ちなみに、わが国の政府は、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを推進するために、「カエル!ジャパン」キャンペーンを行っている。
 現状を変える、働き方を変える、というわけで、カエルのキャラクターを前面に出して展開している。

 あぁ、だから本作はカエルに変身するのか!


プリンセスと魔法のキス』  [は行]
監督・脚本/ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ  原案/E・D・ベイカー
出演/アニカ・ノニ・ローズ ブルーノ・カンポス ピーター・バートレット キース・デヴィッド
日本語吹替版の出演/鈴木ほのか 丹宗立峰 石住昭彦 安崎求
日本公開/2010年3月3日
ジャンル/[ファンタジー] [ミュージカル] [ファミリー]

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tag : ジョン・マスカー ロン・クレメンツ アニカ・ノニ・ローズ 鈴木ほのか

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